トヨタとエネオス 合成燃料を使った車の走行実験を初公開 静岡・小山町「富士スピードウェイ」
静岡県小山町で行われた合成燃料を使った自動車の走行試験が初公開されました。合成燃料の原料は大気中の二酸化炭素です。
28日小山町の富士スピードウェイで行われた自動車の走行実験。
ここで展示されたのが、この「特殊な燃料」です。
燃料を開発したのは石油元売り大手のENEOS。
実はこの燃料、“世の中を変えるかもしれない”特殊な燃料なんです。
何がすごいのかと言うと・・・
白鳥衛記者:
「様々な燃料が展示されているなか、真ん中の液体を見てみると、「合成燃料」と書かれています。実はこの燃料、大気中の二酸化炭素を回収して作られているんです」
ENEOS 早坂和章博士:
「大気中等から回収する二酸化炭素を原料として用いますので、この合成燃料をエンジン等で燃やした後に排出されるCO2は元に戻るということでカーボンニュートラル(温室ガス排出ゼロ)という意味で非常に意義が深い燃料になると考えている」
つまり、燃料の“材料”となるのは大気中の二酸化炭素なので、この特殊な燃料を使った自動車を運転すれば
エンジンから排出される二酸化炭素は“もともと大気中にあったもの”ということになります。
簡単に言うと、プラスマイナス・ゼロということです。
市販車で実証実験
白鳥衛記者:
「先ほど展示されていた合成燃料が現在車に補填されています。このあと実際に走行できるのか、実証実験が行われます」
燃料が入れられたのは特殊な自動車・・・ではなく、街中でもよく見かけるトヨタのプリウス。
市販車で実際に動くかどうか?というのが今回の実験の目的の1つです。
合成燃料を使った走行実験は国内で初めて。
ハンドルを握ったのはこちらの方。
トヨタの佐藤恒治社長です。
乗り心地などを確認しながらコースを走行しました。
トヨタ自動車・佐藤恒治社長:
「全く通常の車の運転感覚と変わらない本当にいつもと同じフィーリングが得られています」
ENEOSによると、4年後の2027年までに合成燃料の供給を目指していますが、現状「課題」となっていることが・・・それが“製造コスト”です。
ENEOS 早坂和章博士:
「国内の電力を使って製造しますと、リッターあたり製造コストとして700円程度という非常に高い状況になっている。技術開発だけではなく、国のご支援とか社会の皆様のご理解をこれから進めていただいて一緒に盛り上げていただきたい」
一方で、政府は2025年には合成燃料の実用化を、2030年代前半には商用化を目標としています。
ガソリンだけでなく、EV=電気自動車や水素で走る自動車が登場しているなか、「環境との共存」を目指し模索が続く自動車業界。
県内で行われた今回の実験が、こうした問題を解決する第一歩となるかもしれません。