袴田巌さんの弁護団が検事総長の談話に抗議「無罪になった人を犯人視」「ねつ造を深刻に受け止めて検証するべき」

9日無罪が確定した袴田巌さんの弁護団が会見を行い、検事総長が出した談話が「名誉棄損にあたる」などと抗議しました。

小川弁護士:
「検事総長が控訴をしないということに関して談話を発表されています。けれどもその内容が非常に不当であると考えてただいま検察庁にこれを交付してきました」

 袴田巌さんの弁護団が先ほど、緊急の記者会見を開きました。

 袴田さんの無罪判決に対する控訴断念を決めた際、検事総長が出した談話に抗議するためです。

 弁護団は検事総長談話で、判決について「控訴すべき内容」と書かれていることに触れました。

小川弁護士:
「特に検事総長の談話の中では、袴田さんを犯人扱いをしていると犯人視しているような、それが非常に無罪にもう確定したにもかかわらず、無罪になった人を犯人視するというのは、犯人のあの犯人だというふうに呼ぶことはですね。ということは、これは名誉毀損になりかねないというふうに考えています。検察官も警察と連携したねつ造ということを深刻に受けとめていただいて、これからこういうことが二度とないようにですね。検証をするべきだということで終えております」

 袴田巌さんは58年前、旧清水市でみそ会社専務一家4人が殺害された事件で、一度は死刑が確定。

 しかし再審で、静岡地裁は9月26日、捜査機関のねつ造を断定した上で、袴田さんに無罪判決を言い渡しました。

 そして9日、検察が上訴権を放棄し、袴田さんの無罪が確定しました。

 10日袴田さんの姉、ひで子さんも、オンラインで会見に参加。

 袴田さんの様子を語りました。

袴田ひで子さん:
「巌は相変わらずでしてね。あの決定したよって言ったんですが、まだピンときていないようで、無罪になったということはわかっているんですが、これ以上のことは何だかわけのわからんような状態です。私はもう無罪確定ということで、ただうれしくて、今のところとなって喜んでばっかりおります。あとは、いろいろ批判するなんていうことは、今のところ思いつきませんし、今のところはうれしいというだけで、ほかのことは考えられない状況です」