土石流災害で母と弟亡くした女性 毎年お正月は故郷に帰っていたが…目の前に広がる現実 静岡・熱海市
「天災でなく人災」
酒井真理乃さん:「母と弟を一辺に失いまして、家もまったく何もなくなって帰るところが、熱海で生まれ育って、必ず帰るところがあると思っていたのが、全部なくなった」
酒井真理乃さん(66)。去年7月の土石流災害で、母の太田佐江子さん(当時93歳)と弟の幸義さん(当時64歳)を亡くしました。
酒井真理乃さん:「これは絶対、天災じゃなくて人災だと思います」
跡形もなくなった実家 思い出の写真も…
熱海市で発生した大規模な土石流。26人が亡くなり、未だ1人の行方が分かっていません。去年年末の12月26日、酒井さんは、佐江子さんが見つかった場所に初めて花を手向けました。
酒井真理乃さん:「改めていなくなっちゃったので、天国で安らかにしてね。それだけです」
佐江子さんは、自宅があった場所から100メートルほど流されたところで見つかりました。
熱海市伊豆山を離れ、東京で暮らして40年。ふるさとの景色が変わってしまいました。
酒井真理乃さん:「普段生活しているのは、向こう(東京)ですので、まだここに来れば会える。うちがある。分からない、何が起こったのか」
跡形もなくなった実家…。思い出の写真だけでなく、佐江子さんの知人の連絡先も流されました。
酒井真理乃さん:「資料もまったく何もないから、連絡のしようがないんですよ。どことつながっていたかも。なんにもなくなっちゃったから」
母の元同僚が届けてくれた写真
6年前の写真。佐江子さんと並んで写るのは、真鍋梅美さんです。佐江子さんと同じ職場でした。
真鍋さんから去年、酒井さんに連絡があり、佐江子さんの写真を届けてくれることになりました。
真鍋梅美さん:「お体気をつけてね。また、何か資料があったら、写真なんかがあったら、送らせて頂きます。思い出の写真がいっぱいあるから送りますので」
この日が初めての対面。思いがけずできた母の知人とのつながり。
酒井真理乃さん:「ありがとうございます。残されたものでしっかりとやっていきたいと思いますのでよろしくお願います」
目の前に広がる現実
そして、今月3日。
酒井真理乃さん:「やっぱ、あっという間ですね。いまだに分からない。
実感はないけど、家がない。母も弟もいないので、現実を見せられたて感じですね」
毎年、お正月は伊豆山の実家に帰るのが恒例でした。
酒井真理乃さん:「(母とは)必ず湯河原の方とか函南の方がいろいろお店があるので」
Q.よくなんか洋服とか何かその食品とか
A.「うん、食べ物とか生活雑貨を買い出しに行って」
基礎のみとなった自宅…。立ち入ることも許されていません。ふるさと・伊豆山の今の景色です。
酒井真理乃さん:「なんでそんなことになったのかはっきり究明してもらいたい。まだまだ、これから皆さん大変ですから、これから、いろいろと頑張ってやっていきたいと思います」