参院補選”静岡ショック”広がる 野党系の山崎氏勝利 自民・手痛い敗戦 戦いは衆院選へ
【5万票近い差をつけ無所属・山崎氏の勝利】
参議院静岡選挙区の補欠選挙は立憲民主党、国民民主党の推薦を受けた無所属の山崎真之輔氏が勝利しました。
1週間後の衆院選への影響はどうなるのでしょうか?
衆院選の前哨戦として全国から注目を集めた参院静岡補選。
三つどもえの戦いを制したのは無所属で立憲民主党と国民民主党が推薦する山崎真之輔氏でした。
65万789票を集め、自民党公認で公明党推薦の前御殿場市長、若林洋平氏に4万8000票差をつけ、初当選を果たしました。
投票率は3年前の参院選より4.89ポイント低い、45.57%でした。
無所属(立憲・国民推薦) 山崎真之輔氏(40):「私、山崎真之輔に投票してくださった全ての皆様に感謝申し上げたいと思います。誠にありがとうございました。(拍手)(「しーんちゃーん」)」
与野党が激突した選挙戦は野党が制しました。1週間後に迫った衆院選への影響は避けられないとの見方もある中、当の本人は―
無所属(立憲・国民推薦) 山崎真之輔氏(40):「巨大与党に無所属の人間が勝利したこと多くの仲間に勇気を与えられたものだという風に思っています」
【他陣営敗戦の弁】
一方、岸田総理ら大物が続々と応援に入ったにも関わらず、手痛い敗戦となったのが与党です。
自民党(公明推薦) 若林洋平氏(49):「新総理には2度にわたり静岡に来ていただいたにもかかわらず、本当に私の力不足で申し訳なく思っております。本当に不徳の致すところで、申し訳ない悔しい結果で、本当に改めて申し訳ございませんでした。また頑張ります。」
落選が決まり、深々と頭を下げた前御殿場市長の若林洋平氏。12年間御殿場市長を務めた実績で即戦力だと訴えましたが、及びませんでした。
自民党(公明推薦) 若林洋平氏(49):「この選択自体は、私は間違ってなかったというか、やっぱり御殿場市だけじゃなくて、東部だけじゃなくて、静岡県全体を見た時に本当にいろいろ良い所もあるし、また課題もあるし、そういった部分が少しずつでも見えたっていうのは本当に選挙に出たことについてはよかったなと思っている」
Q.川勝知事か応援に入ったことをどのように感じた?
自民党県連 野崎正蔵幹事長:「サプライズという登場の仕方であったかと思うが、戦略的にはかなり練られて、いろんな街頭だとかのところに出られていたんじゃないかなと思う。我々、知事選に敗北してその次に参議院補欠選挙ということが起こってやったわけだが、これについてはとにかく大逆風の中であったことは間違いないかと思う。結果的にいい風を吹かせられたかと言えばそうではなかった、残念な結果だと思っている」
共産党の鈴木千佳氏はリニア新幹線工事の中止、浜岡原発の再稼働反対などを主張しましたが、支持の広がりを欠きました。
Q.山崎氏が当選したら自分の訴えの貢献もあると考えるか
共産党 鈴木千佳氏(50):「そうですね、自民党候補へ正面から問題提起した。そういう点では一定の役割を果たしたと思っています」
【「信じられない気持ち」激戦から一夜明け】
一夜明け、山崎氏は当選あいさつのため雨の中、浜松駅前に立ちました。地元であり、大票田でもある浜松市で山崎氏は若林氏に5万票余りの差をつけました。
その後、事務所に戻ると、自らが一面を飾った新聞を手に当選の喜びをかみしめました。
山崎氏:「信じられない気持ちですけど、それだけ注目もありましたし、びっくり」
山崎氏を全面的に支援したこの人も、けさ取材に応じました。
川勝知事は、リニア問題をめぐる山崎氏の主張の変化を指摘しました。
川勝知事:「若林候補の方が一切争点として持ってこなかった、いわゆるリニアの問題。これを当初はこの件についてはおそらく山崎君は決着が着いているかのごとき、そういう風な態度で臨んだと思いますが、山崎君は明確に水を守るために、南アルプスのトンネル工事は止めるべきであると、リニアもルートの変更以外に方法はない。こういう方向にはっきり言うことができるようになって、静岡県民が危ないということで、ググっと党派性を越えてやったということが大きいと思う」
<知事室>山崎氏×川勝知事
川勝知事:「おめでとうございます」
山崎氏:「すみません、ありがとうございます」
山崎氏: ガッツポーズ・・・川勝知事と肘タッチ
川勝知事:「おめでとうございました」
山崎地:「おかげさまで本当に(礼)」
山崎氏が県庁の川勝知事のもとを訪ねました。
山崎氏:「無事にきのう、当選を果たさせていただきまして、川勝知事はじめ、県民の皆様方の本当に支えのおかげだと思っています」
2人の会談は冒頭と記念撮影以外、非公開で行われました。
川勝知事:「おやじと息子というより、大きな兄貴と未熟な弟って感じですね。しかし実際に、しっかりとした政治家にこれから脱皮されるということで心からお祝い申しあげたいと思います」
「ポスト東京時代を開けるかどうか、地方の自立の時代が本当に来るかどうか、これに対して大きな期待が真之輔候補に寄せられたと思います」
【全国が注目した戦い 衆院選へ】
一方、与野党の受け止めは―
岸田文雄総理大臣:「静岡県につきましては、残念な結果でありました。この結果については県民の皆さんのご判断を厳粛に受け止めたいと思っています」
Q.総理は2度静岡に応援に入り、「岸田に任せるかどうかご判断いただかなければならない」とおっしゃいました。今回結果が出ましたがどう受け止める?
岸田文雄総理大臣:「一つが出ました。もう一つ、山口でも結果が出ました。これから衆議院選挙の結果が出てきます。そうした国民の皆さんの声をしっかり受け止めたいと思っています」
自民党は山口県の補選では勝利し、「1勝1敗」となりました。
立憲民主党 枝野幸男代表:「表紙が変わっても、この間の自公政権に対する国民の不信と不満は依然として大きいということが示されたと思っています。しっかりともう一つの選択肢があるということを総選挙に訴えていけば、多くの皆さんのご理解とご支援があるんじゃないか、勇気づけられる結果だと思っています」