小麦の値上げがパン屋さんを直撃! 電気代の高騰もダブルパンチ なぜ? 高価な国産小麦に切り替える店も 静岡

 4月12日は何の日か知っていますか? 実は「パンの日」とされているんです。1842年に伊豆の韮山代官が日本で初めてパンを焼いたことが由来とされています。日本人にとって、180年以上前から親しまれてきたパンですが、今、その「パン」に絶体絶命の危機が。それが「小麦の値上げ」です。

画像: 小麦の値上げがパン屋さんを直撃! 電気代の高騰もダブルパンチ なぜ? 高価な国産小麦に切り替える店も 静岡

小麦粉価格が10~15%アップ

トゥロティクス 小林義則店主:「ここ数年の間で、本当に小麦粉の価格が一昔前と比べると10%から15%ぐらい上がっている。小麦粉っていうのは当たり前のことなんですけど、一番、大きなウエートを占める材料なので、これが上がってしまうとパン屋としては厳しい」

画像: 小麦粉価格が10~15%アップ

 小麦は、安定的な確保につなげるため、政府が一括して調達したうえで、製粉会社などに売り渡しています。価格は年に2回、4月と10月に改定されますが、去年10月はウクライナ侵攻の影響を考慮し価格は据え置かれました。ところが今月の改定では、1トン当たりの小麦の価格が7万6750円と、前回に比べ5.8%=4220円もの値上げに。原材料の9割が小麦であるパンは、その影響を大きく受けていました。

トゥロティクス 小林義則店主:「やはり、なかなか(値上げ分の)価格転嫁がうまく進まない中でやっているので、どうしても利益が減ってしまう。経営面から考えると問題はいくつかある」

小麦の高騰分を「節約」でまかなう工夫も

 こちらの店では品質にこだわるため、香りなどを厳選した輸入の小麦を使っていますが、その仕入れ値はここ数年で大きく上昇。特に看板メニューであるフランスパンは、フランスから取り寄せていた小麦を使用していますが、もともとの取引価格が高いため、今回の価格改定は大きな痛手となっていると言います。

トゥロティクス 小林義則店主:「今は小麦粉だけじゃなくても、いろんな材料が上がり、また水道・光熱費、そういったところの上がり方もすごい勢いが上がってきているので、うちの店では、使わない電気を必要ないところは切ったりとか、そういったところで、なんとかバランスを取っていこうと思っています」

画像: 小麦の高騰分を「節約」でまかなう工夫も

 こちらの店では、小麦の高騰分を「節約」でまかなっています。店を閉めている時間帯はショーケースの電源を切り、厨房の蛍光灯も1本外すなど、少しでも経費を抑える工夫をおこなっています。

 その理由は、商品の値上げについて慎重だからです。

画像: トゥロティクス 静岡市葵区

トゥロティクス 静岡市葵区

トゥロティクス 小林義則店主:「もちろん通常の経営から考えると、(値段を)あげなければいけないというところはあるが、お客様の皆さまがつらい部分もあるので、いい商品を作って、パンが一つ二つ三つと、いつもより多く売れれば、その中で利益を取ってはいけると思うので、できればそちらの選択肢を僕はとりたいなと思っている」

輸入品高騰で高価な国産との差が縮まり

 一方、仕入れる小麦自体を見直すという店も。

パンサンジュ 鈴木進司代表:「輸入の小麦がかなり高騰していて、今まで日本の希少価値の高い小麦というのが高くて手を出せなかったが、その金額との差が無くなってきているので、だったらいいものをどんどん使っていこうという考えに切り替えている」

画像1: 輸入品高騰で高価な国産との差が縮まり

 静岡市・葵区の駿府城公園の近くで店を構える「パン・サンジュ」。こちらの店では、もともと国産よりも安い輸入小麦を使ってパンを製造していましたが、現在は店の3割ほどのパンを国産小麦に切り替えました。

画像2: 輸入品高騰で高価な国産との差が縮まり

パンサンジュ 鈴木進司代表:「パン屋はほとんど輸入小麦を使うのが主流で、国産は本当に何%入っているという考え方だったが、材料がいろいろ上がっている分、日本の材料を使いやすくなっているところもあるので、それ(日本小麦)を入れることで、より小麦の香りを感じていただくとか、一般の方にもわかりやすいぐらい味に変化が出ているので、それはぜひ試していただけたらと」

でもやっぱり『電気代高騰』は苦しい

 小麦の高騰を新たな商品開発の追い風と考え方を転換していましたが、一方で、どうにもならないのが、電気代の高騰です。

画像: でもやっぱり『電気代高騰』は苦しい

パンサンジュ 鈴木進司代表:「電気をかなり使うオーブンに関しては相当な金額が上がっている。(オーブンは)朝4時につけて、夜8時ぐらいまでずっとつけっぱなしなので、長い時間つけないといけないというのは電気を使うポイントかもしれない。(去年に比べ)30%~40%ぐらいは上がっているのかなと。なかり高いなと思ってる」

 小麦以外にも経営を苦しめる値上げの波。店側は…。

パンサンジュ 鈴木進司代表:「5月・6月にも小麦粉の値上がりはあるとこちらに来ている。やむを得ないと思うが、極力金額を上げるのではなく商品のレベルを上げていきたいとは思う」