「ガラスの町のお医者さん」…脚が取れたガラス商品も『治療』!? 思い出つまった「赤ちゃんのガラスの手形」も… 静岡・西伊豆町
生島さん:「ここは残した状態で、さらにこの新しいフットと言うんですけど、付けるという作業です。なら直ります」
相談者:「使えるんですか?」
生島さん:「使えます」
付き添いの人:「良かったね」
白衣をまとい、黄色の聴診器をつけて診察中…。ハンチング帽が気になります。こちらはお医者さん? いえいえ、ガラス工房の職人です。
西伊豆町の黄金崎クリスタルパークで開かれた相談会。「ガラスの町のお医者さん」と題し、ガラス職人が、修理や相談に応じました。
クリスタルパークがある西伊豆町の宇久須地区は、ガラスの材料となる「珪石」の古くからの産地です。
そんな「ガラスの町」ならではの、相談会。町内の3つの工房から4人の職人が集まり、初めて開かれました。
壊れたら捨ててしまいがちな、ガラス。わざわざ相談に持ち込む理由は…。
女性:「(持ち込んだ)江戸切子は甥っ子が結婚したときに、お祝いをしたお返しにワイングラスをペアでもらったんですけど、足が取れちゃった。(いろいろ試したけど)直ればと思って持ってきました」
壊れてしまっても、思い出が詰まっています。
子どもの手形の飾り物。土台が外れてしまっています。西伊豆町では毎年、生まれた赤ちゃんの手形をガラスにして贈っていますが、実はこれは第1回のときのもの。これに詰まっていた思い出が…。
Q.どなたが作った?
ガラス職人の女性「私です。最初のころ。独立して最初に『何を私たちはやります』というのをアピールするときに『ガラスの手形をやります』と町に約束して。その第一回目の手形。うれしい。
また直せるのが。ずっと残っているのがいいですよね」
相談会では、簡単な修理も。
ガラス職人:「風鈴などは風にさらされるといろいろなパーツが壊れたりなくなったりする。自分の家でも(修理は)できますけど、ちゃんと専門家が作ったパーツをつけることで、新品同様に直すことができる。もうこれは売っていない、でも近いものを作ってほしい、というときはそっくりそのまま作り直す手もあります。やはり思い出のあるものは現物が大事なので、それをできるだけ修理するという心構えでやっています」
ガラスの町のお医者さん。思い出の品に、再び命を吹き込みます。