「物価の優等生」卵も値上げ スーパーはギリギリで販売「利益が厳しい」 養鶏場もエサ代に電気代「やめる人も出ている」 静岡
スーパー「高い値段付けられない」「利益厳しい」
スーパーでは…。
栗田麻理アナウンサー
「静岡市内のスーパーに来ています。こちらには、卵10個入りが190円で売られていますが、去年の同じ時期と比べて30円ほど値上がりしているということです」
卵は安定的に生産ができ、販売価格が一定で特売も多いことから「物価の優等生」ともいわれています。だからこそ、値上げには買い物客も敏感です。
買い物客 70代:「うーん、多少上がっていると思いますが、年金暮らしだと大変。上がってくると何でも」
買い物客 40代:「毎日来ているが、(卵の価格が)上がっている。毎日2、3個は使うので それでも卵の量を減らすしかない」
Q.卵に限らず、かなりの商品が値上がりしているが家計にとっては?
A.「きついですね。給料が上がっているわけではないので 物だけが上がっていくので辛い」
値上がり傾向の「卵」ですが、スーパーでは、ギリギリの価格で販売しているといいます。
田子重西中原店 増田克己店長:「仕入れた金額に対して、それほど高い値段を付けられないので、売り値も同じぐらいで販売している」
Q.売り上げも厳しい?
A.「売り上げというか、利益の方が厳しい」
家計にも影響を与える卵の値上げ。生産現場では、さらに大きな影響が出ていました。
養鶏場 エサのトウモロコシが2倍に
栗田麻理アナウンサー(静岡・葵区 15日):「静岡市葵区の養鶏場です。ウクライナ情勢などの影響で飼料の仕入れ値が今年に入り急激に高騰し、卵の値段も上がっています」
静岡市葵区の「清水養鶏場」。およそ1万4500羽のニワトリを飼育し、1日およそ1万3000個の卵を生産しています。
栗田アナ:かなり大きな建物ですね。
清水養鶏場 清水茂取締役:「そうですね、ここでエサを作っている」
栗田アナ:ここでエサが作られているんですね。
清水取締役:「ドラム式の大きなかくはんしている所がミキサー。ミキサーの中に原料を投入してエサを作っている」
ニワトリのエサは穀物など、およそ20種類を配合しています。そのうち6割以上を占めるのがトウモロコシ。主にアメリカから輸入しています。
ウクライナ情勢の悪化により、トウモロコシの仕入れ値は今年に入り急激に上昇。2年ほど前はトウモロコシ1トン当たり3万5000円ほどでしたが、今では2倍の7万円に。
エサ代も去年は月350万円ほどでしたが、今年は月500万円になってしまいました。
清水養鶏場 清水茂取締役:「今年のウクライナ侵攻からどんどんトウモロコシの値段が上がって今が一番のピーク。今までの利益は1年に何百万円か利益が出れば、100万円出ればいいところが、経費で1000万円を超えると絶対にやっていけない状況に陥っている」
さらに鶏舎は24時間稼働していることから、エサ代だけではなく、電気代もかかり、経営はかなり厳しい状況だといいます。
清水養鶏場 清水茂取締役:「日本全体でみれば、エサが値上がりしたということは、養鶏農家が大変な思いをしている。養鶏農家が対策を出来る人はいいが、出来なかったらやっぱりやめざるを得ない。赤字を背負って倒産や家を取られてしまうことになるなら早くやめた方が負債が少なくていいと考えるので、やめている人も出ている」
自慢の卵は、市内のスーパーなどに卸したり、自社の直売所でも販売しています。直売所では「卵」をはじめ、プリンなどの加工品を今年5月から一律10円値上げしました。
一方、スーパーに卸す分については…
清水養鶏場 清水茂取締役:「直に取引しているところはこちらの希望に沿った形で直売店(の値上げ)は10円だが、(スーパーなどの)業務用は今まで安く納めていたところは(値上げが)20円30円と差が出ている。そこら辺のところで 業務用を値上げさせてもらっている」
“物価の優等生”のイメージが定着している卵は、生産者側も大幅な値上げに踏み切れないのが実情だといいます。
清水養鶏場 清水茂取締役:「卵の価格を10円値上げしただけでは本当に追いつかない。本来だったら50円ぐらい上げたいが、一気に50円上げて お客さんに嫌われてしまうのでないかと心配をしながら、いろんな食品が値上がりしている中で、ちょっとでも安い物を探そうという動きもあるのを見ると、上げればいいというわけでもない。我慢しなければならないところは我慢して様子を見て、1年、2年経った時にこのままでやっていけるかどうかを考えながら先のことは決めていきたい」