全国的に学校給食無償化の動き…静岡県内では4市町が実施 市民団体から要望受けた静岡市は慎重「軽々に結論を出せない」

 子どもたちにとって楽しみの一つでもある学校給食。今、その学校給食がコロナ禍や物価高騰などを受けて、全国的に無償化する動きが出てきています。

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 静岡県内では小山町が2019年度に開始したのを皮切りに、御前崎市、西伊豆町、河津町と現在は4つの市町が給食費の無償化を行なっています。

給食無償化実施の御前崎市の学校では

画像1: 給食無償化実施の御前崎市の学校では

 2020年度から無償化を実施している御前崎市の学校現場を取材しました。

 御前崎小学校4年生の教室です。この日の給食のメニューは「インドネシアの料理」。インドネシアの焼き飯「ナシゴレン」に、鶏肉料理の「サテ」など、毎日食べる給食だからこそ、献立も工夫されています。おかわりする子が列を作るなど、子どもたちにも大人気。

画像2: 給食無償化実施の御前崎市の学校では

児童 
Q.好きな給食のメニューは?
A.「カレー。たまに出る春巻きとかも好き」
Q.いつも給食はおかわりしている?
A.「たぶん毎日しています」
Q.きょうの給食の点数は?
A.「うーん、98点」
Q.残り2点は何がダメなの?
A.「ちょっとエビが苦手…」

画像3: 給食無償化実施の御前崎市の学校では

 文部科学省の調査によりますと、2021年度の給食費の月額平均は、1人あたり公立小学校で4477円、公立中学校が5121円。年間で、およそ5万円から6万円弱を給食費として負担することになります。

無償化実施の背景と予算は

 御前崎市が給食費の完全無償化を始めたのにはどんな背景があるのでしょうか?

画像: 無償化実施の背景と予算は

御前崎市給食センター 水野正章所長:「現状の物価の高騰、保護者の負担軽減と、市内の少子化対策ということで、その一役を担うということで無償化をしている」

 御前崎市では市内に住む3歳から中学生のおよそ2600人が給食無償化の対象になっていて、予算は年間で1億5000万円ほどになるといいます。育ち盛りの子どもたちに、安心・安全な食事を提供する学校給食。食材の高騰で、給食の献立に影響は出てこないのでしょうか?

御前崎市給食センター 水野正章所長:「計算された中での給食の献立を作っているので、質、量ともに落とさずに、給食を提供している」

御前崎市民は…

画像: 御前崎市民は…

御前崎市民(3児の母):「経済的な負担もありがたいですし、助かっています。たぶん月5000円くらいはういている」

御前崎市民(1児の父):「すごく助かることだと思う。御前崎市は子どもの医療費もかからないので、そういったところで子育てしやすい町にどんどんなってくれればいいかなと」

御前崎市民(妊娠中の2児の母):「次の子も産まれるので、習い事とかすごいお金もかかってくるので、給食費がかからないのはすごくいい」

市民団体からの要望受けた静岡市は慎重な姿勢

 そして、この給食費の無償化の流れは、静岡市内でも話が出始めています。

静岡市 難波喬司市長:「(給食費を)広く無償化することについては、これは是非やるべきだという意見がある半面、いやいや、それは違うという強い意見が存在していると私は思っています。したがって、しっかりとした検討して行かないと。軽々に結論を出せるものではないと思っている」

画像: 市民団体からの要望受けた静岡市は慎重な姿勢

 先日の定例会見で給食費の無償化について自身の考えを示した難波市長。静岡市では今月20日、市民団体が市内の小中学校の給食無償化を求める請願書と、署名8074筆を静岡市議会に提出しています。

静岡市よりよい学校給食をめざす会 中澤秀一代表:「今回署名の請願を集めたが、全部で8000筆以上が集まった。2カ月という短期間で集まったので、非常に市民のこの問題に関する関心が高いのかなと」

静岡市民は

画像1: 静岡市民は

 静岡市民は給食無償化についてどう考えているのでしょうか?

会社員30代:「周りで教員をやっている子とか滞納の話を聞いたり、それがトラブルになっていると聞いたので、自分は(給食費の)無償化は賛成です」

主婦20代:「賛成です。将来子どもが給食を食べるようになった時に、無償化になるとありがたい」

会社員60代:「賛成です。予算をもっともっと別のところにまわせるのかなと思って」

 市民からは歓迎の声が多いものの、市民団体代表の中澤さんによると、給食費の無償化には壁もあるといいます。

画像2: 静岡市民は

静岡市よりよい学校給食をめざす会 中澤秀一代表:「静岡市は大きな自治体なので、当然子どもの数が多いので、給食を無償化するとなるとそれだけたくさんの財源が必要になる。今(給食の無償化を)やられている自治体は比較的子どもの数が少ないので、そんなに大きな財源が必要ではないが、今回静岡市がやるとなると大きい財源が必要になるので、そこを捻出するのが大変だというのが壁になるのかなと」

難波市長「無償化の対象を広げることも検討」

 静岡市では、給食が無償化となった場合、対象者となる小中学生は4万5000人に上り、予算は年間で24億円と想定されています。

 現状では子どもの人数の少ない自治体が、給食費の無償化を実施しています。

画像: 難波市長「無償化の対象を広げることも検討」

静岡市 難波喬司市長:「経済的に困窮する家庭が急増しているなかで、そのような、家庭の負担を減らしていくというのは非常に大事なことだと思っています。生活保護受給者の方や就学援助を受けている方は、すでに無償化になっています。ただ、それ以外にも経済的に困窮する家庭はあると思いますので、さらに対象を広げて無償化するかどうかについては、これから検討して参りたいと思います」

 政府も6月13日に閣議決定した「こども未来戦略方針」で、学校給食費の無償化の実現に向けて、1年以内に成果や課題を調査し、その上で、具体的方策を検討するとしています。全国的に進み始めた「給食無償化」の議論。今後の動きにも注目が集まりそうです。