リニア中央新幹線 川勝知事「最後は一緒に乾杯」と話すも議論進まず…開通はいつになるのか?【重大ニュース静岡2022】
「JR東海とケンカをするということではないんです。最後は一緒に乾杯もできるようになればいいなと思っておりますが」
リニア中央新幹線 川勝知事「最後は一緒に乾杯」と話すも議論進まず…開通はいつになるのか?【重大ニュース静岡2022】
「乾杯」とはならず
2022年の幕開け早々、川勝知事が口にしたのは「乾杯」というキーワードでした。
毎年様々な方面から注目が集まるリニア問題。
今年は穏やかにいくのか…と、思っていたのも束の間。

川勝知事(4月28日):
「一民間企業が他の民間会社の財産、水利権に対してよくも言われたものだと思って、そこは実力に感じ入った次第です」
4月、川勝知事が噛み付いたのは“あの提案”についてです。
JR東海は「田代ダム案」を提案

JR東海・金子慎社長(4月26日):
「しっかり(水を全量)戻しますよというのが、私たちの伝えたいメッセージです」
JR東海は大井川の水問題の解決策としていわゆる「田代ダム案」を県の専門部会で提案しました。
東京電力が水力発電のために山梨県側に流している水の量を調整し、その抑制分を大井川への「全量戻し」に使う“田代ダム案”。
大井川流域や県庁からも、一定の評価を与える声が聞こえていましたが・・・
Q:今まで知事は全量戻しを求めてきたが、それに叶う解決策になる?
川勝知事(4月28日):
「ならないと思います。突然足蹴にされて、ちゃぶ台をひっくり返して「これ持っていくぞ」という感じになっている。その乱暴さには改めて会社の体質を垣間見る思いがした」
その数日後には・・・
Q:田代ダム案に対してはどう思っている?
川勝知事(5月12日):
「ありがたいですね」
Q:ありがたい…では評価する?
「水が戻ってくることはありがたいですよね」
評価をした一方で、田代ダム案の本格的な議論は来年に持ち越しに…
県内では田代ダム案に注目が集まるなか、全国からも注目を集める“できごと”もありました。
「建設促進期成同盟会」に加入も
6月、三重県で開かれた「中部圏知事会」。
ここで川勝知事は・・・
川勝知事(6月2日):
「ぜひ促進期成同盟会に入れてほしい」と言ったところ大村会長から「促進するつもりかどうかわからないので保留にしてある」と言われたので、促進するつもりであることを明確にしたく、ただいま(宣誓書を)持ってきているので」
司会:
「一旦休憩に入ります」
立ち上がる川勝知事。向かった先は愛知県の大村知事の元。
予告通り、期成同盟会加入の申請書を手渡しました。

ただ、この振る舞いに大村知事は・・・
愛知県・大村秀章知事(6月6日):
「あの場でいきなり紙を持ってくるとは思いませんでしたので、そこはちょっと普通は常識的には、普通は事前にこういうことをしますよって話があるもんですわな、普通社会人ならね」
最終的にはリニア沿線の10番目のメンバーとして「建設促進期成同盟会」に加入することになった静岡県。
ここから川勝知事の“フットワーク”にも変化が・・・
“建設促進”に向けた提案も…
8月には2年ぶりとなる南アルプスの視察を実施。
田代ダムでは自らメガホンをとり、説明をする場面も・・・
川勝知事(8月8日):
「今6?7割。きょうの取水量は。ほとんどが田代ダムの方に取られている」
今年は、期成同盟会に入ったことで静岡県側も“建設促進”に向けた提案を出すようになりました。

川勝知事(8月23日):
「すでに実験線の駅があるのが甲府(山梨)です。それがその次につながる駅は神奈川県駅ということになる。すでに工事が始まっていると承知しているが、そこでまずは2つの駅が結ばれれば、暫定開業も可能であると考える」
川勝知事の口から飛び出したのは「暫定開業」案。
しかし、これには期成同盟会の“仲間たち”から異論が噴出しました。
「部分開業」を提案、期成同盟会の姿勢批判も
愛知県・大村秀章知事(8月25日):
「部分開業というのはあり得ない。部分開業で事業として成り立つかというと、それは成り立たない」
神奈川県・黒岩祐治知事(9月5日):
「部分開業というのはあり得ない。リニアといったものに乗ってみたいと思う方は乗られるかもしれないが、別にそういう遊園地の電車ではないから」
それでも、川勝知事は部分開業の可能性を探るため工事が進む神奈川県駅などを視察。

ところが、神奈川県内でもリニア工事をめぐっては車両基地が未着工であることなど、課題が明らかに。
これについては、期成同盟会の姿勢を批判しました。
川勝知事(9月7日):
「2027年に努力すれば(品川?名古屋の開業は)できると、すべての知事さんが思ってらっしゃるんですね。だけどきょうこの現場を見れば、できないじゃないですか」
リニアはいつ開通するのか今年も見えず
しかし、川勝知事が提唱していた「部分開業案」についても変化が・・・
川勝知事(11月2日):
「それ(部分開業)ができないことがわかった」
先月、変電所の設置状況などから「部分開業が難しいことがわかった」と明言した川勝知事。
それに気がついたきっかけは、金子社長とのこんな体験でした。

JR東海・金子慎社長:
「時速500キロになりました」
川勝知事:
「全然普通に動けますね。たいしたもんだ」
2027年の開業が難しいとされるなかで、時速500キロが品川と名古屋を行き来するのはいつになるのか?
その大きな鍵を握るのは、静岡県です。