聖隷クリストファー落選の波紋…静岡県高野連会長「高校野球の一番目標となるチームだと思う」 抗議の電話も「ひっきりなしに」

 昨年秋の高校野球東海大会で準優勝した浜松市の聖隷クリストファー高校が、春のセンバツ大会に選ばれず、波紋が広がっています。地元静岡県の高野連の会長らが1月31日夕方、定例の理事会後に報道陣の取材に対し、複雑な胸の内を語りました。

画像: 静岡県高野連の渡辺理事長(左)と高橋会長 1月31日

静岡県高野連の渡辺理事長(左)と高橋会長 1月31日

静岡県高野連会長「選出されなかったのは、非常に残念」

Q.聖隷クリストファーが選出されなかったことについて、県の高野連はどのような受け止めか?

静岡県高校野球連盟 高橋和秀会長
「とにかく非常に残念という気持ちでいっぱいです。何より、聖隷クリストファーの頑張ってきた選手、指導者、学校関係者の皆様と全く同じ気持ちで、携わってきた高野連の関係者として、あれだけ頑張って成績を残したのにもかかわらず、選考に洩れた、認めてもらえなかったということに関して、非常に残念に思っています。まず、その気持ちが非常に強いです」

Q.静岡県高野連として、何か対応と言うのを考えていらっしゃるんでしょうか?

高橋会長
「正式に全員の理事を集めて検討することはありません。ただ、非常に悔しい思いもあり、残念な気持ちも強く、やはり今でも県民の皆さまからもご心配いただいたり、『おかしいんじゃないか』という声をたくさんいただいてますので、これをどういった形で県の高野連として受け止めて、日本高野連の方に伝えていくのかということは、非常に短時間の中ではありますが、我々上層部で検討を重ねてきました。やはり今言えるのは、静岡県の状況、静岡県の思い、もちろん当該校である聖隷クリストファーの選手の皆さんの非常にショックを受けている、非常に残念な気持ちが強いという思いと、それから県民の皆さま、抗議も含めて、いろんな声をたくさんいただいているという静岡県の状況と思いを、まずは正確に伝えることが大事だろうと。もうすでに連絡をすることはして、伝えてあります」

Q.大体いつぐらいに? 県高野連の声は日本高野連に届く予定でしょうか?

A.「形にしてということは考えていません。もうすでに電話でのやりとりですけれども、静岡県の状況はお伝えしてありますので。ただ、回答を求めたということはありませんので、まずは静岡県の今の状況をできるだけ正確に伝えることが必要だと思って、そこまではやっています」

Q.その先っていうのは何か想定はされています?

A.「これからもまだまだいろんなご意見いただいたり、静岡県として検討することがあればお伝えすることはあると思います」

ひっきりなしに電話は来ている。圧倒的に抗議の電話

Q.県高野連の方に寄せられた声、だいたいどのぐらいの数なのかということと抗議の内容を、もう少し詳しく教えてください。

A.「ちょっと数は数えきれないですね。僕もずっと対応してるわけではありませんので、事務の方が対応したりしてますけど、きょう私は11時ぐらいからこちら入って準備をしてたんですけども、ひっきりなしに電話は来てます。抗議の電話とか、『おかしいじゃないか』とか、お電話いただいている状況です」

Q.圧倒的に『選考がおかしいんじゃないか』っていう声?

A.「中には『静岡頑張ってくれ』というのもあったようですが、抗議の電話が多かったですね。圧倒的に多かった」

Q.理事会では

A.「少し疑問に思われるような声も当然でてました」

大垣日大への誹謗中傷はあってはならない

Q.ちょっとずれるかもしれないんですけれども、一方で大垣日大の選手たちに、一部で、例えば辞退しろなんて言う誹謗中傷が寄せられるケースがあって、選考とは全く別の話で、中傷が多く寄せられるのは、当然あってはならないことだと思うんですが、静岡県高野連として何か受け止めというかございますか。やめてほしいということ?

