砂糖が41年ぶりの高値 苦悩するケーキ店…卵も、小麦も、バターは「仕入れ量制限」まで 静岡市

 塩やお酢、そして醤油や味噌と並び「料理の基本の“さしすせそ”」として、必要不可欠な「砂糖」。実はこの砂糖の国内卸値が今年に入って最大6%上昇し、およそ41年ぶりの高値をつけているんです。

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 精製糖の最大手DM三井製糖は、天候不順でサトウキビの収穫が遅れ、砂糖の原材料の国際価格が高騰していることなどを背景に7月1日の売り上げ分から砂糖の出荷価格を5%程度(1㎏あたり12円相当)引き上げると発表しています。

静岡市内のスーパーでは…

画像: 静岡市内のスーパーでは…

静岡市民 50代:「砂糖はよく使っている。生姜のジュースは必ず砂糖使う。(値上がりは)悲しい」

静岡市民 60代:「(食品)全般的に上がっていて砂糖も上がってしまうと、うち大家族なので本当に大変。お菓子に使ったり、煮物をするのに使う、普段毎日必ず使うものだから痛い。できることならこれ以上(の値上がり)は勘弁してほしい」

ケーキ店では…

画像1: ケーキ店では…

 この状況に戸惑いを隠せないのがケーキ店です。

パティスリー アン プー ドゥ 望月美希さん:「すごい高くなりました。ここ1年半ぐらいで一気にきた、値上げの通知が来て、その期日が来る前に、もう次のやはりこの金額という通知が来た」

 静岡市葵区上足洗のこちらのケーキ店。店は望月さんが一人で切り盛りしています。店名の『アン プー ドゥ』はフランス語で「ちょっとある」あそこに行けば「ちょっとある」、そんな街の小さなケーキ屋さんになりたくて、名づけたといいます。

 メニューは季節ごとに変わりますが、常時10種類以上のケーキがショーケースに並びます。

パティスリー アン プー ドゥ 望月美希さん
Q.きょう何時から仕込みをされている?
A.「私、遅いんですよ、8時とかに来る日もあるので、娘のお弁当を作ってからいつも出勤するので、娘の登校に合わせて、見送ってから出社する。他のケーキ屋さんが聞いたらびっくりしちゃう、今まで働いていた店は5時・6時の出勤だったので、自営になって気軽に好きにやっている、あんまり胸張れるものでもない」

 2015年にオープンしたこちらのお店、。午前10時の開店を前に、品出しの準備に追われる望月さん。1カ月間で30kg入りのグラニュー糖を2袋使用するそうですが、3カ月前に卸売り会社から価格改定の連絡がありました。1袋当たり360円の値上げ、上白糖も1kgで12円の値上がりです。

 一方、海外から輸入している砂糖は(メープルシュガーパウダー1kg)780円値上がりしたといいます。

画像2: ケーキ店では…

パティスリー アン プー ドゥ 望月美希さん:「砂糖がなければ、(ケーキを)つくれないので、どうにもこうにも、本当に大事な素材。同業者の間でも『やっていけるのかね』という不安の話題が常に出ている、本当に早くなんとかしてほしいと日々願っている」

Q.同業者さんと値上げの話になるんですね?
A.「します。もう高い高いしか言わないのでお互い、電気代もそうだし『原価も来月からこれもまた上がるって』という話を常にしている」

砂糖だけじゃない。卵も、小麦も…バターは「仕入れ量制限」まで

 望月さんが頭を抱える理由は「砂糖」だけではありません。

パティスリー アン プー ドゥ 望月美希さん:「卵も高い、小麦も値上がりをした、昔だったら何年に一度、小麦が上がるってみたいな話を聞いていたのが、月単位というか、3カ月前に上がったじゃんという感じ。頻度が上がった、頻繁過ぎるので追いつかない」

 ケーキ作りに欠かせない材料が軒並み値上げしている中、追い打ちをかけるように今、“ある問題”に直面しています。それが、バターの仕入れ量の制限です。

画像: 砂糖だけじゃない。卵も、小麦も…バターは「仕入れ量制限」まで

パティスリー アン プー ドゥ 望月美希さん:「『希望数はお出しできません』と連絡が来てしまっている状態」

 酪農家の高齢化やエサ代の高騰で生産が追い付いていないというバター。入手するのにも一苦労だといいます。

 卸売り業者からは前年の7割ほどしかバターを販売することができないと通達がありました。数が少ない分、需要が高まったことで、仕入れ値も上がっています。

パティスリー アン プー ドゥ 望月美希さん:「(バターが手に入らないと)作りたいものが作れない状況になってしまう。もう砂糖、小麦、バター、卵(の値上げ)は本当に死活問題なので、砂糖と一緒で本当にやっていけるか、悩みのおおもとになる」

「上がってないものはない」

 店の人気商品は「ショコラパウンド」。この土台をつくるのにバターと砂糖は欠かせないといいます。

パティスリー アン プー ドゥ 望月美希さん:「本当に上がっていない物はないです。苦渋の選択で(値上げを)してきました。大きくというより、(食材が)上がった分を計算し直して、乗せさせてもらうみたいなことは何回もした」

 ケーキ業界を悩ませる材料費の高騰。苦肉の策として、6月からはある取り組みを始めたそうです。

画像: 「上がってないものはない」

パティスリー アン プー ドゥ 望月美希さん:「今まで無料でサービスしたもの(保冷剤とスプーン)を有料に、必要な方には買っていただくという形で、商品自体に響かないようにはした。変わらず来てくださる方に喜んでいただけるように、金額はどうしても上げざる得ないこともあるかもしれないが、それでも末永く地域の方に愛してもらえる店を続けていけたらなと思っている」

 私たちの生活にも影響する調味料や材料の値上げ。この状況はいつ落ち着くのでしょうか。

   (6月9日放送)