静岡・浜岡原発ですべての原子炉が停止してから15年 データ不正問題で再稼働が見通せない中、原発と共に歩んできた御前崎市にも暗い影
静岡県の浜岡原発で、すべての原子炉が停止してから14日で15年です。データ不正問題で再稼働が見通せないなか、原発と共に歩んできた御前崎市にも暗い影を落としています。
●菅直人首相(当時)会見:
「浜岡原子力発電所の全ての原子炉の運転停止を中部電力に対して要請いたしました」
東日本大震災で起きた福島第一原発の事故を受け、政府から中部電力に要請があったのは2011年5月。中電は要請に従い全ての原子炉を停止しました。
●石原茂雄さん:
「中電さん一つのしわ寄せかなという風には思ったよね」
当時、御前崎市長だった石原茂雄さん(78)。地元にとっても唐突な要請だったと振り返ります。
●石原茂雄さん:
「『いや止めるっていうのは厳しいな』と、瞬間的に思った。なぜ止めるだっていうのもね、ちょっと若干ね、詳しい話もしなかったぐらいでね」
南海トラフ地震の想定震源域に位置する浜岡原発の停止期間は想定されていた2年を超えて長期化。中電は再稼働に向け2014年以降、原子力規制委員会に審査を申請しました。それ以来、津波や地震の議論を積み重ね、再稼働に向けて着実に歩んでいたはずでした。
●中電林欣吾社長:
「本当に申し訳ございませんでした」
ことし1月、中電がデータを不正に操作して耐震設計に必要な想定される地震の揺れを過小評価していた疑いが発覚。規制委員会は、全ての審査を白紙としました。
その後、中電は社内調査を行い国に報告書を提出。
その中で明らかになったのは…
●中部電力林欣吾社長:
「遅くとも2012年ごろから2021年ごろに、105ケースで行われていた」
操作は、福島第一原発事故の翌年から始まっていたというのです。
報告書によると、操作は2つの方法で行われ、その数は少なくとも108ケース。再稼働審査に提出した225ケースの半数近くに上ります。
一方でデータ操作の経緯や目的はわからず、「第三者委員会の報告を待つ」と答えるに留まりました。
さらに…
●中部電力林欣吾社長:
「(社内で)問題視する指摘が複数回にわたり繰り返されたが、審査資料が改められることはなかった」「議論の前提を覆すような不正が原発事故の翌年から続き、問題を指摘する内部の声も生かされていなかった」
こうした報告に規制委員会の山中伸介委員長は…
●原子力規制委 山中伸介委員長:
「もしそれが事実ならば、事業者として、当初からお話はしていますけれども、失格だというふうに思っています」
浜岡原発で1号機が営業運転を開始して、今年で50年。御前崎市にとって半世紀にわたり共存してきた浜岡原発は欠かすことができない一面もあります。
●山﨑琢也記者:
「原発の立地自治体には国からの交付金が支払われています。御前崎市は交付金をこうした公共施設の整備や維持に活用してきました」
御前崎市の歳入のおよそ1割は交付金。市はそうした交付金を病院や図書館、幼稚園などの運営に活用しています。
税収もあわせると歳入の2割以上が原発関連ですが、原発の減価償却で減少が続いています。
長年中電と向き合ってきた石原さんは、原発の必要性を認めたうえでそれだけに頼らない街づくりの重要性を指摘します。
●石原茂雄元市長:
「中電の発電所が止まらずに元気な間にね、本当に1つの街づくりにできりゃ素晴らしかったけどね。もう原子力でね、人は集まらないね。どういうふうな、これからの御前崎を作っていくかってこともそれは厳しい問題だよね」
再稼働が見通せない中どんな街をつくるのか。原発と共に歩んできた御前崎市にも、データ不正は重い課題を残しています。