富士市の飲食店に時短要請 背景には医療態勢のひっ迫 静岡県
川勝知事は21日午後、臨時会見を開き、感染が急拡大している富士市の飲食店に、営業時間の短縮を要請すると明らかにしました。調整を進めてきた新型コロナ対策担当の西村大臣から21日午前、了承を得たということです。
対象は市内全域で酒類を提供する飲食店及びカラオケ店です。23日から来年1月5日までの2週間、午後8時から翌朝5時まで営業の自粛を要請しました。
川勝知事:「すでに要請を行っている都道府県の事例と、年末年始の人の流れを考えて、残念ながらクリスマス、年末の1月5日までの2週間を要請する」
要請に応じた店舗には1日4万円の協力金を支払います。協力金の8割は国の交付金をあて、残りの2割のうち3分の2を県が、3分の1を富士市が負担します。
時短要請に踏み切った背景にあるのが、相次ぐクラスターで富士市内の感染者が増えていること。そして、医療態勢のひっ迫です。
静岡県によりますと、市内の病床使用率は92%と深刻な状況です。この病床使用率や、人口10万人あたりの1週間の新規感染者数など、国の6つの指標のうち、4つで「ステージ3」を超えています。
川勝知事:「医療従事者、医療体制の崩壊は何としてでも避けなければならない。ご自身のみならずご家族、地域の皆様方、(医療)関係者のためになるということで、この年末年始はぜひお静かにお過ごしいただくように県民の皆様にお願いしたい」
飲食店「時短要請終わったら安全と発表して、でないと街が死んでしまう」
林輝彦アナウンサー(JR富士駅前 正午ごろ):「新型コロナウイルスの感染拡大を受け、県は富士市の飲食店などに対し、営業時間の短縮を要請します。街の皆さんの反応は…」
JR富士駅前の商店街は、県の「重点検査区域」となっていて、多くの店がシャッターをおろし、閑散としています。そんな中、酒類を提供する飲食店などへの時短要請が決まったことに市民は。
富士市民 70代:「時短(要請)の影響というのは商店街にとって、業種に関わらず大きいと思う。時短(要請)がなくても、人通りが本当に少なくなっているので」
Q.(協力金の)1日4万円という金額についてはどう感じる?
富士市民 70代:「飲み屋にとっては、それでは足りないのではないか」
富士市民 70代(居酒屋で40年勤務):「いま富士の街は人通りも全然少ないし、ほかから来る客もいないから、飲食関係の人はやっていくのも大変だと思う」
Q.この辺りの家賃の相場はどれくらい?
富士市民 70代(居酒屋で40年勤務):「だいたい15万円前後」
Q.じゃあ4万円だと全然足りない?
富士市民 70代(居酒屋で40年勤務):「足りない、人を使わないといけないから」
富士市で50年以上続く飲食店でも酒類を提供しています。
時短要請は売り上げに直撃するだけに不安を隠せません。
飲食店:「いまの時期が一番忙しい時期、やっと12月になって少し売り上げが伸びるかなという感じだったのに、こういう(時短要請)になったので、飲食業界は皆大変だと思う」
現在、週末の予約がほとんどキャンセルとなり、今月の売り上げは「ほとんどない」といいます。時短要請に協力すれば、国から協力金が支給されますが、1日4万円は決して十分な金額ではありません。
Q.協力金が1日4万円というのは?
飲食店:「私たちには(4万円では)大変だと思う。従業員もいるから。8時からが(客の)ピークなので。この地区の(時短要請が)終わったら、安全だということを知事も発表してもらわないと、この街は死んでしまう。そこのところは固く約束してもらいたい」