台風の影響で一部運休続く大井川鉄道…ローカル線の廃止続く中、川根本町の「夢のつり橋」が再開 一方、近隣の旅館の客足は?
「令和4年12月16日より大井川鉄道本線の一部区間にて鉄道運行を再開しているが、引き続き今後も災害復旧並びに地域住民及び来訪者の公共手段を維持するためには支援が必要です。よろしくお願いします」
一部区間で運休続く
18日、大井川鉄道の鈴木肇社長が県庁を訪れ、森貴志副知事に支援を要望しました。
大井川鉄道は去年9月の台風15号で、線路に土砂が流れ込むなどした影響で、未だ一部の区間で復旧工事に着手できず運休が続いています。
要望では災害復旧や鉄道事業の支援を目的に持続可能な公共交通の在り方を検討するための協議会を設置することなどを求めました。
大井川鉄道 鈴木肇社長:
「民間企業の力だけでは災害復旧それからそのあとの事業運営がなかなか厳しい状況になってきた。我々独自というよりは自治体も含めたみなさんと協議しながらそこの活性化をというところも議論したい」
全国でローカル線の廃止相次ぐ
この要望に至った背景には、ローカル線ならではの厳しい現状があります。
国土交通省によりますと、2000年以降、日本全国でローカル線の廃止が相次いでいて、去年2月時点(去年2月3日時点)で45路線、およそ1160キロが廃止となっています。
乗客の減少による収益悪化が主な原因で、現在は各路線で新型コロナ禍が追い打ちをかけています。
県内でも富士市を走る岳南電車が、市から毎年補助金を受けて鉄道事業の赤字を補填している実情があります。
名物のSLも走ることできず
伊地健治アナウンサー(去年9月):
「採石場の跡地から土砂が下に流れ下って川沿いを走っている国道を完全に寸断してしまっています。崩れたその先を見てみますと、この下には大井川鉄道の線路が走っているんです。その線路も土砂によって完全に埋まってしまっています」
県内各地に甚大な被害を及ぼした台風15号。
大井川本線では20カ所が被災し、全線が一時運休。
名物のSLも走ることもできず、2カ月でおよそ2万人が訪れるという秋の紅葉シーズンを棒に振ってしまいました。
大井川鉄道 広報 山本豊福さん:
「新金谷駅に鉄道が走る音が本当になかった。運休の期間が10月11月だったので我々10月11月というと、1年の中で一番の書き入れ時、その時期にこんな閑散とした新金谷というのは、僕も見たことがなかった。1年間通してSLとか運転しているが、それが突然運転できなくなった。それはイメージとしてマイナスの意味で大きかった」
復旧は徐々に
被災の爪痕は残っていますが、去年12月までに千頭駅から静岡市の井川をつなぐ井川線、さらに金谷-家山間の運行を再開させるなど、徐々に復旧が進んでいます。
大井川鉄道 広報 山本豊福さん:
「徐々にお客さんが戻ってきてにぎわいが取り戻しつつあると思う。やはりSLが戻ってきたのが大きい」
さらに台風前の活気を取り戻すため新たなプロジェクトを始動。
兵庫県加東市に展示されていたSLを復活させ、実際に運行しようというもので、今後修繕計画を立てていくということです。
「夢のつり橋」約4カ月ぶりに再開
栗田麻理アナウンサー:
「川根本町寸又峡です。台風15号の影響で夢のつり橋までの道が崩れてしまい渡ることができなくなっていましたが、現在はこのように道ができて実際に渡ることができるようになりました」
川根本町の人気観光スポット「夢のつり橋」。
台風15号の影響で遊歩道が崩落したため通行止めとなっていましたが今月14日、およそ4カ月ぶりに再開されました。
20日も多くの観光客の姿がありました。
愛知県から 60代:
「去年から渡りたかったけど、台風で通行止めになって、たまたまこっちに旅行行こうという時に、14日から渡れるようになったので急きょ来ました。すごいきれいで前から来たかったので、うれしかった」
近くの旅館では
近隣の旅館も再開を待ち望んでいました。
翠紅苑 大村昭彦 副支配人:
「これで寸又峡の観光の目玉復活ということで、地元一同大変期待している。台風の影響で宿泊客が半分ぐらいに減ってしまった。そこから10%、20%戻ってきている実感はある
台風の影響で半分にまで落ち込んだ客足も現在は戻りつつあるといいます。
こちらでは夢のつり橋の再開に合わせてこんなサービスも…。
翠紅苑 大村昭彦 副支配人:
「夢のつり橋を渡っていただいた記念にヒメシャラの木、これでと渡橋証明という形で出させていただいている」
つり橋を渡った宿泊者に限り、地元産の木材を使ったグッズをプレゼントして、大井川鉄道沿線の観光PRに一役を買っています。
翠紅苑 大村昭彦 副支配人:
「寸又峡の夢のつり橋の再開を契機にまた地域全体で寸又峡温泉、また奥大井全体の観光の目玉が復活したので、大いに盛り上げていきたい」