「サルは有罪か無罪か」小学生の模擬裁判テーマは「桃太郎」 静岡地裁
子どもたちが実際の法廷に立って裁判を体験する「模擬裁判」が静岡地裁で開かれました。今回、裁判の題材となったのは「桃太郎」です。
サル:
「おらは本当にやってない無実だ。信じてよ」
サルは事件発生時に鬼ヶ島で温泉に入っていたので、きび団子は盗んでいないと主張。
サルは有罪か無罪か。
子どもたちが下した判決は、果たして…。
10日20人の小学生が集まった静岡地裁で刑事事件の模擬裁判が開かれました。
今回は昔話「桃太郎」をモチーフにした窃盗事件で
裁判が進められました。
桃太郎が鬼ヶ島で鬼を退治した後に経営するきび団子店で、何者かに20個のきび団子が盗まれました。
窃盗の疑いで逮捕されたのは、桃太郎と鬼退治に一緒に行ったお供のサル。
小学生は裁判官・検察官・弁護人の3つの役に分かれ、いよいよ開廷です。
検察役の追及
サルの家の付近には犯行で使われたとみられる鬼のお面が発見されました。
そのお面にはサルの毛根と指紋が付着しています。
検察側はサルを鋭い質問で追及します。
検察官役:
「鬼ヶ島まではどうやって行ったのですか?」
サル:
「お金がなくて自分で船を漕いで行ったよ」
検察官役:
「鬼ヶ島までの海域は潮の流れが早くて、船を漕ぐのに慣れた人でも1人で渡るのは苦労すると聞いています。
もう一度お尋ねしますが、あなたは1人で船を漕いでいったということで間違いないですね」
サル:
「はい」
検察官役:
「よく聞こえません。大きな声で言ってもらえませんか?」
弁護士役の弁論
一方、弁護側は桃太郎が目撃した犯人は、全身が毛で覆われていて背格好も似ているという理由だけで、サルを犯人に仕立てあげた可能性を指摘します。
弁護人役:
「全身が毛で覆われているのは、被告人に限らず犬や猫などいっぱいいると思いますが、あなたは絶対にこの被告人がきび団子を盗んだ犯人で間違いないと言えるんですか?」
桃太郎:
「ん~絶対かと言われると…」
弁護人役:
「そもそも証人は鬼を退治できるほど強いのだから、窃盗犯くらい簡単に捕まえることができたのではないですか?
その場で取り押さえれば良かったのではないですか?」
検察官役:
「異議あり。本件とは何の関係もないことです」
求刑、最終弁論、そして判決
検察側は「犯行で使われた鬼のお面には、サルの指紋や毛根が付着していたことからサルの犯行で間違いない」とし、懲役1年を求刑。
一方、弁護側は「サルに罪をなすりつけたい者の犯行。事件発生時、サルは鬼ヶ島にいた」として無罪を主張しました。
裁判官役の子どもたちが相談した結果、サルに言い渡された判決は…。
裁判官役:
「窃盗被告事件について判決を言い渡します。主文、被告人は無罪」
子どもたちは事件発生時に鬼ヶ島の温泉にいたこと。
また、他の人物の犯行である可能性も考えられることなどから、サルを犯人と断定できないとしました。
模擬裁判の感想は
初めて経験した裁判。
検察官と弁護人、それに裁判官。
それぞれの立場で意見を主張し、裏付けを探す難しさを感じたようです。
弁護人役 小学4年生女の子:
「無罪を強調することや、犯人がどうやってどんなアリバイがあるのかとか、そういうことを探すことが難しいなと思いました」
検察官役 小学6年生女の子:
「色んな証拠とかがでて、有罪か無罪か色々自分でも考えてみることが楽しかったし、勉強にもなりました」
●裁判官役 小学6年生男の子:
「自分の判断で人の人生が変わるかもしれないので、希望もあるけど大変だと思った」