袴田巌さん再審可否 東京高裁3月13日に判断 第二次再審請求差し戻し審
決定を示すことが分かりました。決定日は袴田巌さん、87歳の誕生日の3日後です。
1966年、旧清水市で一家4人が殺害された、いわゆる袴田事件。
6日東京高裁が3月13日に裁判をやり直すかどうか決定を示すことが分かりました。
長年、弟の無実を訴え続けてきた、姉のひで子さんは―
袴田ひで子さん:
「まだ日が決まっただけですから、決定が出たわけではないですから」
1966年、旧清水市のみそ会社の専務一家4人が殺害され、みそ会社で働いていた袴田巌さんが逮捕されました。
袴田さんは裁判で無罪を主張しましたが、1980年に死刑が確定。
その後、裁判のやり直しを求め、2014年静岡地裁が再審を認める決定をします。
裁判長:
「これ以上、拘置を続けることは、耐え難いほど正義に反する」
48年ぶりに釈放された袴田さん。しかし、今もその肩書きは「死刑囚」のままです。
静岡地裁の決定は2018年に東京高裁に取り消されましたが、その2年後に最高裁が審理の差し戻しを命じ、再び東京高裁で裁判のやり直しをするかどうか争われていました。
釈放後の袴田さん
釈放から9年。袴田さんは、姉のひで子さんと浜松市で暮らしています。
ひで子さん:
「はい。これ着て」
「はい、いってらっしゃい」
1月29日には、静岡市清水区で支援者が開いた集会に、ひで子さんとともに参加。
長年の拘置所生活によって幻覚や妄想などの症状があらわれる拘禁症状が今も続いている巌さんもマイクを握りました。
袴田巌さん:
「えー、どんなことをしても勝ち取ろうという、世界最大の世界の大将になろう」
姉のひで子さんは…。
袴田ひで子さん:
「私たちの裁判も本当に大詰めに来ている。再審開始になることを願っていますが、どういう結果が出るか。長い間皆様にご支援いただきまして本当にありがとうございます。一区切りつけてもらいたいと思っている」
5点の衣類
裁判で焦点となっているのは、事件の1年2カ月後にみそタンクの中から見つかった“犯行着衣”とされる5点の衣類と、付着した“血液の色”です。
当時の鑑定書や調書には、血液の色は「赤」だったと記されています。
しかし、弁護側は実験を重ねた結果、血液がみそに長い間漬かれば、その色は「黒っぽくなる」と主張。
5点の衣類は、ねつ造されたものと訴えています。
これに対し、検察側も実験を行った結果、「長期間みそに漬けられた血痕に赤みが残る可能性を十分に示すことができた」として、袴田さんを再び収監することを求めています。
去年12月に双方が最終意見書を提出し、東京高裁での審理は終了していました。
そして、再審可否判断の日が決定
事件から半世紀余り、再び裁判の扉は開くのでしょうか。
弁護団の事務局長を務める小川秀世弁護士は―
袴田事件弁護団 事務局長 小川秀世弁護士:
「これはもう間違いなく再審の開始決定を出していただけると確信しています。実験を最終的にご覧になって、やっぱり『真っ黒だった』ということで、もうこれは間違いないと確信をされたからではないかと私を思っている」
姉のひで子さんも午後、報道陣の取材に応じました。
袴田ひで子さん 午後3時ころ:
「56年闘ってきた、私たちは。だけどこの辺で一区切りつけてもらいたい。再審開始になることをひたすら願っています。56年闘ってきてよかったなと思うような結果を期待している」
Q.連絡が来た時に巌さんは?
「起きたばかりで顔を洗っていた。だけど巌にはとやかく言わない。再審開始になるかもしれないよとか、再審開始になるといいねとか、そういう話は一切しない。3月13日にどういう結果になるか分からないけど、いい結果だったら、良かった、いい結果が出て勝負に勝ったよと言いたいけど、まだふたを開けないと分からないので。悲観なんかしていない。とにかくダメならまたやればいいという主義で頑張っている。私も(8日で)90歳です。年に関係なく、ともかく命ある限り頑張っていきたい」