例年と違う食の年末商戦…「おせち」は高級志向 仕入れ値が上がった「海産物」は店側の試行錯誤で 静岡市・焼津市

 今年も残すところ、あと2週間。そんな中、年末年始を彩る『食』に変化が見えています。静岡伊勢丹では10月から、おせちの特設会場を設置。静岡県内外のホテルや老舗料亭のおせちを350種類ほど取り扱っています。
今シーズンのトレンドは…

「おせち」は3万円台が人気 売り上げ2-30%増

画像1: 「おせち」は3万円台が人気 売り上げ2-30%増

静岡伊勢丹 瀬谷光広さん:「昨年は1段のお重で人気が出たんですが、今年は2段重から3段重ということでいろんな品物が味わえる豪華な『おせち』が人気です」

 売れ筋は3万円台と高級志向。コロナが落ち着いているため、去年とは売れ筋が変わってきています。

画像2: 「おせち」は3万円台が人気 売り上げ2-30%増

静岡伊勢丹 瀬谷光広さん:「(去年は)自粛を余儀なくされていて、ご自宅で過ごすときには1人前~2人前。ご夫婦でお過ごしになる方が非常に多かったのかなと思います。今年は比較的落ち着いている状況の中で、去年呼べなかったご親族の方を招いて、大きく集うということを含めて、3人から5人前のおせちが動いていると思う」

 単価が高い大人数向けのおせちの注文が増加。そのため売り上げは、去年より20~30%ほど伸びているといいます。

海の幸は値上がり傾向

 一方、こちらでも…

小林孝也記者:「焼津さかなセンターにずらっと並んでいるカニ。そして、マグロやいくら、ウニなど。年末年始に楽しみたい、この海の幸にも例年とは違う、大きな異変が起きているといいます」

画像: 海の幸は値上がり傾向

甲羅組 山之内忍店長:「去年に比べると、私どもの仕入れ価格は、大体2割~3割くらい増。中にはもっともっと上がっている部分もある。主に私が聞いているのは、アメリカとか中国とか、そういう所に持っていかれて日本が買い負けしている」

 特に値上がりしているというのが、カニです。

Q.例えば、こちらは去年と比べてどれくらい値上がりしている?

甲羅組 山之内忍店長:「タラバガニなら去年は店頭売価で大体8000円くらいで販売できたけど、今年は見ての通りこの値段(1万2800円)。お客さんの目線からすると確実に値が上がったなと認識できる価格」

 ただ、去年の同じ時期と比べると、客足は戻ってきているといいます。

●客と山之内店長
客:税込み?

山之内店長:「税込み。2ついってよ。」

客:そんなには

山之内店長:「そんないらない? じゃあ一ついきましょう。そのかわり赤エビこれも持ってって。じゃあ5000円でいきましょ。はい、大将ありがとう、おおきにです。またお願いします」

静岡市民80代:「高くなってることは確か。エビをいくつ入っているか分からないけど、おまけしてくれたので、それだけ儲かったかな」

愛知県民40代:「(例年より)量は減らしました」
Q.やっぱりそれは値段?
A.「値段ですねカニの方は。魚の方でたくさん買って、干物の方」

愛知県民50代:「これ以上高くなるようだったら、また量を減らすとか考えていかなければならない」

やや小ぶりの紅ズワイガニで量を増やしたり、食べやすいよう殻を外したり

 一方で店側も、これまでとは違う売り方を試しているといいます。

画像1: やや小ぶりの紅ズワイガニで量を増やしたり、食べやすいよう殻を外したり

甲羅組 山之内忍店長:「本来だと、本ズワイガニのところ、紅ズワイガニ。今年この紅ズワイガニは初めてトライアルをする(扱う)けど。本ズワイガニだと同じ値段でやっても3肩、それに比べてこちらの方(紅ズワイガニ)は5肩という形で若干サイズも違うけど、5肩入りという形で提供させてもらうことにした」

 本ズワイガニよりも、やや小ぶりの紅ズワイガニで、量を増やし、客の興味を誘っています。さらに…

甲羅組 山之内忍店長:「お客さんが食べやすいようにというところを主体として、例えばこちらの商品は殻を全部外した。普通に値上がりした部分を上乗せして販売って、なかなか難しいから何かしら手を加えて置いてみて、お客さんの反応を見ようかなという年になると思う」

画像2: やや小ぶりの紅ズワイガニで量を増やしたり、食べやすいよう殻を外したり

 カニの量を減らす代わりに、食べやすいように殻をむいて販売。試行錯誤を繰り返しています。仕入れ価格が上がっているのは、カニだけではありません。

マグロは形が悪い部分を「お徳用」に

今年のマグロはいかがですか?

カネトモ 小長谷基所長:「そうですね、去年に比べるとバチマグロとキハダマグロが品薄になっていて、こういった、お徳用のマグロのタタキに影響が出てきていて、ちょっと厳しい。やはり日本食ブームに伴って、前よりアメリカとか中国に行くマグロが増えたので、絶対数が減ってしまった」

画像: マグロは形が悪い部分を「お徳用」に

 この店は今のところ、販売価格を従来と変えていません。それでも、普段は売らない柵の切れ端などを並べ、工夫を凝らしています。

カネトモ 小長谷基所長:「こちら本マグロになるんですけど、形が悪い所をお刺身に切ってお徳用としてやらせてもらっている。うちみたいなマグロ問屋だと、やはり29日30日がメインになってくるので、そこで数カ月分頑張って稼がないと1月2月の暇な時期を乗り越えられないので、12月は特に頑張っている」

数の子は量を減らして買いやすい値段に

 さらに、おせち料理には欠かせない、あの食材も…

マルワ商店 冨山貞男会長:「今年も数の子、値段がちょっと高いんですよ。大体3割くらいは上がっちゃってるね。まずパックの見てくれをきれいにするように。ちょっとはグラム数を落としてあるのもあるけど、買いやすような値段が一番だから」

画像: 数の子は量を減らして買いやすい値段に

 海の幸が最も売れる年の瀬。客足は戻ってきましたが、価格の高騰が続いているため売り手も様々な工夫を凝らしていました。