土石流から1年…いまだ127世帯が帰れず 1年半後の小学校入学までに戻れるか不安 静岡・熱海市
石田和外アナウンサー:「こちらの警戒区域は、発災から1年が経とうとする今も立ち入ることができせんが、きょうは月に3回設定されている被災者の立ち入り許可日です。あちらにも自宅の片づけをする人の姿が見えます」
土石流の警戒区域に自宅があり、現在避難生活を送るのは127世帯。この日は、18世帯29人が市に申請をして、自宅の片付けや換気をしました。
Q.実際に自宅ではどんな作業を?
小磯栄一さん:「雨漏りしていないかを見るのが第一。衣類とかそういうものを持ってきた」
小磯栄一さん。1年前の土石流で娘の友紀さん(当時44歳)を亡くしました。
Q.あれから1年お気持ちは?
小磯栄一さん:「あんまり変わらない。起きた時と一緒で、あんまり思い出したくないというものある。家内はもっとそれがひどくて、もっと悪くなっている。前は気を張っていたから、ふと落ち着いてみると…。だから一時帰宅も滅多に来ない」
Q.奥様は?
小磯栄一さん:「出来れば戻りたい。だけど見通しが立ってから考えようと思っている」
被災者を繋ぐ「親睦会」
6月23日、被災者と被害を免れた伊豆山地区の住人らとの親睦会。ここで被災者と向き合うのが、県の被災者支援コーディネーターを務める鈴木まり子さんです。
浜松市に住む鈴木さんは、これまで東日本大震災や熊本地震などで被災者支援に取り組んできました。この1年、熱海に拠点を置き、被災者と行政、そして支援する人たちをつないできました。
参加者の中に、避難所のホテルで知り合った30代の女性を見つけました。
女性:主人もお母さんも思い入れが強いので
鈴木さん:伊豆山?
女性:伊豆山も家も思い入れが強いので
鈴木さん:みんな家族が帰るって決めてるところは結構いる。あとは学校に間に合うといいね
女性:学校ですよね
1年半後に迫った子どもの小学校入学までに伊豆山に戻れるか。女性は不安を抱えていました。
鈴木まり子さん:「ちゃんと会ってじっくり聞くことが必要だと。役割によって話せることと話せないことがある。私みたいな第三者だから結構言える家族の愚痴とかあるのかなって、きょうは思って。市役所の人に言えないこともあるかもしれないし」
親睦会に参加したのは被災者5人、地元の人7人の合わせて12人。4月から月2回のペースで開かれていますが、まだ認知度が低く、参加する人は限られています。
伊豆山ささえ逢いセンター 前川美奈子さん:「みなし仮設に訪問に行った時に、被災者同士集まれない、バラバラに避難しているので集まって話をする場が欲しい、ということでスタートしている。ニーズとあっていないのかなと」
誰もが訪れやすくするため、様々な工夫をしています。初めて取り入れた温灸サービスは好評でした。
●温灸体験
前川さん:すごいドキドキするんだけど
鈴木さん:あったかくなってきた ふつうはスタッフがやって、大丈夫だってお勧めするのに、逆だよね(笑い)
バラバラに暮らす被災者同士をつなぐ場所。地元伊豆山の人たちと交流する場所。そして、支援に取り組む人たちが声を聞く場所。熱海のために。伊豆山地区のために何ができるのか。
鈴木まり子さん:「聞かせていただくことしかなくてゴメンねって。さっきも言ったが、解決できることも出来ないこともあるので、それでも本人が話せることがいいのって愚痴を話に来たのって言ってくれたので、一番大事なのはどんな場にしていきたいのかを、被災された方や地域の人でどんな場にするか考えていくのが大事。こんな場がいいと提供するのではなく、私たちが作っていく場だと地域に人も含めてなっていった方がいい」