【リニア】「けしからんこと」静岡・川勝知事がJRに激怒 ボーリング調査開始に /今週の静岡

 JR東海は山梨県側でのボーリング調査の開始を発表しました。静岡県の川勝知事は不快感を示していて、「けしからんこと」と強い言葉で非難しました。

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【リニア】「けしからんこと」静岡・川勝知事がJRに激怒 ボーリング調査開始に /今週の静岡

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静岡 川勝平太知事(21日):「けしからんこと。双方向でのコミュニケーションを約束したはずなのに。無視された。こんな勝手なことをしていいのかと」

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 川勝知事が怒りをあらわにするのは、リニア中央新幹線の工事に関してです。2027年の品川~名古屋間のリニア開業を掲げるJR東海。しかし、静岡工区が着工出来ていないことから、目標達成は極めて厳しい状況です。

 現在、南アルプストンネル工事は、山梨県側から静岡県に向かって掘り進められていて、県境に800mのところまできています。そんな中、JR東海は本体工事の前に、小さな穴をあけ地質や湧水の「調査」をするためのボーリングをしたい考えを示していました。

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JR東海 金子慎社長(去年11月):「いきなり大きな断面のトンネルを掘ることに比べれば、このボーリングをすることによって、いろんな危険を避けるための情報、あるいは湧水の状態等、いろいろ情報が得られるので、これをやった方がいいだろうと申し上げている。

県専門部会でも「どうやって返すのか決めておかないと」

 一方、県は「工事の一環」として反発。県境から山梨県側の250m付近に断層と地質がもろい区間があり、県境付近の断層帯とつながっていると読み取れるとして、静岡県の水が山梨県側に流れてしまう恐れがあると懸念を示していました。

画像: 県専門部会でも「どうやって返すのか決めておかないと」

 県の専門部会でも…。

県専門部会 塩坂邦雄委員(去年12月):「(県外に水が)出た時に、その水が仮に静岡県の水だとしますよね。それをどうやって返すのかを決めておかないといけない。それが膨大だったら返せない」

 これに対しJR東海は…。

JR東海 担当者:「仮にボーリングの先端が県境付近の断層帯に差し掛かったとしても、流入する湧水が静岡県内の地下水に影響し、大井川の水資源利用に影響を与える可能性は小さいと考えられる」

大井川流域の市長は…

 また大井川流域の市や町と県の専門部会の委員との意見交換会でも、ボーリングが話題の中心となりました。

画像1: 大井川流域の市長は…

島田市 染谷絹代市長(去年12月):「こんなに皆さんが不安を持っているものが少しでも科学的・工学的に根拠が得られるならば、これはやる価値があるのではないかと」

県専門部会 森下祐一部会長:「私はボーリングそのものを否定しているわけではない。ただ、このボーリングを今行う必要はないと判断した」

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菊川市 長谷川寛彦市長:「(水が)抜けてしまうという不安を、逆にすごく感じてきた。今まではこの調査をやった方がいいのではないかとすごく言っていたが…」

21日からボーリング調査開始

 流域の市や町でも意見は様々です。県は1月末、ボーリングをめぐって、JR東海に対し意見書を送付。県との合意を基に作業を進めるよう求めていました。そんな中、「ボーリング」について、新たな動きがありました。

 JR東海は、21日から山梨県側から静岡県境に向けてボーリングを始めました。JR東海によると、ボーリングは県境からおよそ800m離れた場所から始め、継続的に発生する湧水の量を測るということです。また県境100mに近づいてからは、特に慎重に作業をして湧水の量が基準を超える場合は、作業を中断して対応を検討するとしています。

静岡・川勝知事「双方向でのコミュニケーションを約束したのに…」

 これについて、川勝知事に聞いてみると…。

静岡県 川勝平太知事(21日):「けしからんこと。双方向でのコミュニケーションを約束したはずなのに、リニア対策本部長(森副知事)からJRの責任者にこちらの意見を言ったが、それを無視された。今回、双方向にしなくてはならないと指導したのは国交省。国交省の指導力がどこにいったのか。鉄道局長の存在が全然見えない。したがって、いま問われているのは、鉄道局長にきちんと指導できる方、国交大臣、あるいは元鉄道局長であった審議官、この方たちの指導力が問われている。こんな勝手なことしていいのかと。そもそも地域住民の了解を得なければだめだと繰り返し言っている。それを無視しているということですから。ぜひ指導力を…」

JR東海社長「山梨県内のボーリングに静岡県の合意が必要と思っていない」

 一方、JR東海は16日の会見でこんなことを…。

画像: JR東海社長「山梨県内のボーリングに静岡県の合意が必要と思っていない」

JR東海 金子慎社長(16日):「山梨県内で高速長尺ボーリングを開始をするということについて、静岡県の合意が必要だと思っていない。今回のボーリングは県境から800m離れた位置から開始するので、十分離れているので、静岡県内の水資源には影響はないだろうと考えている」

Q.あくまで県の心配に対してJRは応えるが、その内容が県が納得いかないからダメだという話になったとしても、そこは理解を得て進めていくとか、そういう考えか?

A.ご心配はご心配として受け止めて、それに対してこういう対処をするということをきちんと文書でお知らせをしたうえで、慎重に進めていく。

島田市長「水が出るとか出ないとか議論するより調査した方がいい」

 県とJR東海がボーリングをめぐり対立する中、大井川流域のひとつ、島田市の染谷市長は、静岡朝日テレビの取材に対し…。

画像: 島田市長「水が出るとか出ないとか議論するより調査した方がいい」

島田市 染谷絹代市長(21日):「私は以前から(ボーリングで)水が出た場合に止められる手段がある前提で、それはあると聞いているので、それならば分からないで水が出るとか出ないとか議論するより、10cmの穴を開けて調査して分かることであるならば、ボーリング調査をやった方がいいのではないかという思いを持っている。工事自体が本当に危ないものなのか、それとも思っていたより水は出ないのか、こういったことも今より具体的に分かるようになる。それが市民の心配を減らす結果にもなると思っている」

 このように一定の理解を示しますが、県は合意がないままボーリングに着手されたという認識です。静岡県とJR東海との溝はますます深まりそうです。