国内最長級のつり橋以外の魅力を進化 三島スカイウォークにハンバーグの名店が進出 静岡・三島市
「三島スカイウォークに今度田中亭が進出するのに合わせて試食会があるんですけど行きませんか?」-。同僚から届いた1通のメールに心を奪われた。「えっ? あのハンバーグの田中亭?」。文面だけで一気にテンションが上がった。これは行かねばなるまい。なぜなら小職は去年、2時間待ちと言われハンバーグの名店を目の前に泣く泣く引き返したことがあるのだ。早速、スカイウォークへと車を走らせた。(難波亮太)

泉のようにあふれる肉汁 止まらぬ箸
田中亭の説明の前に、三島スカイウォークについて紹介しよう。静岡県三島市笹原新田。静岡市からだと車で1時間半ほどのところにある。歩行者専用としては国内最長級の400mのつり橋が人気で、富士山や駿河湾が一望できる。ジップスライドなどのアクティビティも豊富で、年間約80万人が訪れる県東部を代表する観光スポットなのだ。
田中亭が進出するのは天井から吊り下げられた生花の鉢植えを楽しみながら買い物や食事ができる無料エリア、スカイガーデンの一角だ。

では、その田中亭はどんな店かに移ろう。2017年10月、三島市柳郷地にオープンしたレストランで、看板メニューのハンバーグは、予約分で終了してしまう時もあるほどだという。連日多くの客が訪れていて、全国放送の人気バラエティ番組で取り上げられた際は数百人が殺到したという。
冒頭でも触れたが、小職は去年、予定があったため2時間待つ余裕はなく諦めた過去がある。田中毅代表(49)にそのことを伝えると「本店は19席しかないですから…」と申し訳なさそうにされ、逆にこちらが申し訳なくなった。
だがしかし。今、目の前にはどうしても食べたかったハンバーグがある。鉄板の上でジュージューと音を立て待ってくれている。田中代表によると牛肉100%で、肉汁を閉じ込めるため焼く前にパン粉でコーティングしているのだという。タネと一緒にパン粉をこねるというのはよく聞く作り方だが、田中代表が高知県内の店で修業していた時の作り方をそのまま取り入れたそうだ。

ついにその時だ。箸をいれる。「ブワッ」なのか「ジュワッ」なのか-。どう表現すればいいのか分からなくなるほど、とにかくあふれてくるのだ。肉汁が。思わず「うわっ」と声をあげてしまった。口に入れると驚くほど柔らかい。牛肉のうまみが一気に支配する。すりおろしリンゴやみりんなどで作ったという甘辛いオリジナルソースがまたいい。くどくなく定食のご飯とベストマッチだ。付け合わせのサラダがリフレッシュしてくれ、さらに箸が進む。
周りに目をやると、試食会に同席した関係者は一様に黙々と箸を口に運んでいる。箸が止まらないとはこういうことを言うのか。そんなことを思っていると、田中代表が「いかがですか?」と聞いてきた。「最高です。おいしいです」。そう答えると、当然と言わんばかりに田中代表はにやり。きっと返ってくる答えを予想していたに違いない。

食事も訪れる目的に
田中亭にとってスカイウォーク店は2店舗目になるのだが、どうしてこちらを選んだのだろうか。そしてスカイウォーク側はなぜハンバーグの名店に声をかけたのだろうか。
田中代表はこの問いに「県外や海外の人にも食べてもらいたい、知ってもらいたかった」と答えてくれた。本店に比べスカイウォーク店の方は座席数が倍以上。値段は本店に比べ150円ほど高い設定だが、外国人も含め年間80万人が訪れる人気観光施設での営業に、田中代表も「多くの人に食べてもらって喜んでもらえるように精進したい」と力を込める。

一方のスカイウォーク側の狙いについては、同社の田中信太郎課長が説明してくれた。
「スカイウォークは来年開業10年になる。絶景と発散というテーマで『食』も充実させたかった。つり橋やアクティビティだけでなく、食事目的だけでもここを訪れてもらえるようにしたかった」
納得の理由だ。田中亭の味であれば、きっと食事目的だけの人も多く訪れることになるだろう。そうした食事だけの人も「せっかくだからつり橋も」となれば、双方ウィンウィンになるに違いない。田中課長は「10年、そしてその先に向けてさらに進化させていきます」と、こちらも力を込めた。
「田中亭三島スカイウォーク店」は9月16日オープン。定休日は木曜日で営業時間は午前11時~午後5時まで(ラストオーダー午後4時)。ハンバーグのほか、ステーキの定食など4つのメニューが楽しめる。