静岡県川勝県政2024年はどうなる? 静岡大学・井柳美紀教授に聞く

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石田アナウンサー:
ここからは、川勝県政の2024年について、県内の政治に詳しい静岡大学の井柳美紀教授に占っていただきます。

静岡大学 井柳教授:
よろしくお願いします。

石田アナウンサー:
そして取材を続けている県政キャップの久須美記者です。

久須美舞記者:
よろしくお願いします。

石田アナウンサー:
井柳先生、川勝県政はどんな1年だったでしょうか?

静岡大学井柳教授
「自民党との対決が非常に目立った1年。もとは川勝知事の言動に問題はありますが、一方でもっと自民党が建設的な批判の仕方ができなかったのか。県民不在の政局という面が強かった。自民党が知事の問題を指摘するにあたって、批判政党のようなやり方をとるんじゃなくて、今後どんな県政をやっていきたいのかというビジョンであるとか、不信任を出すのであれば、次のリーダーをどう立てていくのか。そういうところに踏み込んだやり方があったのではないか」

能登半島地震の支援に関する会議を欠席して地元新聞社の賀詞交歓会に

石田アナウンサー:
一方で、やはり知事の言動には注目が集まりました。
    
久須美舞記者:
去年を振り返ってみると…
→いわゆる“コシヒカリ発言”による給与減額問題では県政史上2度目、50年ぶりの不信任決議案が提出されて1票差で否決された。

→さらに、知事が議会に諮っていない構想を、経済界の懇談会で発言したことを受けて、知事が12月定例会で謝罪と、構想の白紙撤回を表明する事態に至った。

一部の議員からは、
「本来こんな知事の言動の良し悪しを議論するのに時間を割いている場合ではない。
県民生活を良くするための話し合いに時間を割くべきだ」という声も上がっていて、非常にもどかしい思いをしている議員もいるよう。

久保アナウンサー:
再撮:会議欠席して祝賀会出席
今年に入り早速、知事が能登半島地震の支援に関するオンライン会議に出席せず、地元の新聞社の「新年のつどい」に姿を見せていたという情報もあります。
会議には、静岡県以外はそれぞれの県知事が出席していましたが、こうした知事の動き、どのようにお感じになられましたか?

静岡大学 井柳教授:
「SNSで大きく取り上げられていたが、被災地支援の会議に出席するというのが、優先されるのが当然。川勝知事1人が欠席というのも気になる。知事の判断ももちろん問題になるが、同時に組織の問題でもある。周りに助言する人がいなかったのかどうか、組織の在り方も気になる。」  

静岡大学 井柳教授
静岡大学 井柳教授

川勝県政今年の課題は

石田アナウンサー:
県政には様々な課題もあるかと思います。川勝県政、今年はどんな1年になりますか?

静岡大学 井柳教授:
「実は年末に知事にインタビューする機会がありました。その時に議会とのコミュニケーションということを言う一方で、議会の今の在り方は健全でないとか、自民党を野党だとか挑発的な言い方をしていた。昨年の対立的な構図は今年も持ち越されるのではないかという気がした。一方議会の方を見ると、自民党も一枚岩ではなくて、中で多様な意見があったと聞いている。また、ふじのくに県民クラブもただ知事を支えているんではなくて、県の政策の見直しの提言を知事にしている。本来の議会の在り方に戻してくれたら、そこに知事も加わってくれればいい」

石田アナウンサー:
今年の県政の課題は?

静岡大学 井柳教授:
「物価高の中の県民生活。人口政策。それ以外にも知事肝いりの文化政策の成果については検証されるべき。こういうことに対して県議会で活発な議論を期待したい。」

静岡朝日テレビ
静岡朝日テレビ

リニア問題は

久須美記者
新春対談では、知事に「今年、県政にどう向き合っていくのか」ということについて聞きました。

川勝知事 VTR
「県議の皆様方と会う機会はたくさんありますよ。そこで立ち話も含めてですが、いろいろなコミュニケーションが取れるでしょう」

「言動を慎んで、不信なことはしない。あるいは恥ずかしいことはしないということをしていけば信頼関係を取り戻せるという自信はあります」

久須美記者:
知事は「移動知事室や、プライベートな時間も含めて、県民、議員と対話することを続けていく」と力強く話した。
知事にとっても「コミュニケーションを積極的に取る」ことが重要だと、そういった意識があるよう。

石田アナウンサー:
そして全国的にも注目を集めているリニア問題。
静岡県が工事の着手を認めていない状況ではありますが去年、大きな動きもありましたね。

久須美記者:
国の有識者会議では、環境保全に関わる報告書がまとまり、 先月、国交大臣に報告書が提出された。

さらには、JR東海が工事完了の予定時期について「2027年」としていたものを「2027年以降」に変更。
その理由は「静岡工区に着工の見込みが立っていない」。

こうした動きがある中で…
川勝知事は、環境保全の問題をしっかり解決してから工事の着工をするべきだということで、「部分開業」を主張している

引き続き、リニア工事の様々な課題に対する川勝知事と難波市長の連携が注目される。

石田アナウンサー:
知事と市長、連携がポイントにもなるということですね。
井柳先生はこの問題、どういった協力が必要になると思いますか?

静岡大学 井柳教授:
「部分開業については難波市長も批判していてその通りだと思う。問題の解決に当たってはいろんな関係者との連携がもっとあってもいいのではないか。知事のスタンドプレーが目に付く。特に自民党の議員がもっとこの問題にコミットして一緒にやっていくことが今後重要だと思う。」

久須美記者
久須美記者

川勝知事は次期知事選挙に出馬できるのか

石田アナウンサー:
知事の任期は残り1年半。再来年には知事選があります。川勝知事は、再選出馬すると思われますか?

静岡大学 井柳教授)
 「年末に知事にインタビューしたとき聞いたのですが、出馬する理由も出馬しない理由も語っていた。出馬する含みは残している。5選の知事は静岡県政史上1人もいない。出馬することもできなかった。多選批判の中で5選はハードルが高い。そこにたどり着くには1年間知事がどういう風にやっていくのかにかかっている。今年あと1票で不信任が成立していたが、前回の県議選でもっと自民党が組織的に戦っていたら不信任に必要な票はそろっていた。自民党の対川勝の在り方が本気に見えない。選挙に勝つ気なら1年半後の知事選に向けどういう候補を立てるのか真剣に向き合う必要がある。ふじのくに県民クラブも知事とどう向き合うのか明確にする必要がある。自民は名前ではなくてもどういう知事を求めるのかリーダー像や求める県政のイメージを示していく必要がある。ふじのくに県民クラブも川勝知事でなければ自力で出せるのかどうか、そこが重要。」
 
石田アナウンサー
井柳先生に知事の2024年、占っていただきました。ありがとうございました。

静岡大学 井柳教授
静岡大学 井柳教授