コロナ禍でお座敷キャンセル…芸者がオンラインで 静岡・伊豆の国市 伊豆長岡温泉
3月以降、お座敷はキャンセル
静岡県伊豆の国市の伊豆長岡温泉。県内有数の温泉地で、芸者文化が残る数少ない街です。しかし、コロナ禍でその環境は一変しました。
宮本さん:「ほんとに0に近いですよね、100から0っていう感じです」
伊豆長岡で26年間、芸を披露してきた宮本九美さん。芸者が働く飲食店のオーナーでもあり、現在、3人の芸者を抱えています。しかし、去年3月以降、予定していたお座敷はすべてキャンセルに…。
アルバイト2つ掛け持ちで…
宮本さん:「お座敷も大勢集まったり、(密になって)どうしてもお酌すると密になるし、なかなかマスクもお座敷中にするって、なかなか難しいのでお客様も敬遠されたり」
芸歴20年の芸者、きなこさん。コロナ禍で収入は9割以上減り、アルバイト2つを掛け持ちする生活です。
きなこさん:「昼間はリラクゼーションマッサージと、週3回のトマトの収穫に行くようになりました」
お座敷も出られない、稽古にも行けない、頭で考えていることに、気持ちがついていかない状況
宮本さんの店はこの1年、開店休業状態。それでも、花柳界を取り巻く厳しい状況に抗うため、新しい挑戦を決めました。
お座敷にはカメラとパソコン
中野結香アナウンサー:「こちらのお座敷は普段宴会で使われている場所ですが、お客さんの姿はありません。その代わりに、カメラやパソコンが置いてあります。実はこの場所、コロナ禍でも、どこからでも参加できるオンラインお座敷を開催する会場になっているんです」
宮本さん:「私も母の思いを継いで、伝統文化としての芸者文化を守っていきたいって思ったんですね。母が芸者だったんですが、その影響で子どもの時からお稽古をさせられていて花柳界とか芸者文化が大嫌いだったんですね。大人になってから(バスガイドの仕事で)カナダに行って、すごく素敵な歴史があるのになんでって言われて、芸者も文化かなって」
1960年代半ばに400人を超える芸者がいたとされる伊豆長岡ですが、現在は十数人ほどまで減少。コロナ禍の今、「オンラインお座敷」は、芸者文化を継承していくための取り組みでもあるのです。
いよいよ開催…オンラインお座敷
開催当日?
お座敷
「皆さんきょうは1時間ですが楽しみましょう、カンパーイ」
この日のお客は11人。三味線の音色にあわせて踊りを披露し、お座敷が始まりました。
クイズはリモートでもコミュニケーションを取れるようにと、「オンラインお座敷」で新たに取り入れたもの。
お客さん:「若いときに伊豆長岡で芸者さんと飲み会をやったことがあるんです。自分の家でそれを体験できるっていうのは、すごく嬉しくて、それを他の人にも知ってもらいたいなと思いました」
宮本さん:「普通にお座敷が戻れば、当然オンラインっていうのは少なくなってくると思うんですけど。100%戻るのは中々難しいと思うんですよね。今度は、芸者を知らない、呼んだことのない人たちの入り口として、こういう新しい形を取り入れて伝統文化としての芸者文化を残していきたい」