「まん延防止」適用前夜 静岡市の繁華街は? 困惑する飲食店

静岡・葵区両替町  26日午後8時
林輝彦アナウンサー:「午後8時になりました。まん延防止等重点措置が適用される前日です。人通りはやはり少ないですね。歩いている人を見かけるんですが、お店の中に入る様子はありません」

まん延防止措置が適用される前、最後の夜。静岡市の繁華街には「駆け込み客」とみられる人の姿はほとんどありませんでした。最近の夜の街の人出について、飲食店で聞いてみると…。

画像: 「まん延防止」適用前夜 静岡市の繁華街は? 困惑する飲食店

県認証店に選択肢はあるが…

隠れ場 喰海 
店長:「オミクロン株がはやってやっぱり減りましたね。 (店に来る客も)もうほとんどいないですよ。はい、もう本当、1人か2人とか3人とかですよね?この間の金曜日で4人かな?そのぐらいでした」

街の中心部にある野球ファンが集う、こちらの居酒屋。静岡県内で1日あたりの感染者数が200人を超えた2週間ほど前から客足が減少。1月の売り上げはコロナ禍前と比べ、3割ほどに減ったと漏らします。

県の要請を受けて、認証を取得しているこちらの居酒屋でも午後9時までの営業で午後8時まで酒類を提供するか、午後8時までの営業で酒類を提供しないか、選択を迫られていました。

隠れ場 喰海 
店長:「きょう一日で決めなくてはならないが、まだまだちょっと迷っている状況です。お客様のことを考えれば、やっぱりしっかりと商品提供のために仕入れもして、万全な態勢で営業したいが、それがイコール食品ロスになるようなら、やっぱり店としてももったいないとなるし、やっぱそれだけでちょっと赤字になる可能性もあるので」

まん延防止措置の適用期間中の集客が読めず、営業するか休業するか、前日にも関わらずまだ決められていませんでした。

画像: 県認証店に選択肢はあるが…

常連客も“自粛”

常連客にあす以降、店に来るかを聞いてみると…。

常連客(20代):「(会社で)もう原則禁止という形で飲み会を自粛という方向性にはなると思う。いつもお世話になっている店で最後に飲んで、あしたから自粛を頑張ろうかなという気持ちですけど」

県の要請に応じた飲食店には、売り上げに応じて協力金が支払われます。認証店でお酒を提供する場合は、一日あたり2万5000円から7万5000円。お酒を提供しない場合は、3万円から10万円です。

非認証店では、午後8時までの営業で酒類の提供は禁止が求められ、協力金は認証店と変わらない3万円から10万円となります。

隠れ場 喰海 
店長:「平等性は欠けるなとは思うが、ただこのような時代になってくると、そういうことも言っていられないのではないか。やっぱり不満はたぶん認証店にはあると思う。パーティション作るとかすごくいろんなことをやって認証するのにお金もかかっているので」

画像: 常連客も“自粛”

飲食店が感染拡大の要因ではないのに…

静岡・葵区両替町  26日午後9時すぎ
林輝彦アナウンサー:「午後9時を過ぎました。こちらのダイニングバーはあすから営業時間が短縮になります。店内の様子を見てみますと、きょう、お酒を飲めるのが最後だということで、一組、お客様がいらっしゃいます」

 繁華街にあるダイニングバーにも話を聞きました。こちらの店は通常の営業開始が午後8時。そのままだと、措置の期間中は最大1時間しか営業できないことになります。

Q.まん延防止措置が出ると?
「バラフ」 
柴 和孝さん:「実質休業要請みたいな感じになってしまう・平日はもうご予約いただいたらお店を開けようかなと。一応、あのお酒類の提供は8時までさせていただいて、9時の閉店という形を取ろうかなと考えている」

 土日の日中にお店を開いて集客できないか模索していますが、平日夜の営業をどうするか、難しい判断を迫られています。

飲食店が感染拡大の要因とは決して言えない状況で、人流抑制を理由に営業が制限されることに対しても複雑な心境です。

「バラフ」 
柴 和孝さん:「他にじゃあ対策が何かあるかっていう話になるので。そういう要請があるのであれば、私たちは従って時短要請でも何でもやっぱりやっていくしかないのかなと思っている。こういう言い方すると、またこう結構言われちゃうんですけれど、協力金をいただけるというだけで正直ありがたい部分はある」

 感染拡大によってすでに街の人出は減り、客足は遠のいています。その状況が続くなら、協力金が受け取れる方がありがたいというのも本音です。とはいえ、その協力金も店の固定費をまかなえる程度だといいます。

「バラフ」 
柴 和孝さん:「家賃・電気・ガス・水道あたりの支払いができるのが精一杯です。もう2年間こんな状況なので、銀行への支払いや借り入れとかもありますので、そういったところまではとても手が回らない金額ですね」

画像: 飲食店が感染拡大の要因ではないのに…

決められない…

午後9時半を回ってから再び先ほどの居酒屋を訪ねると、作成途中の張り紙には「休業」の文字が。しかし、あす以降の営業について最終的な結論はまだ出せずにいました。この間、客は先ほどの常連以外1組も入らなかったそうです。

隠れ場 喰海 
店長:「結局今回はいろんな選択肢が増えたことによって自分たちも悩まされることが多くて。お客さんに支えられている以上、お客さんのことをメインに考えながら商売していかなければならないので、果たして(午後)5時から営業して8時までの営業で、その3時間でどれだけ満足させられるかっていうところが悩みどころだな、やっぱり」

画像: 決められない…

早々に休業を決めた居酒屋も「悔しい」

一方、27日からの営業の方針を早々に決めた店もありました。

あおいヤ 
大塚和巳店長:「普段は月一ぐらいでやっているんですけど。きょうは1カ月ぐらい空いちゃうので、そのまま最後にワックスがけしておこうかなと思って」

こちらの居酒屋ではきょうから店を閉めることを決め、きのうが休業前最後の営業となりました。休業を決めた一番の理由は、オミクロン株による爆発的な感染拡大です。

あおいヤ 
大塚和巳店長:「オミクロン株がすごく感染力が強いっていう話をニュースでもやっているので。やはり従業員にも危険があると困るし、ここで感染が広がって、お店の方にも負担がかかっちゃうと、という話になって、時短で営業するんだったら、そのまま休業しようという形になった」

こちらの店では従業員6人のほかに、アルバイトも雇っています。生活のためアルバイトの店員は休業期間中、別の仕事を探さなければなりません。

アルバイト店員(20代):「まだ分かんないですけど、休業が続くようだったら他のところも探してバイトを始めようかなと思っています」

感染対策に力を入れて営業してきたにも関わらず、再び行われた時短要請。店長は割り切れない思いをのぞかせます。

あおいヤ 
大塚和巳店長:「悔しいですね。こっちとしては。アルコール消毒とか、検温とか、体調の悪い方の入店はお断りしますっていう、そういうガイドではないですけど、ちゃんと徹底してやれていると思っています」

飲食店を取り巻く状況がこれまでと異なる中、変わらない措置の中身。複雑な心境を抱えながら、25日間の長い休業に入りました。

画像: 早々に休業を決めた居酒屋も「悔しい」