園児暴行事件から入園希望変更申し込み40件に 1歳児クラスの保育の現場とは

静岡県裾野市のさくら保育園で当時働いていた保育士の女3人が逮捕された事件を受け、来年度の入園を予定していた保護者からの変更希望が40件にのぼることが分かりました。 
 
 

画像: 園児暴行事件から入園希望変更申し込み40件に 1歳児クラスの保育の現場とは

裾野市「さくら保育園」で発覚した園児虐待事件。

 園児の両足を持って宙づりにする、頭を殴るなどの暴行をしたとして逮捕・送検されたのは、いずれも1歳児クラスを担当していた3人の保育士です。

 捜査関係者によりますと、3人はいずれもおおむね容疑を認めているということです。

 裾野市は事件を受け、来年度さくら保育園や系列の園への入園を希望していた保護者に対し、変更の受付を開始。

 7日までに変更の申し込みは40件に上っているということです。

 市は、新たな入園先については、これから調整していくとしています。

 また、7日までに、さくら保育園に通っていた園児2人の保護者から市に対し、転園や別の園での一時預かりの申し込みがあったことがわかりました。

 このうち1人は、きょうから、市内の別の保育園で受け入れたということです

 逮捕された保育士の女3人は、なぜこうした行為に及んだのでしょうか。

 1人の容疑者と、おととい面会した弁護士は・・・。

1人の容疑者の弁護をする 原 孝至弁護士:
「やっぱり保育の現場というのはすごく忙しい職場のようです。その中で不適切なというか雑というか荒っぽいというかそういう行為になってしまった。今非常に不適切だったと話をしている」

 容疑者は、バインダーで園児の頭をたたいたことを認めた上で、新型コロナの影響で業務や気を遣うことが増えた」と話したということです。

1歳児クラスの保育の現場は

 保育の現場は、特に1歳児クラスは、一体どうなっているのでしょうか。

林 輝彦アナウンサー なかよし保育園 焼津市: 
「焼津市のなかよし保育園です。こちらでは0歳児およそ10人を保育士3人で見ています。いま午前10時を少し過ぎたところです。紙をちぎって元気いっぱいに遊んでいます。」

 焼津市西小川(にしこがわ)のなかよし保育園。

 在籍する園児は、0歳から5歳までの108人。クラスは年齢ごとに分かれています。

 こちらは1歳児のクラス。園児たちは絵本の読み聞かせをしているそばで、飛んで、走って、と元気いっぱいです。

 こちらのクラスの園児は15人。3人の保育士が担当しています。

Qバタバタなんですね

一歳児クラス担当 加藤未果副主任:
「そうですね きょうはまだいい感じで…さっき遊んでいた子 トイレに行った子 食べていた子で(先生が)分かれたりするので」

Q1歳児を見る上で特に大変だなと思うことは?

一歳児クラス担当 加藤未果副主任:
「ちょうどイヤイヤ期に入るので 年齢的に。そこは時期的にあって当たり前のことだが、その子一人一人の気持ちを汲むことプラス安全に過ごすということの、その両方がというと、大人の手が足りないなとすごく感じます」

 続いては、散歩の時間です。保育士は、上着を着せたり、靴を履かせたり、と、大忙し。

園児:
「乗りたい!乗りたい!」

 一方の、園児たちは、早く散歩に行きたいのか、落ち着きません。

保育士:
「いってきまーす」

朝7時から夜7時まで、園児を受け入れているこちらの保育園。

 国は「保育士1人あたり1歳児6人」を基準として定めています。

 この基準について、園長は…。

なかよし保育園 北山茂園長:
「役割分担しても、(人は)いっぱいいっぱいなので、主任がフォローに入ったりとか、回れる人が回ったりするが、常にいられるわけじゃない。いま幼児にしても乳児にしても、子ども主体が求められる。すごく大事なことだが、子ども主体でやるにしては、大人の数が少ない。そういう意味では、もうちょっと配置基準が見直されると良いなと。長年、昭和20年過ぎからある法律が今も変わっていないので、これを契機に本当に国にも考えていただけたらありがたいなと。」

なかよし保育園 北山茂園長:
「本当に、この仕事っていうのはすごくステキな仕事で、子どもの育ちを真ん中にしながら、我々保育者も保護者の皆さんも一緒に大人も育ちあっていく場所が保育園だというふうに思っています。今回の件でいろいろ保育士になるのをためらうこともあったりとか、またこんなことしたらなんかだめなのかなって、保育の萎縮につながることが一番怖いので、今、現場に立っている保育者も自信を持って、保育に向かってほしいし、自分たちもそういう環境を守ってあげたい」

画像: 1歳児クラスの保育の現場は