未来都市「ウーブンシティ」公開…ロボットが活躍、信号にまでこだわりが 静岡・裾野市

伊地健治アナウンサー:「富士山のふもと、裾野市に新たな街が誕生しました。東名高速と国道にはさまれたこの三角形の土地に、突如として周りとは異質な近未来空間が現れました。建物と建物の間の空間も広くとられていて、ところどころに緑も多く植えられているのが分かります。ここからどのような未来の世界が広がっていくんでしょうか」
静岡県裾野市に造られたトヨタの「実証実験都市・ウーブンシティ」が25日、報道陣に公開されました。「富士の裾野に街をつくる」。トヨタが、この壮大な構想を発表したのは、5年以上も前のことです。
トヨタ自動車 豊田章男会長:「皆さん一緒に笑顔でウーブン・シティのスタートを宣言したいと思います」
運用が始まったのは、全体の2割にも満たないエリアですが、完成すれば、街の大きさは、東京ドーム6個分になるといいます。

嶋田光希アナウンサー:「もうすでに、立派でデザイン性の建物がどんどん建っています。近未来を感じます。さぁきょうはこのウーブン・シティ、中がどうなっているのか潜入取材します」
すでに、数世帯の住民が暮らしているという「ウーブン・シティ」の内部へ…。
嶋田光希アナウンサー:「ここからきれいな富士山も見えています。ウーブン・シティの中にやってきました。一見すると建物があって、目の前には大きな道路が通っていて、普通の街のようにも見えるんですけども、やはり建物それぞれを見てみますと、段々にデザインされていまして、近未来的なものを感じますよね」

信号の仕掛けは…
嶋田光希アナウンサー:「信号にもいろいろ仕掛けがされているみたいで、赤から青、青から赤このタイミングをコントロールできる装置をつけられるということなんです」
センサーで車の交通量や人の流れを計測して、それに応じて信号が切り替わるといいます。
嶋田光希アナウンサー:「みなさん通っているのが、パーソナルモビリティ専用の道路になっています。真ん中はふつうの自動車用の道路なんですけれども、隣がパーソナルモビリティ用、3輪の乗り物用の通路になっているわけなんです。ああいう乗り物を見ると、ちょっと普通の街とは違うなあと思いますね。最速20km出るそうです、みなさんヘルメットを着けて、速度も手元でコントロールできるそうです」

ロボットも大活躍
こちらは、「無人の車」を、指定の場所まで届けるロボット。
トヨタの担当者:「後ろの車に指令をして、後ろの車はその通りに動く。この自動搬送システムでお客様にシェアカーをお渡しして、お客様は車を使って、ウーブンの外に乗って行けるサービスの実証を考えています」
「ウーブン・シティ」の「ウーブン」とは、「織り込まれた」という意味で、人々の暮らしや社会に、先進テクノロジーと情報を織り込み、紡ぎ合わせることが施設の目的です。

異業種の企業も参加
また、この街にはトヨタだけでなく、異業種の企業も参加。乗り物以外のさまざまな実証実験が行われます。

大手空調機器メーカー「ダイキン」
嶋田光希アナウンサー:「この扉の奥がダイキンが生み出した空気が生み出す未来空間ということです。部屋がありまして、おお! まずいい香りがしてきました!なんか森の中にいるような自然を感じる香り」
大手空調機器メーカー、ダイキンが手掛けるこの部屋。気流だけでなく、香り、気温、音などをコントロールし、住民がどれだけリラックスできるか、どれだけ集中力を高められるかを実験するものです。

日清食品が開発した「最適化栄養食」
こんなものもあります。
「ジャンク」と大きく書かれたハンバーガー。日清食品が開発した「最適化栄養食」というものだといいます。これらを食べた住民たちからデータを集め、健康寿命を延ばすことにつながるか調べる実証実験をするそうです。

「Z会グループ」は保育園を開園
学習塾などを運営する「Z会グループ」は、保育園を開園します。部屋にカメラを設置し、子どもの様子などを映像データで蓄積。子どもの普段とらえることのできない情報を取得、解析することで、教育に生かしていくということです。
Z会インベンティブスクール ナーサリースクール 責任者 明石愛美さん:「新しい教育の場であったりですとか先進的な教育のシステムを開発できることに一歩近づくような場所になっていけたらと思っています」

自身も、この街に移住する予定で、「町内会長」を自称する豊田会長は…。
トヨタ自動車 豊田章男会長:「ここは街というより、未来のためのテストコースです。ウーブン・シティでおこしていくのは掛け算です。掛け算は1社だけだと成り立ちません。1をかけても大きくならない、1じゃだめなんです、だけど2でいいんです。笑顔になるんです、みんなで笑顔の2をかけてまいりましょう」
開業したウーブン・シティ第1期はおよそ360人が住むということです。
