静岡市の難波市政は大型事業「海洋地球総合ミュージアム」「サッカースタジアム」とどう向き合うのか

静岡市の難波市長が就任して1カ月が過ぎました。前市長が計画した大型事業の数々とどう向き合っていくのでしょうか。

画像: 静岡市の難波市政は大型事業「海洋地球総合ミュージアム」「サッカースタジアム」とどう向き合うのか youtu.be

静岡市の難波市政は大型事業「海洋地球総合ミュージアム」「サッカースタジアム」とどう向き合うのか

youtu.be

静岡市・難波喬司市長 静岡市役所・12日
「整備を計画、または検討している3つの施設については、SDGsや脱炭素など、新しい時代に適応したより良い施設、事業内容とするため、公的関与の意義と民間事業者の力の活用方法について改めて整理したうえで、施設整備内容、展示内容、検討の進め方を、以下の通り変更いたしました。」

 先週の会見で、静岡市の難波喬司市長が見直しを表明した3つの事業。

 それは、清水区に建設が予定されている「海洋地球総合ミュージアム」。

 大型プールが多くの市民に親しまれてきた「大浜公園の再整備事業」。

 そして、老朽化が進むアイスタに代わる、新しい「サッカースタジアム」です。

田辺前市長肝いりの…

 これらは、どれも田辺信宏前市長肝いりのいわゆる「ハコモノ事業」で、整備費用はどれも億単位。

 今年度の当初予算にも、調査や整備のための費用がしっかりと組み込まれています。

静岡市・田辺信宏前市長 2月
Q.新年度予算をフル型でガチガチのものを作ってしまうと、執行責任を負うのは誰になる?

画像: 田辺前市長肝いりの…

「逆に誰が負うんですか?(笑)新しい市長だと思いますよ。 市長が与えられた条件の中で執行すればいいだけの話です」

海洋地球総合ミュージアム

 就任会見で、「即断即決」の姿勢を掲げた難波市長。
今回の見直しによって、「田辺カラー」が色濃いハコモノ事業を、「難波カラー」に塗り替える方針を示したことになります。

画像1: 海洋地球総合ミュージアム

 この3つの大型事業の中で、169億円と最も整備費用が高額な海洋地球総合ミュージアムについては、すでに事業者側との交渉を始めたことが明らかにされました。

静岡市・難波喬司市長 12日
「デジタル系の展示をしっかり入れるということですね。あるいはVRとかバーチャル系のものも入れていくということですね。集客力、魅力の点で持続可能性を高めていくことが大事だと思います」

 これまでの計画では、この施設の“目玉”が駿河湾に生息する大型の魚類が観察できる大水槽とされていました。

画像2: 海洋地球総合ミュージアム

 難波市長は、この大水槽の計画をどうするかまでは言及しませんでしたが、「交渉の段階で議論を進めるべき問題」として、見直しにも含みを持たせています。

 一方で、自身が選挙期間中から掲げていた169億円という負担を圧縮していくことについては…

静岡市・難波喬司市長 12日
「169億円というのは、契約で決まってるわけですから、それを下げることを
前提として交渉するというのは、先方との関係から言っても、適切ではないと思っております。」

いっぽう、2年後のリニューアルが予定されている「大浜公園」については、
市が策定した「地球温暖化対策実行計画」などを反映した内容にするよう、
今後、事業者と協議を図っていくとして示しています。

画像3: 海洋地球総合ミュージアム

「新たなサッカースタジアム」

そして、JR清水駅の東側、石油元売り大手の「エネオス」の土地への建設が
最有力とされる「新たなサッカースタジアム」についても、自身の考えを示しました。

画像1: 「新たなサッカースタジアム」

静岡市・難波喬司市長 12日
「この場所はスタジアムを新設する場合には、サッカー利用だけでは採算が成り立たないのは明白です。民間事業者の創意工夫や自由な発想を制限することにならないよう、現段階では市が率先して、スタジアム・施設計画案は描かないことに致しました」

 難波市長は、民間事業者が施設計画のアイデアを描きやすくなるよう、市が、津波や土壌汚染などの安全性、土地に関する法規制などの調査を行い、その結果を明らかにすると発表。

画像2: 「新たなサッカースタジアム」

 また、既存の「アイスタ」がJリーグの基準を満たすために必要な、全観客席への屋根の設置や、トイレの改修などについて、費用を試算する考えも示しました。

 そうした中で、記者からはこんな質問が…

Q.市が施設のイメージ案を示さないで、民間が手を挙げてもらえるものなのか?

静岡市・難波喬司市長 12日
「いろんな施設整備計画案を作ってもらうためには、条件を明確にしておくことが極めて重要だと思っている。これを提示することによって、いろんなアイデアは必ず出てくると思っている」

画像3: 「新たなサッカースタジアム」

静岡大学 井柳美紀教授

 市長就任から1カ月。

 自身の“色”を打ち出している難波市長について、県内の政治に詳しい静岡大学の井柳教授は・・・

画像1: 静岡大学 井柳美紀教授

静岡大学 井柳美紀教授:
「清水のサッカースタジアムは、土壌の汚染と土地の利用に着手したというのは、まずこの土地がそもそもどの程度の負担で使えるのかという、まず一番最初の一歩をきちんと明らかにするということではスピード感ある取り組みだったという風に言えるのかなと思っている」

 その一方で、こんな指摘も・・・

画像2: 静岡大学 井柳美紀教授

静岡大学 井柳美紀教授:
「今後長い目で見ると、やっぱり市民の利害が対立するような案件で、どう調整をして行くのかというのは、田辺さんもハコモノ施設の中で一部非常に苦労されたところで、そういったことが難波市長にも訪れるかもしれないので、そこら辺でどういった手腕を発揮していくのかというのは、今後注目して行きたい」

 注目が集まる難波市政。

“静岡市の大型事業”をどのように舵取りしていくのでしょうか。

画像3: 静岡大学 井柳美紀教授