活字離れの逆風…静岡県内最大級の書店が閉店 客「宝探しができる場所」

久保円華アナ:「さよならは小さい声で。店内に入るとスタッフが、最後におすすめしたい本が静かに迎えてくれる」
 JR静岡駅から徒歩3分。戸田書店静岡本店は、静岡の顔となる書店を掲げていました。閉店まで残り4日。
店内にはその日を惜しむ人や今までの時間に感謝する人たちの思いがあふれていました。

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「静岡一の知識の宝庫」
「静岡の文化の灯し火が、ひとつ消えてしまう」
 この日も、思い出に浸りながら、言葉を紡ぐ人の姿が。
静岡市の女性(18):「小学校くらいの時からクリスマスにご飯を食べに来たら、帰りにここに寄って、皆好きな1冊を選んで買ってもらった。他の本屋さんもいっぱいあるけど、ここが1番居て安心するような感じ、本当に空間が大好き」
母(55):「宝探しのような場所。なくなってしまう実感がわかない。どうなっちゃうんだろう私たちの生活」
 2002年、戸田書店本店は、かつて長崎屋が所有していたビルを7億円で購入し、オープンしました。2010年に葵タワーへ移転。約60万冊の豊富な品揃えとアクセスの良さから、広い地域、年代の人に親しまれました。
久保アナ:今回どうして閉店することに?
戸田書店静岡本店 藤浪哲也店長:「現在の本屋が置かれた状況が、いろんな理由で厳しくなっているから」
 出版業界に吹く活字離れの逆風。ネット販売や電子書籍にも押され、8年前に350店ほどあった県内の書店は約210店まで減りました。
 静岡市の中心部にあった書店も、2002年以降減り続け、戸田書店静岡本店も時代の波を乗り越えることができませんでした。
島田市の子連れの女性(27):「絵本は読むコーナーが充実していて、すごくいいと思う。絵本を買って帰ろうと思う」
 こだわりが詰まった店内。3階のフロアに並ぶのは全て専門書です。芸術書のコーナーでは、表紙がよく見えるようにひと工夫。本の置き方にも妥協はありません。
音楽雑誌を手に取る男性は、ここを目当てに掛川市から来ました。
掛川市の男性:「ここだと今の物から少し古い物まであるので、気に入っている」
久保アナ:静岡市内の大きな書店が閉じてしまうと、生活も困る?
男性:「ありますのね。生活パターンが少し変わってきちゃうのかな」
 惜しまれながら迎えた今月26日。店の前には、最後の別れを告げようと集まった人たち。そして、午後8時、閉店。
戸田書店静岡本店 藤波哲也店長:「長きにわたり、皆様からご愛好いただきまして、深く厚く御礼を申し上げます。ありがとうございました。
客:「おつかれ!」