【新型コロナ】10代軽症患者を電話やオンラインで診察「静岡市方式」の取り組み
「新型コロナに感染した患者が自宅やホテルで療養する状態が増えつつあります。そんな中、こちらの病院が始めたある診察方式が、今注目を集めているんです。」
〇静岡厚生病院 小児科 田中敏博部長
「お変わりないですか? 大丈夫? じゃあ、順番にお願いします。だいぶ、終盤になってきましたのでもう一息頑張りましょう」
電話越しに問診を行うこちらの医師。
その相手は新型コロナに感染し、現在、自宅療養中の10代の子どもです。
静岡市の静岡厚生病院では去年10月から、新型コロナに感染した子どもを電話やオンラインで診察する新しい取り組みを始めています。
〇静岡厚生病院 小児科 田中敏博部長
「静岡市の枠組みの中で、保健所と連携を取りながらやっていることなので、静岡市方式ということで勝手に名前をつけてやっている。子どもがコロナにかかった時に、心配をどうやって解消させるかということを話し合ったのがきっかけ」
「静岡市方式」の診療では、子どもが療養に入る前に直接診断して症状を把握。
その後は、医師が毎日朝と夜の2回、電話で診察を行います。家庭内の濃厚接触者にも健康観察を実施。診察した結果は毎日、保健所に報告します。
去年8月に静岡市が軽症か無症状の子どもは、原則、「自宅かホテルでの療養」としたことが「静岡市方式」誕生のきっかけでした。
〇静岡厚生病院 小児科 田中敏博部長
「例えば鼻水とか頭痛とかは大丈夫?そんなにはない、わかりました。食欲とかは大丈夫ですか?問題ない、それは良いことですね。持て余すエネルギーの発散かもしれないけどね。そろそろストレスも溜まってくる頃だと思うからいいんじゃないですか。なわとびぐらいやって汗かくぐらいでいいと思いますよ」
新型コロナに感染した子どもたちにとっては、田中先生が臨時の主治医。
医師の診察を受けられることが、療養する患者やその家族の安心感につながっています。
〇診察を受けた小学生の親
「コロナと出た時点で不安になってしまったので、心配なことがあったら連絡くれてもいいと言ってくださっていたのがすごく安心した。保健所も連絡をくれるが、やはり先生と直に、不安だったら先生に言えるという安心感はすごい」
これまでに電話で診察した患者と家族はおよそ30世帯。
さらに「静岡市方式」は、保健所にとっても大きなメリットがあるといいます。
〇 静岡厚生病院 小児科 田中敏博部長
「今いろんな雑多なことが全部保健所が起点になりすぎていて、患者さんを診療するというようなことも含めて全て保健所が行っているという状況があるので、本来の専門職がしっかりと担えるところは担うことによって、保健所の業務が少しでも軽減されれば地域としてはいいことじゃないかなと」
静岡市保健所が健康状態の聞き取りのために、患者や濃厚接触者にかける電話は毎日450件ほどにのぼります。限られた人員の中、業務的に大きな負担です。
今後、より多くの医療機関に「静岡市方式」が広がっていくことが期待されます。
〇 静岡厚生病院 小児科 田中敏博部長
「今いろんなところと連携できないかとか、あるいは大人の領域にも広げられないか、保健所を含めて色んな所と相談をしながら準備をしていけたらなという段階。(他病院は)関わりたくてもいろんな問題でなかなか関われないということもあったりするかもしれないので、地域全体としての役割分担の一つとしてここが、今はこの役目をしているかなと」