突風被害から1年 老舗しょうゆ会社の「奇跡のもろみ」は今… 静岡・牧之原市
倒壊したしょうゆ蔵に奇跡のもろみが…
実況リポート:「かなり広い範囲にわたって突風による被害だとみられます。大きな影響が出ています。屋根の瓦も大きく剥がれてしまって屋根部分の骨組みがむき出しになっています」
去年5月1日、牧之原市内で発生した竜巻と見られる突風。車両が横転し電柱が倒れ、損壊した建物は148棟にのぼりました。
ハチマル
鈴木義丸社長:「何も無い。はぁ… うそだろ?」
自分の職場が一晩で倒壊してしまったこの男性。牧之原市の老舗しょうゆ会社ハチマルの社長、鈴木義丸さんです。
Q:突風から1年が経ちましたが?
鈴木義丸社長:「特に1年が経ったという実感もなく、出来ることをずっと続けてきたら早1年になってしまった」
1828年創業のハチマル。しょうゆの他にめんつゆなどの製造をしています。
鈴木義丸社長:「150年ほど前の建物、しょうゆにとって建物に付いている菌がしょうゆの味を作るので建物は財産一番大切なものだった」
しかし、希望の光が…。がれきの下に埋もれていた木桶に、しょうゆの味を決めるもろみが残っていたのです。
前を向いて新たな1ページ
あれから1年。瓦礫の中から見つかったもろみは大切に育てられていました。
ハチマル
鈴木義丸社長:「ひと夏を越えて冬は落ち着いた状態暖かくなってきて発酵が始まっている状態」
今は来年用の仕込み作業で、多忙な毎日を送っています。
並べられた麹は3日間、湿度ほぼ100%の密閉された部屋で菌を育てていきます。
少しでも温度調整を間違えると麹菌は育ちません。鈴木社長は成長の様子を記録し続けました。
鈴木義丸社長:「(夜中の)12時になりました。ずっと温度管理をしています。今は冷却をする時間帯です。黄色くなってきています。いい状態ですね」
これが新しいもろみです。老舗しょうゆ会社の新たな1ページ。
鈴木義丸社長:「まだまだスタート地点に…立ってるのかな?立ってないのかな?まだまだ先だと思います。仕込みを継続できるような形になんとか頑張って持っていきたい。後ろには何もない。前を向いて行くしかない」