浜松市、静岡市と市長が相次ぎ「不出馬」表明…選挙戦は4月、市長選の構図は

 2023年4月に迫った統一地方選。静岡県では静岡市と浜松市を含む6つの首長選や県議会議員選挙などが実施されます。選挙イヤー前年、両政令市の市長選をめぐり大きな動きが…。

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浜松市長選

画像1: 浜松市長選

浜松市 鈴木康友市長(10月):「次期市長選には出馬せず、4期をもって市長の職を退任することを決断しました」

 最重要公約としてきた行政区再編に一定のめどがついたことなどを理由としました。

 一方で、鈴木市長の周辺からは…。

関係者は「前回の知事選の動きは地元政財界の反感を買った。次の市長選で支援を得られないことを考慮したんだろう」と話しました。

 現職の不出馬表明に先駆け、自民党が白羽の矢を立てたのが…。

根方ゆき乃記者(11月):「自民党が擁立を進める中野祐介氏。これから自民党関係者らとの顔合わせ、会合に出席する」

 地元出身の元総務省官僚・中野祐介氏(52)。奇しくも、中野氏も去年の知事選に向けて自民党から出馬を打診された経緯が…。

画像2: 浜松市長選

 2週間後、正式に出馬を表明。市議会最大会派の自民党と地元経済界の支援を受け、“オール浜松”を打ち出します。

中野祐介氏(11月):「これまでの行政経験を最大限生かして、浜松の行政をリードして、浜松の未来をもっといいものに、明るいものにしていきたい」

 自民党本部は12月15日付で中野氏の推薦を決定。浜松市長選をめぐり、これまで中野氏のほかに出馬の動きはありません。

静岡市長選

 一方、静岡市でも現職が…。

画像1: 静岡市長選

静岡市 田辺信宏市長(静岡市議会 12月2日):「熟慮に熟慮を重ねた結果、私は次期市長選挙に出馬いたしません。今任期をもって、市長の職から身を引く決意を固めました」

 7月までは周囲に出馬する意向を伝えていた田辺市長ですが、11月、一転して出馬しない方針を固めたことを静岡朝日テレビがスクープしました。

静岡市 田辺信宏市長(静岡・清水区 9月):「1週間以内で何とか復旧にこぎつけたいと思っています」

 清水区で最大6万3000軒が断水し、各地で浸水被害が起きた9月の台風15号。

清水区の住民:「行政の対応が遅くて困る。ごみは2m近くになっている」

清水区の住民:「本当に何から何までちょっと対応が遅すぎますよね」

 行政への風当たりが強まる中、一部経済界の意向も逆風となりました。

静岡鉄道 酒井公夫会長(10月):「これからの市長として誰がふさわしいかを皆さんに聞くと、経済界では多くの方が難波さんを支持するという発言をしている。私もそう思う」

難波喬司元副知事(11月):「市民が安心と幸せを実感できる明るい未来をみんなと一緒につくりたいという熱い思いこそ、私が静岡市長選挙出馬を決意した理由です」

画像2: 静岡市長選

 不出馬を表明する前に田辺市長支援を決めていた自民党静岡支部。

自民党静岡支部 井上恒彌幹事長(12月15日):「静岡市民があれだけ叩かれて、本当に政策協定をするだけで応援するのかという意見からいろいろあった」

Q.難波さんに対して一部でアレルギーがあるということ?

A.「あります。一部じゃなくてたくさんあります」

 それでも、1週間後には難波氏の推薦を決定。市内4つの支部が足並みをそろえました。

自民党静岡支部 井上恒彌幹事長(12月22日):「難波さん自身も、自分の政策が合っているのは自由民主党の政策だと。私どもも同様で、相思相愛、仲が一番良い」

 これによって、自民党の山田誠県議は推薦を得られませんでした。

画像3: 静岡市長選

自民党 山田誠県議(12月):「非常に私としては残念です。議論を重ねて、そして静岡の未来を作っていくこと。これが一番大事だと私は思っていますので、出馬の意思は変わりありません」

静岡大学の井柳美紀教授に聞く

 両政令市にとって、転機となる次の1年。県内の政治に詳しい静岡大学の井柳美紀教授に聞きました。

画像: 静岡大学の井柳美紀教授に聞く

静岡大学(政治学) 井柳美紀教授:「新しい候補者の選定過程の中で、経済界がかなり主導しているということで、ここが密室で、有権者に見えない不透明さはある。浜松でも静岡でもそうだが、選んだ人の意向が候補者の政策に反映されていかざるを得ないので、経済界の意向があってはいけないわけではないが、経済界だけではなく、もっと市民全体を見たときにどういう政策をしていくのかは候補者にきちんと示してほしい」

 浜松市ではこれまで対立関係にあった自民党と地元の有力経済界が、静岡市ではハコモノ事業をめぐり意見が対立してきた自民党と第二会派の創生静岡が、それぞれ同じ立候補予定者を支援する構図となっています。

静岡大学(政治学) 井柳美紀教授:「有権者が一体何を見て投票したらいいか分かりにくい構図になっている。投票率を左右するものはいろいろあるが、選挙戦の争点が明確になって、それをめぐり対立があって、そこで有権者が何がいいか判断できるということは必要だと思う。関心を持つためには、有権者に対して、何を選択するのかを明確に政治の側が、候補者が示していくことが重要」

 
            (2022年12月24日放送)