500年以上の歴史ある祭りがコロナで中止に…災いから身を守る「のき花」を軒先に 静岡・掛川市
祭りに欠かせない「のき花」
掛川市の就労支援施設で作られている「のき花」。祭には欠かせない存在です。
根方ゆき乃記者:「こちらがのき花。あらゆる方向の災いから身を守るとされている。この竹を緑色に染めるところから始まり、3週間以上かけて完成する」
静岡県掛川市の「掛川工房つつじ」では、障害のある18歳から73歳までの約40人が、毎年25万本ののき花を作っています。
記者:のき花作り?
利用者:「のりを付けるのが難しい」
利用者:「時間がかかる。このように紙を貼るのが難しい」
毎年10月に行われ、500年以上の歴史があるとされる「掛川祭」。その期間中、「のき花」は氏神様が通る道を明るく照らすものとして軒先に飾られます。しかし、今年は祭が中止に…。
掛川工房つつじ 伊藤ちえ美支援員:「今年出荷する予定だったのき花が全部入っているので、本来であれば全部空になる予定だったが…」
倉庫には、行き場を失った「のき花」が眠ったまま。
利用者:「寂しい。来年はやってもらいたい」
掛川工房つつじ 加藤裕子支援係長:「のき花を軒先に飾る祭りを励みに作っているので、のき花を飾る状況を見られないのが、利用者は寂しいと話している」
今年も「のき花」は飾ろう
そんな中、動き始めた人がいます。
・青年
「こんにちは。塩町青年です」
「今年はコロナの影響で祭りはやらないが、がんばろう掛川祭りということで、のき花と提灯を当日飾ってほしい」
青年「(のき花手渡し)よろしくお願いします」
酒屋店員「今年は残念。来年できればいいけど」
酒屋店員:「祭りが一番酒屋として大きなイベントだったので、とても残念。来年に向けてだんだんよくなってくれればという願いを込めて(飾る)」
のき花を手渡しているのは「祭青年」といわれる祭の中心メンバー。つつじ工房から買い取り、各家庭に無償で配布しています。
記者:のき花は西部地区でしか見られないが、皆さんにとってどういうもの?
祭青年3人組:「祭りを感じるアイテムの一つ」
記者:当たり前のもの
祭青年3人組:「祭り=のき花。初めてこの辺りにしかないと知った」
記者:どこにでもあるものだと?
祭青年3人組:「祭りのあるところだったら、共通のものだと思っていた」
塩町青年 小崎雅也さん:「本当は屋台の音やお囃子の音色を聞いて、祭りを感じたいが、のき花も祭りの代名詞みたいなところがあるので、そんな景色がみられるだけでも(いいと思う)」
祭りができなくても何とか街を盛り上げたい。祭を愛する彼らならではの心意気です。今年も、思いがけず「のき花」が飾られることになりました。
掛川工房つつじ 加藤裕子支援係長:「コロナの状況で(辛いのは)自分たちの施設ばかりではない。そのような中でも、のき花を飾っていただき、それだけで気持ちが少し明るくなればうれしい」
コロナの収束を願って。祭ができなくても、今年は桃色の花が街を明るく彩ります。