桜ヶ丘病院の移転問題は後戻り…田辺市長とのトップ会談後、理事長「ゆっくり議論すればいい」 静岡市
1年ぶりのトップ会談
根方ゆき乃記者(午後3時ごろ):「田辺市長がJCHOに入っていく。なぜ移転候補地がダメになったのかトップに確認するためです」 午後3時から、都内で、静岡市の田辺市長が、桜ヶ丘病院を運営する独立行政法人地域医療機能推進機構=JCHOの尾身理事長とのトップ会談に臨みました。迷走する清水区の桜ヶ丘病院の移転問題について協議するためです。
静岡市 田辺信宏市長(都内 午後4時半):「今回、尾身理事長と約1年ぶりのトップ会談だったが、お互いの立場を理解した。大変意義深いひと時だった」
開設60年以上経過 老朽化進む
静岡市清水区にある桜ヶ丘病院。開設してから60年以上が経過して老朽化が進み、建て替えが急務となっています。 静岡市は2017年、病院を運営する独立行政法人地域医療機能推進機構=JCHOと今の清水庁舎跡地に移転することで合意。田辺市長は早期実現を目指してきました。しかし…
静岡市 田辺信宏市長(5月29日):「海洋文化施設、清水庁舎、そして歴史文化施設。一旦停止をしたという決断を、機関決定した」
田辺市長は5月末、清水庁舎移転を含む3つの大型事業の凍結を発表しました。新型コロナウイルスの対策費に予算を使い、財源の見通しが立たなくなったことなどを、その理由に挙げました。
清水庁舎駐車場を代替案に提示
移転計画の先行きが不透明となる中、市は6月、代替案として清水庁舎の3つの駐車場への移転をJCHOに示しました。 田辺市長(6月4日):「1日でも早く老朽化した桜ヶ丘病院を移転して、オープンしたい」
JCHO側からメールが…
意欲を見せる田辺市長。足並みがそろい、計画は前に進むかと思われましたが、先月15日、JCHOから市に1通のメールが届きます。 「移転を断念します」
JCHOは、市が提案した駐車場では面積が狭く、必要な病床数の確保が難しいと説明しました。
また、駐車場が津波浸水想定区域にあることから、浸水を防ぐために入り口を2階にする構造にすると、救急車が通るスロープが必要で、建物の面積が一層狭くなることも断念の理由に挙げています。そして、新たな移転候補地を検討してほしいと、市に伝えました。
市長「JCHOの意向を確認しながら提示したのに…」
振り出しに戻った移転計画。怒りをにじませたのが、田辺市長です。 田辺市長(10月7日):「本市としてはJCHOの意向を確認しながら提示させていただいた土地なので、このような文書が届いたことを大変戸惑っている。今回3カ月もしないうちに1枚の文書でこうなったと 到底、私が納得できるものではない」
田辺市長は、メールの真意を確かめたいとして、JCHO側に対し早急にトップ会談を求めていました。
そして
田辺市長と尾身理事長とのトップ会談は、13日午後3時から都内のJCHO本部で行われました。 なぜ一転して「駐車場はダメ」ということになったのでしょうか。そして、桜ヶ丘病院は今後どこへ向かうのでしょうか。
会談後、田辺市長は次のように語りました。
田辺市長:「清水の医療をどうするかソフト面ハード面、これから課題を共有して、共同歩調をとっていこうという合意に達しました」
JCHO 尾身茂理事長:「忌憚のない意見交換をした結果、桜ケ丘病院の移転については、先に結論ありきということではなく、これからどういうことがニーズ、医療が、住民に求められているのかを議論してから、だんだんと病院の役割、期待される役割ということをやっていくと、桜ケ丘病院のこれからはだんだんとわかっていくのではないかと、お互いに納得して合意したと思う」
記者:移転・建て替えは行われる認識でよいか?
尾身理事長:「ゆっくりいろんなオプションを議論したらいいんじゃないか」
記者:市長が真意を確かめたいと言っていたが
静岡市の担当者:「JCHOが現在想定している病院の機能や規模だと狭いということ。桜ヶ丘病院の機能や規模の話が決まれば、あそこ(清水庁舎の駐車場)が適切なのか狭いのかわかってくる」
静岡市によりますと、きょう田辺市長から尾身理事長に、移転先は清水庁舎の駐車場にこだわらないと伝えたということです。ほかの移転先については、具体的な話はなかったといいます。
JCHOは12月に現在の病院の耐震補強工事をするための入札を予定しています。
市は、早急に議論を行った上で、耐震補強で病院を継続するのか、移転・建て替えを行うのか、来月中に結論を出す方針です。
根方ゆき乃記者:「当初5年後の開院を目指していた桜ヶ丘病院。移転・建て替えは保留されることとなり、移転計画が一歩前に進むどころか、後戻りする形となりました」