朝どれ野菜販売に「御書印」、すごろくも… 老舗書店の生き残りをかけた挑戦 静岡・伊東市

インターネットでの買い物が珍しくなくなった今、その陰で生き残りに必死になっているもののひとつが書店です。静岡県伊東市のある本屋では、さまざまなアイデアで客のハートをつかもうと挑戦を続けています。

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本屋さんの店頭に朝どれ野菜?

伊東市に3店舗を構える「本のサガミヤ」。120年以上前に創業した歴史ある書店です。その駐車場に並ぶのは…
 ダイコンにネーブルといった地元の朝どれ野菜や果物。まるで市場のようですが、なかなか売れ行き好調のようです。

女性客(70代):「ちょこっと来たついでにて買えるのは意外といいと思います」

夫婦客(60代):「そのつもりなかったけど、店先にあるからね。本も買いましたけど」

Q:ダイコンも?

夫婦客:「ダイコンもついでにね」

 異色の組み合わせだけでなく書店好きにストレートに訴える企画も。この店で去年導入したのが「御書印(ごしょいん)」。神社や寺を参拝した証しの「御朱印」のように
その店ごとの「ご書印」をウリに来店客を増やす狙いです。大手出版社が始めたプロジェクトで、全国300店以上が加盟しています。

「御書印」で来店を促進

異色の組み合わせだけでなく書店好きにストレートに訴える企画も。この店で去年導入したのが「御書印(ごしょいん)」。神社や寺を参拝した証しの「御朱印」のようにその店ごとの「ご書印」をウリに来店客を増やす狙いです。大手出版社が始めたプロジェクトで、全国300店以上が加盟しています。

画像: 「御書印」で来店を促進

 こうしたアイデアが必要な理由は、書店が置かれる苦境にあります。若者の本離れやインターネット販売の普及などが影響し、静岡駅前の大型書店でも閉店に追い込まれました。

 長年地元市民に愛されてきた「本のサガミヤ」も、来店客はピーク時の半分以下だといいます。

本のサガミヤ広野店 
青木好美 副店長:「コミックや小説も、電子書籍で読める時代になってますし、検索すればなんでもすぐに出てしまうということで大変厳しいところはあります」

オリジナルの「すごろく」も

れでも生き残りをかけて、あきらめません。店では、こんなものも開発しました。

三浦徹記者:「こちらにおかれているのが、伊豆半島を舞台にしたすごろくです。実はこの商品、この書店が発行したオリジナルのすごろくなんです」

画像1: オリジナルの「すごろく」も

 『いずのペンギンさんちすごろく』と題したこちら。ぺンギンの親子が伊豆半島の名所をめぐるストーリーのすごろくです。韮山反射炉や石廊崎などおよそ60か所が登場します。デザインしたのは、伊東市在住の絵本作家・いわいとしおさん。取り上げた各地に自分で足を運んだそうです。

いわいとしおさん:「家族で何度もドライブをしながら周って。それで初めて知った伊豆のおもしろさみたいなこともすごくあってそれでこれを描き上げた」

 妻の田中清代(きよ)さんも絵本作家で、実は店の「御書印」をデザインしたのもこの2人。作家にとっては本が売れさえすればネットでも同じ…ということはなく、街の書店は欠かせない存在だといいます。

いわいとしおさん:「本作って勝手にネットで売ってもらえば終わりではなくて、もちろんサイン会もそうですし、親子向けのワークショップもそうですし、そういうのにすごく力をいれているんですね。人の心が動くのはそういう人と人との触れ合いがまず大事であって、それを実現するためには本屋を守っていかなければいけない」

田中清代さん:「私自身が、子どものころにおこづかいをにぎりしめて近くの本屋さんに行って、それがとても楽しみだった。もともと本屋さんが好きっていうところがあるので、なくなったらさびしいなと思うので残ってもらいたい」

 『あの本屋さんに行くと、何かわくわくすることがありそう』。そんな思いの人たちに支えられ、街の書店はきょうも頑張っています。

本のサガミヤ広野店 
青木好美 副店長:「御書印、ダイコン、そして今はおせんべいなども店頭においております。みなさんがそれを通して書店に足を運んでいただければ、一つのコミュニケーションにもなります。ネットで本を購入することも、ほとんどできます。そこと違った目線で書店に足を運んでいただきたい」

画像2: オリジナルの「すごろく」も