新型コロナで打撃の大井川鉄道 25歳リーダーの再起にかける思いと行動力 静岡・島田市
年間60万人もの人が訪れ、昭和初期の雰囲気が残る客車で、絶景を楽しむ汽車の旅は、幅広い世代の人たちに大人気です。さらに、世界的アニメキャラクター「きかんしゃトーマス」がそのまま再現された世界に、子供たちは大興奮! 乗って楽しめ、見て楽しめるこれからの時期におススメしたい大人気の観光地なんです。
しかし、そんな人気のエリアも今年は新型コロナの影響で苦境に…
経営企画室・岩本陽翠さん:「半分以下に減りました。昨年と比較して。そのぐらいの乗車率でした」
新型コロナによって、すっかり変わってしまった日常。さらに、追い打ちをかけるように6月には車両不具合によるSLの運行休止。7月には豪雨災害により、全線不通になるなど苦難が続いていました。
経営企画室・岩本陽翠さん:「観光収入が大きな部分を占めているので、かなりの打撃があったんじゃないかと思っています」
観光客の激減で大井川鉄道の経営はピンチに…。しかし、多くの人たちが、この時期に人気のトーマス号の運転再開を心待ちにしていました。
子ども:「トーマス大好き」
親子:「子どもがやっと分かる年になってきたから、乗せてみようと思って、そしたらすごく喜んでいて良かった」
4月以降、経営的に大きなダメージを受けた大井川鉄道。しかし、そんな中、再起をかけて奮闘する“若きリーダー”を追いました。
舞台は、島田市にある「新金谷駅」。蒸気機関車、いわゆるSLの始発駅になります。しかし、現在SLは6月に起きた車両不具合により、運行を休止しています。
大井川鉄道の岩本陽翠さん、25歳。入社5年目にして、きかんしゃトーマスの人気イベントを任される若きリーダーです。
岩本さん:「この(トーマスの)イベント自体がアジアで唯一、ここだけのイベントになっていて、ほかの会社では、経験できないことを経験しているので、大変やりがいも感じていますし、楽しんでもいます」
大井川鉄道で人気のきかんしゃトーマス担当になり、やりがいを感じていた岩本さん。この日は、打ち合わせをするために新金谷駅周辺を動きまわっていました。
スタッフ:きょうは、平日ですが、ちょっとビックリしたのが全然、人がいませんね。
岩本さん:「そうですね。きょうはSLですとか」
トーマス号がお休みで、普通の電車のみ運行しているので、やはり週末と平日は、ガラッと変わってきたりしますね。
現在、大井川鉄道で運行している電車は、主に週末に走るトーマス号を除くと、普通電車だけになっています。
大井川鐵道本線とは、島田市にある金谷駅から川根本町にある千頭駅まで全長約39キロを結ぶ区間です。しかし、7月の豪雨災害によって大井川の護岸に損傷が発生したことなどから、現在は家山駅までの運行となっています。
スタッフ:作業されている方は、いますね。
岩本さん:「ここは車両区といって、それこそ電車の点検整備ですとか、あとSLやトーマス号の整備をここの部署でやっていますので、平日も、もちろん出勤して、安全点検をしている所になります」
最初に岩本さんが向かったのは、車両区。新金谷駅にある電車の整備工場です。
岩本さん:「同期の…」
スタッフ:あっ そうなんですか!?
大石さん:「お疲れ様です。年は2つ(岩本さんが)下です」
スタッフ:ちなみに部署的には、どちらの?
大石さん:「車両区のSL班です」
岩本さん:「はい。優秀な同期になります」
スタッフ:同期は何人くらいいますか?
岩本さん:「同期は彼と自分を含めて3人です。もう一人は、車掌をやっています」
スタッフ:同期は仲が良いですか?
大石さん:「仲は良いですけど、部署が違うので滅多に顔を合わせないです」
同期の大石さんに岩本さんについて尋ねてみると…
新金谷車両区・整備士の大石さん:「入社した時からひょうひょうとしたスタイルで、ずっと仕事をされていると思いますが、実益を伴うというか、いつも結果を持ってくるので、こちらとしては好印象で一緒に仕事をしています。特にトーマスの仕事は、岩本さんがひとりで抱えているようなものなので…」
同期からの信頼も厚い岩本さん。その後も、トーマス号の座席を配置する部署や新金谷駅の駅長、イベント用に人を手配する人材派遣会社の社長などと打ち合わせをするために精力的に動き回りました。さらに、新型コロナ対策も岩本さんの大切な仕事。
岩本さん:「消毒液の配置場所だったりとか、密になりやすいポイントを探り出して、そこでちょっとポップで喚起したりですとか、それこそ動線を整備したりですとか、一番なのは、トーマス号の車内が密にならないように乗車人員を下げたりとか、そういったものも策定して営業をしています」
こちらのデザインも岩本さんが考えて作ったといいます。
スタッフ:もともとは、どこの出身?
