岸田総理が経済界に要請した「物価上昇率を超える賃上げ」は実現可能か?静岡県内企業トップの本音は…
会場にはこの人の姿も
川勝知事:
「GDPに対応しているのは何かというと個人消費。なので衣食住に1億2千万の人たちが使うお金が増えると消費が伸びる。日本のために静岡県が何ができるかという観点で私は考える時が来ていると」
燃料や物価の高騰、乱高下する円相場など、市民生活だけでなく、経済界を取り巻く環境も厳しさを増しています。
そんな中、岸田総理が年頭会見で経済界に要請したのが、「物価上昇率を超える賃上げ」です。
岸田総理の「物価上昇率を超える賃上げ」要請について企業のトップは
この政府の要請について、県内企業のトップの本音は-。
まず運輸事業者に聞きました。
静岡鉄道 川井敏行社長:
「賃上げに関して、労働組合をはじめとして、いろいろな社員と意見交換をどんどん重ねていく、その準備をしているところ。当然業績がないと賃上げができないので、業績を賞与やいわゆるボーナス、そういった一時金という形で支給することも含めて、生活設計がしやすいようにサポートしていく年になるかなと。それが経済の好循環につながっていくんではないかと思ってる」
遠州鉄道 丸山晃司社長:
「今は世の中の動向も含めて様子を見ながら、どういう対応を取っていくべきかというのを検討しているところ。現時点で電気代等のいろんな価格も上がっていて、事業の方も非常に厳しい状況が続いているので、その辺を考えると、やはりかなり経営的には厳しいというのが本音」
製造業界は
協立電機 西信之社長:
「やはり賃金は大事な要素。特に我々のような商売だと、賃金がすべてとは思わないが、そこで報いるべきことは多々あると思っている。収益を上げるということは必要条件。もう一つ生産性を上げていこうと思っている。そこで効率が上がっていくことで、賃金も上げる余地が出てくると思っている」
スター精密 佐藤衛社長:
「賃上げも大事だが人材育成。賃金だけじゃなくて、大きな人材に対する投資、育成投資を行っていて、ひとりひとり能力をどんどん向上させてもらって、より高い生産性を上げて、利益を出して貢献をしていただくっていうことを、心がけていきたい。なので賃上げプラス、人への投資。育成投資ってことが同様に大事だと」
食品業界は
田子の月 牧田桂輔 社長:
「賃上げしたいところではあるが、会社としては様々な原材料とかエネルギーの価格も上がっているので、会社の経営状況とかも見ながら判断していこうかなと。賃上げムードがあるということは、国内、また働く労働者にとって非常に良い傾向だと思う。ただ大手ほどの賃上げのムードが中小企業にあるかというと、正直厳しいところはあるかなと。ただ方向性としてはそちらに行かなければいけないなという思いではある」
中小企業は
吉田町でアルミの加工をしている静岡物産。
授業員数はおよそ20人です。
代表は政府の賃上げ要請に複雑です。
静岡物産 増田学 代表:
「前向きにという気持ちはあるが、実際のところは厳しい。我々小規模経営者が(賃上げで)高騰した分を要求できるかというと、大手やお得先でも自分たちの社員の給料をあげたり、経費の削減などを考えた時には、当然外注先の値段をあげていこうとはならない。そのギャップというか板挟みに小規模事業者の経営者は苦しい思いをするのではないかと」
経費削減など、できる範囲での対応を行うと言いますが、それにも限界があると感じています。
静岡物産 増田学 代表:
「我々の企業努力というところではコロナ禍の3年間のなかで、仕事は減る、売り上げも伸びないなかでゆとりがかなりなくなっているので、企業努力というところから外れているのではと思う」