【静岡高校野球】夏の注目選手紹介【投手編】

最速147キロの近藤が筆頭

 今年の静岡県内で真っ先に名前が挙がるのが近藤愛斗(浜松開誠館)です。右腕から繰り出す伸びのあるストレートが持ち味で、この春に147キロを計測。捕手のミットに向かってホップし、低めギリギリのコースに決めて見逃し三振を奪っていきます。

静岡県ナンバーワン右腕との呼び声が高い近藤愛斗(浜松開誠館)
静岡県ナンバーワン右腕との呼び声が高い近藤愛斗(浜松開誠館)

 近藤とともにプロが注目するのは佐山蒼空(静清)です。しなやかなフォームが魅力で、最速は147キロ。この春は不完全燃焼に終わっただけに、最後の夏に実力を発揮してほしいです。

 剛腕の寺下颯真(藤枝明誠)は夏を前に状態を上げてきています。6月の静岡との練習試合で146キロをマーク。ネット裏で視察したプロのスカウトを驚かせました。力強いストレートが唸りを上げ、チェンジアップとのコンビネーションで打者を仕留めていきます。

 将来性では松永郁己(東海大静岡翔洋)を推したいです。186センチの長身から140キロ前後のストレートを投げ込みます。高校2年半で体重が約25キロもアップ。球に力強さが出てきましたが、本当の開花はこれから。まだまだ伸びる要素がたっぷり持っています。 

 左腕では今春、チームを東海大会優勝に導いた吉川慧(加藤学園)が必見です。130キロ台後半の快速球に多彩な変化球を織り交ぜる投球。7回2失点の計算の立つタイプの好投手です。

最後の夏にかける静高の本格派

 この1年間、投手陣に不安を抱えてきた静岡は齋藤童獅(静岡)の完全復活に期待がかかります。右膝靭帯の損傷、ヒジの痛みで昨夏以降の公式戦での登板はなし。それでも常時140キロ台を投げるポテンシャルを持っています。フォームに力感がなく、まさに本格派らしい本格派。齋藤が覚醒すれば、静岡の2年ぶりの甲子園が近づくと見ます。

勢いのあるストレートを投げる齋藤童獅(静岡)
勢いのあるストレートを投げる齋藤童獅(静岡)

 投球術では永野陽大(日大三島)の右に出るものはいないでしょう。中学時代はエースを務め、全国ベスト4進出。高校入学後は野手に専念していましたが、この春から本格的に投げ始め、静岡県大会決勝では公式戦初先発で完投。ストレートと変化球を自在にコントロールし、打者のバットの芯を外す巧さは絶品です。

メジャーのスカウトも注視する超大型右腕

 2年生では身長197センチの大器・小船翼(知徳)が楽しみです。入学当初は制球面に不安がありましたが、投げるごとに安定感を身につけています。同時に球速も順調にアップ。この春に140キロ台に乗せ、夏は140キロ台中盤から後半まで見据えていると聞きます。そのスケールの大きさからメジャーのスカウトも視察に訪れているそうで、目が離せない投手です。

昨秋チームを静岡県ベスト4に導いた小船翼(知徳)
昨秋チームを静岡県ベスト4に導いた小船翼(知徳)

 今春センバツ出場の常葉大菊川は2年生左腕の久保綾哉(常葉大菊川)が昨秋のような強気な投球を見せてくれるか。球速は130キロ台前後でも、大胆に内角を攻めます。春の県大会は登板することなく調整にあてただけに、進化した姿を見せてくれるでしょう。

著者 栗山司
くりやま・つかさ 1977年、静岡県生まれ。スポーツライター・編集者。雑誌『野球小僧』の編集者を経てフリーに。2012年に地元・静岡に根差した野球雑誌『静岡高校野球』を自費出版で立ち上げ、年2回発行。ブログ『静岡野球スカウティングレポート』(http://tsukasa-baseball.cocolog-shizuoka.com/)でも県内の野球情報を発信する。
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