高橋会長
「もちろんそうですよね。そこは聖隷が惜しくも選考されなかったということと別の問題で、優秀な力を選考委が評価した。そこはぜひ胸張って、選考されたことを喜んで全力で戦って欲しいと思います。そこを混同して何か比較をしたりだとか、静岡県がそれによって出られなかったということをとやかくということは一切ありませんし、あってはいけないことだと思ってます」

「選手たちはより細かな説明を聞きたいだろう」

Q.選考委員会の見解として、大垣日大はこれまでに勝っていて総合的に、高い走力で、投手力も高いという話もありましたけど、実際こちらの計算ですが、例えば大垣日大さんと聖隷クリストファーで計算すると一試合の失点は0.6の差しかない。準決勝と決勝のスコアを見ても、そこまで差があると言えないんじゃないかっていうことも考えられるんですが、その見解として県の高野連としてはこうどう受け止めているのか?

高橋会長
「理事会の中で、そこについて議論するとか意見を正式に求めるという会ではきょうはなかったので、特にあればということで、いくつか意見はもらいました。評価の論点となったその辺がどうなのかっていうところまで突っ込んだ議論はしていません。ただ、ネットでもいろいろなご意見いただいている通り、説明にあった投手力、はたまた総合力というあたりの、何をもってというところが、より詳しい説明があれば、納得も得られるのかもしれませんけど、我々ですら細かな説明を聞いていませんので、そこで何か意見を求められても、なかなか厳しいのかな? 当事者の聖隷クリストファーの選手や指導者にしてみたら、より細かな納得得られる説明を聞きたいんだろうなという気持ちは非常によく理解できます」

「高校野球って何なんだろう」

Q.抗議することで今後なんらかの影響を受けるんじゃないか懸念もあるのか

静岡県高野連 渡辺才也理事長:「選考委員会の決定ですから、これを覆そうとかそういうことは当然できない話だし、それをするのはおかしいとは思っています。ただ、ここから先は私の個人的な意見ですけど、あえていうと、準優勝したけども選考理由として、個々の力、投手力、甲子園で勝てるという話が出ていました。それは大垣日大がそれに勝るって言い方だったと思うんですけど、聖隷クリストファーさんと比較した中での話なんで、裏を返せば要は劣ってるという言い方にも聞こえかねないと思うんですね。そうすると、本当に聖隷クリストファーの選手たちの思いを考えると、本当にこう何ていうの、かける言葉が見つからない」

「静岡の今までモットーとした野球って、僕はやっぱり弱い、戦力はそんなになくても、いろいろ頭を使って知恵使って、それで強い相手を倒していく。それを見事に体現した聖隷さんが、要はあの粘り強さ逆転で、しかも2試合もというところを評価されなかったっていうところに、一体、『高校野球って何なんだろう』というのは正直思っています」

「高校野球の一番目標となるチームであり試合結果だった」

高橋会長:「大会役員として東海大会をずっと見ていましたので、聖隷クリストファーの選手、主力となる投手も捕手も怪我をして、全く万全でない状態で大会に臨み、チームとしての危機、苦しい状況をそれ以外の選手がみごとにカバーして力を出し合って、投手もチームの力全体として、もう本当に素晴らしいゲームだった。まさしく高校野球の一番目標となるようなチームであり、試合結果だったと思います。あの9回の逆転が2回続いたということももちろん劇的でしたけど、それだけじゃなくて、本当にチームが万全じゃなくて戦うっていうこと自体が、甲子園かけた試合でそういう状態で戦わなきゃならないという精神状態そのものが、選手たちには非常に厳しかったと思います。でも、そこでほんとに公式戦にあまり出たことがないサブのメンバーが、本当に活躍して、チーム全体で何とか怪我をしてる主力の穴を埋めていこう、目標達成しようという思いが試合の中にこもってましたので、我々見ていて、ほんとうに感動するようなゲームでした。だからこそ、今回そこを上回る評価で、2校の中に選考して頂けなかったというのは、非常に残念であるという言葉でしか言い表しようもない」