岩本さん:「もともとは生まれも育ちも静岡県の島田市です」
スタッフ:島田市出身ということは、大井川鉄道に思い入れがある?
岩本さん:「正直…入社するまではあまり大井川鉄道のことを知らなかったんですが、トーマスの存在も大井川鉄道に入ってはじめて知ったぐらいの感じなので…」
島田市出身の岩本さんは、入社するまで大井川鉄道やトーマス号のことをあまり知らなかったといいます。
そんな岩本さんですが、高校を卒業後、名古屋にある観光の専門学校へ進学しました。その後、島田に戻り、2016年、大井川鉄道に運転士採用で入社。しかし、配属されたのは、営業部でした。営業部で2年過ごし、2018年、現在の経営企画室に異動し、主に「きかんしゃトーマス」に関する仕事を担当しています。
そして、トーマス担当2年目の今年、新型コロナの影響で苦境に…
岩本さん:「新型コロナが流行した当初というのは、ご来場いただける県を制限したりですとか、入場者数の制限をしたりですとか、さまざまおこなっていまして、それこそ海外のお客さんに関しては、例年多くいらしてくれたんですけど、今年に関しては、“ほぼゼロ”というような状況になっています」
そんな岩本さんですが、高校を卒業後、名古屋にある観光の専門学校へ進学しました。その後、島田に戻り、2016年、大井川鉄道に運転士採用で入社。しかし、配属されたのは、営業部でした。営業部で2年過ごし、2018年、現在の経営企画室に異動し、主に「きかんしゃトーマス」に関する仕事を担当しています。
そして、トーマス担当2年目の今年、新型コロナの影響で苦境に…
岩本さん:「新型コロナが流行した当初というのは、ご来場いただける県を制限したりですとか、入場者数の制限をしたりですとか、さまざまおこなっていまして、それこそ海外のお客さんに関しては、例年多くいらしてくれたんですけど、今年に関しては、“ほぼゼロ”というような状況になっています」
海外からの観光客も多いという大井川鉄道。さらに今年は特別な年だったようで…。
岩本さん:「今年、実はきかんしゃトーマスが原作出版の75周年の記念の年になりまして、大井川鉄道のトーマスイベントも75周年を記念して5月16日から運行予定で、その1カ月間は緑色のトーマス号で運行をする予定だったんですけど、新型コロナの影響で今年は中止になりました」
今年は、「きっかんしゃトーマス」の原作出版が75周年を迎える記念すべき年だったんです。しかし、新型コロナや豪雨災害によって、予定していたイベントをいくつか中止にしたという苦渋の決断をすることになりました。そんな中、少しでもイベントを開催しようと奮闘する岩本さんは、大井川鉄道の若きリーダーになりうる存在だといいます。
SLセンター 鈴木佳奈子さん:「私はまだ、今年入った1年目なんですけど、すごく頼れる先輩です」
大井川鉄道の関連会社社長:「まずですね、若い。この若さでこの仕事を任されていること自体がすごいことです」
経営企画室 山本豊福さん:「彼のアイデアでもって、みんなを引っ張ってもらい、トーマスがうまくいくように(成功させるのは)岩本の力によるところが大きい」
現在、トーマス号の運行や、新金谷駅でのイベントは、主に週末だけではありますが、感染症対策や人数制限を設け、開催されています。
子ども:「楽しかった」
親子:「子どもがやっと分かる年になってきたから、乗せてみようと思って、そしたらすごく喜んでいて良かった」
トーマス担当として、新型コロナと災害対応に奮闘する岩本さん。彼にとって“大井川鉄道”の存在とは?
経営企画室・岩本さん:「入社した動機もそうだったのですが、もともと“観光で地域に貢献したい”というふうに思っていたので、それがこの辺りでは一番できる会社なんじゃないかなというふうに思っています」