水分取るのも控える状況 「自分が倒れずにこの子たちを守ってあげられるのか…」 負担増す現場…コロナ病棟医療スタッフは 静岡県
静岡県に緊急事態宣言が適用されてまもなく2週間となりますが、収束の兆しは見えず、県内の医療体制はいぜんとして深刻な状態が続いています。
コロナ病棟看護師「自分との闘い」
静岡県内コロナ病棟の看護師:「患者を殺さずに診てあげられるのか、自分自身が倒れずに、他のスタッフも倒れずに、この子たちを守ってあげられるのか、そういう思いがあって、本当に泣けてきてしまう。自分との闘いでもあると思う」
こう話すのは、県西部のコロナ病棟で働いている30代の看護師の女性です。県内での感染急拡大によって、今まで以上に現場の負担は増していると話します。
県全体の病床使用率は8月30日時点で70.2%、県西部では72.4%、県中部では79.0%にのぼっています。
防護服脱いで、うがい手洗いして…水分とるにも15分以上かかる
コロナ病棟の看護師:「防護服を着て、水分がほしいなと思っても、それを脱いでうがい・手洗いをして休憩室にいって、水分をとったらまたビニール手袋をして、エプロンをしてとやると、次、病棟に入るのは15分以上先になってしまうので、水分を取ることさえも躊躇(ちゅうちょ)してしまう状況。脱水症状になって、夕方になると頭が痛くなってきて、頭痛薬を飲んで働く」
女性は4カ月ほど前に別の担当から、志願して新型コロナ病床に移ったそうです。勤務する病院では第5波によって人手不足が深刻化し、8月から医療スタッフを増員して対応しているといいます。
コロナ病棟の看護師:「まさかこんなに長く続くと思っていなかったし、大変な状況に置かれると思っていなかった。不安できょうの感染対策は大丈夫だったかなと思って夜、急に目覚めて考えるときもあって、すごく不安になる時もある。本当に毎日疲れて帰ってくるので、体力が限界に来ている」
「自分たちだけだからちょっと遊びに…、軽い気持ちが多くの人を苦しめる」
女性の周囲には休日でもワクチンの予防接種会場や軽症者向け療養施設で、アルバイトとして働くスタッフも多いといいます。現場の負担が増す一方、緊急事態宣言による感染の抑え込みには限界も指摘され、自粛疲れによって感染対策の意識が低下しているとも言われる現状に、女性は自分の行動がどのような影響を与えるのかを考えてほしいと訴えます。
コロナ病棟の看護師:「自粛疲れは私たちもあるので、その気持ちは分からなくもないです。ただ一般の病棟の患者でさえも、ずっと面会制限をされていて、手術の時にも家族に会えない。本当に治療を受けられないだけじゃなくて、自分が病気になった時に本当に寂しい思いをして、これからずっとこの生活が続くのはつらいと思うので、今こそ頑張ってほしいと強く思う。我慢している人たちがいっぱいいる中で、私たちだけだからちょっと遊びに行こうという軽い気持ちが、こんなにもたくさんの人たちを苦しめているんじゃないかということを認識してほしいと思う」