夜はダイニングバー・昼はラーメン専門店 コロナ禍で苦境の飲食店…「二毛作」に活路 静岡市

 まん延防止措置も続き、いまだ収束の兆しが見えないコロナ禍。そうした中、飲食業界ではコロナ禍を生き抜こうと、新たな業態が広がりを見せています。

昼はラーメン専門店…静岡市駿河区のダイニングバー

 静岡市駿河区にあるこちらのダイニングバーでは…。

「お待たせ致しました。こちらがランチメニューの特製純鶏そばになります」

 夜はダイニングバーとして、昼はラーメン専門店として営業する、いわば「二毛作営業」を始めました。

画像: 昼はラーメン専門店…静岡市駿河区のダイニングバー

BUTTOBEAT 前田裕志オーナー:「コロナ禍で客がだいぶ来なくなってしまったというのがあって、新たな挑戦ではないが、昼間はラーメンをやらせていただいています」

 通常、夜9時から朝3時までの営業だったこちらの店。長引くコロナ禍で売り上げは例年の6割ほどに減少。客足も1日10人以下という厳しい状況が続きました。そんな中、営業の幅を広げようと去年12月、昼は11時からランチを提供、夜は8時までの時短営業に踏み切ったのです。

BUTTOBEAT 前田裕志オーナー:「チャーシューが固かったなとか、あとは節がきょうは強かったねとか。時折、厳しい意見もいただくこともあるが、賛否両論あって、これからもっと勉強していきたいと思っています」

食材の有効利用で食品ロスとコストの削減

 ランチに出しているのは、鳥のうまみがスープにしっかりと溶け出した鶏白湯ラーメン。その味の決め手となるのがスープの出汁ですが、ここにも、昼と夜の二毛作営業ならではの工夫が…。

画像1: 食材の有効利用で食品ロスとコストの削減

BUTTOBEAT 斎藤亮一店長:「まん延防止でどうしても食材が多く余ったり破棄しなきゃいけない部分も多く出てきたので、それを何か有効活用できないかと考えて、その時ラーメンの出汁をとるのに使えるなと、それがきっかけで使わせて頂いている」

 夜のメニューでも使う食材を活用することで、食品ロスとコストの削減を実現しました。夜の営業が制限されている分を補うには至っていませんが、ランチのラーメンに、少しずつ手応えを感じてます。

BUTTOBEAT 前田裕志オーナー:「とにかく何かしていないとあすがないので、いろいろ気合を入れてチャレンジしていきたい。夜だけじゃなく昼間と、現状維持に甘えずやっていこうと思っています」

画像2: 食材の有効利用で食品ロスとコストの削減

一つの店舗で二つの名前…清水区のフレンチレストラン

 一方、清水区にあるこちらのフレンチレストランでは、少し違った形での二毛作営業を行っていました。

「お待たせしました。チーズハヤシ(オムライス)のSとカルボナーラ(オムライス)のMです」

ワイン食堂シャンティ 山田高久店主:「2月からランチをオムライス専門店としてリニューアルオープンして、フランチャイズというか、業務提携して、静岡でも出させていただいている」

画像1: 一つの店舗で二つの名前…清水区のフレンチレストラン

 こちらの店が新たに始めたのは、東京にあるオムライス専門店とフランチャイズ契約を結んだランチ営業。フランチャイズとは事業を行う本部と加盟店が契約を結び、ブランドや経営ノウハウを生かして事業を行うこと。

画像2: 一つの店舗で二つの名前…清水区のフレンチレストラン

 こちらの店は、夜間はワインを中心としたレストランとして、昼間はオムライス専門店「リトルヤミー」清水店として、一つの店舗で二つの名前を掲げる新たな経営スタイルを先月から始めました。

ワイン食堂シャンティ 山田高久店主:「夜はワインとか、ワイン中心の料理なので、夜とはまた違う感じにしたいと思って、それでオムライスの専門店というのがすごく魅力的だったので、そういう感じにした」

オムライス初挑戦もフランチャイズによる営業で…

 これまでも洋食を中心にランチメニューの提供はしていましたが、オムライスは今回が初挑戦。

 通常であれば、新規メニューの作成や味の研究など、多くの労力や時間が必要でしたが、それを今回一挙に解決したのがフランチャイズによる営業でした。

ワイン食堂シャンティ 山田高久店主:「本店の方が作ったソースが冷凍で送られてきて、これをオムライスのソースとして、本店と同じオムライスの味を出せるという感じ」

 フランチャイズによるメリットの一つが、手軽さ。本部側からレシピやマニュアルが提供されるため、店舗側はメニューの開発などに労力をかけずに、すぐ営業を行うことができます。

画像: オムライス初挑戦もフランチャイズによる営業で…

 こちらの店ではソース以外は店側が準備し調理を行いますが、山田さんは東京の本店と同じ味ができるよう本部で研修を行い、現在は30種類以上のオムライスをランチで提供しています。

ワイン食堂シャンティ 山田高久店主:「卵の割り方に秘密があって、それはちょっと言えないが、火を入れるタイミングとかそういうのを研修で教わって来た。オムライスが好きな方が多いみたいで、お子様連れとか家族連れの方も増えた」

 長引くコロナ禍で、夜間の客足が1日1組に満たないこともあったこちらの店。取材したこの日は、テイクアウトの注文がひっきりなしに入り、席は予約客で満席となっていました。

客:「ここの店は今回初めてではなくて何回も利用させてもらっているので、オムライス専門店として始められたってことで、すごく期待してきょう来た。もちろんおいしい。自分ではとても作れない」

客:「すごい斬新な取り組みだと思う。今回はテイクアウトだったが、(今度は)実際に店で頂きたいと思う。楽しみにしている」

4歳の娘:「ケチャップかけるのが好き。オムライスおいしかったら来たい」

 いまだ逆風が続く飲食業界。店側は、創意工夫でこの逆境を乗り切ろうと努力を重ねています。

ワイン食堂シャンティ 山田高久店主:「とりあえず生き残るためにできることは何でもやって、取り入れていきたい。今はまだ行っていないがウーバーイーツなどのデリバリーも、オムライスでメニューを作ってやっていきたいなと思っている」