リニア問題に新たな分かりにくさ…川勝知事「一滴も譲らない」けど「ゼロリスクは求めない」 静岡県

静岡県 川勝平太知事(7日):「静岡県がリニアの着工遅らせていると風評を立たせている人がいる。これを払拭するためにどうするか。難波副知事に説明してもらい、相当な誤解が解けたんじゃないか」

画像: 静岡県 川勝平太知事

静岡県 川勝平太知事

静岡県 川勝平太知事(7日):「静岡県がリニアの着工遅らせていると風評を立たせている人がいる。これを払拭するためにどうするか。難波副知事に説明してもらい、相当な誤解が解けたんじゃないか」

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 川勝知事がこう話したのは、2日、難波喬司副知事が東京の日本記者クラブで行った会見についてです。リニア新幹線の開業の遅れが、「静岡問題」と言われ、「静岡県が悪者」になっている…

画像: 静岡県 難波喬司副知事

静岡県 難波喬司副知事

 そんな「誤解」を払しょくしようと、全国のメディアに向けて開かれた会見でした。会見で注目されたのが、難波副知事のこの発言でした。

記者:「川勝知事はトンネル湧水は一滴たりとも県外に渡さないという頑なな姿勢。実際問題として、トンネル湧水は他県に1滴も渡すわけにはいかないのか?」

難波喬司副知事:「まずゼロリスクはあり得ない。例えば1滴たりとも流さないという確約はできない。それがゼロリスクですから。ですから、いくら『流さない』と言ってもリスクは残るので、それまでゼロにするということはありません」

 「水は全量戻してほしい。1滴たりとも譲れない」。川勝知事が繰り返し強調してきたこの方針を、修正したかのようにも聞こえます。

 難波副知事は東京での会見の3日後の5日に開かれた、県議会の委員会でもこう答弁しました。 議員:「JRの水に関して全量戻す1滴たりともという言葉がひとり歩きしている『ゼロリスク』の考え方、その考え方について聞かせてください」

難波喬司副知事:
「ゼロリスクはないというのを県側が言っている。JRはどちらかというとゼロリスクのようなことを言っている。JR東海は水への影響はないとはっきり言うわけで、それは変ではないかという指摘がある。全量戻すということを前提に、これからやっていくわけだが、仮に工事をやったときに大出水があって、それを全量戻せないことはあり得る。それまであらかじめゼロにしろという話はしないということ」

 むしろ、「ゼロリスク」を主張しているのは、JR東海の方だと答弁した難波副知事。

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 しかし、2年前、JR側から水を一部戻せない期間があることを明らかにされた際には、こう語気を強めていました。 難波喬司副知事(おととし):
「全量戻さないということを、今はっきり言ったわけですよね。そんなことを認めるわけにはいかないので、今の発言は看過できません」

 このときは「ゼロリスク」を求めるかのような発言をしていた難波副知事。

 「水は1滴も譲れないのか」それとも、「そうでもないのか」。難波副知事の発言の『変化』と川勝知事の主張の『整合性』は取れているのでしょうか。

(7日)
記者:「難波副知事の仰ることは、知事のお考えだと私どもは考えてよろしいのでしょうか」

川勝知事:「一般論としてリスクがゼロというのはあり得ない。何かことを起こせば、完璧にゼロということはありえないと言う一般論として、難波副知事は言ったんじゃないかと思います」

記者:「つまり、1滴も譲らないということは、今でもお考えは変わらない?」

川勝知事:「変わりません」

記者:「知事の仰っている『大井川の水は1滴も譲らない』というご発言は、ゼロリスクを求めているのではないということでよろしいでしょうか」

知事:「言葉が違いますからね。大井川の水が失われるということは工事すれば起こりえます。これは許さないということです」

記者:「1滴も譲らない?」

知事:「1滴も譲らないことですね」

記者:「それはゼロリスクを求めていることでは?」

知事:「いろんなリスクがあるんじゃないんですか」

 このあと、難波副知事も急きょ会見を開き、こう釈明しました。

難波喬司副知事:「計画時から、全量戻すのは当たり前ですよねと。今の段階で推定できる量については、全量戻すことを前提にして対策を考えてくださいと。掘ってみないとわからないところもあるので、それまで今の段階で明らかにして、それも全部戻せとか、そもそも、そこもゼロリスクにしろ、推定を完全にしろということはしませんと」

 難波副知事は、水を全量戻すべきとしているのは工事の前に推定できる水の流出量についてのみだと説明。ただ、その推定が実際の工事によって流出する水量と完全に一致することまで求めているわけではないとしました。

 「水は1滴も譲らない」とする川勝知事の説明とは矛盾しないと強調します。

難波喬司副知事:「知事が言う1滴も譲れないというところ。それはゼロリスクを言っているわけではない。言っているのは、対策を考えるときに県外に1滴たりとも流出するということを前提にして、対策を考えるのは譲れないと。ただし、何が起こるかわからないから、工事をやる前から何が起きるか全部推定して、ゼロリスクにして対処しろとは言っていない」

 「1滴も譲らない」「ゼロリスクは求めない」。県は矛盾しないとしますが、リニア問題に新たなわかりにくさを生んでいます。

              (10月7日放送)