ノーベル化学賞の吉野彰さんに県民栄誉賞「一番しんどい部分を静岡県で研究」 岩崎恭子さんらに続いて6人目

世界的な功績を称えて6人目の県民栄誉賞です。富士市でも10年間、研究に取り組み、去年、ノーベル化学賞を受賞した吉野彰さんに、県民栄誉賞が贈呈されました。

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 拍手で出迎えられたのは、旭化成名誉フェローの吉野彰さん(72)です。 静岡県 川勝平太知事:「先生の学問に打ち込む、たゆまぬ精進に敬意を表し、県民栄誉賞を送り、長くその栄誉を称えます」  大阪府出身の吉野さんは1972年に旭化成に入社すると、現在、パソコンやスマートフォンなどに幅広く使われているリチウムイオン電池を開発。その功績によって去年、ノーベル化学賞を受賞しました。  吉野さんは2005年から10年にわたって、旭化成富士支社の「吉野研究室」で、リチウムイオン電池の小型化や実用性の向上に取り組み、今回、県民栄誉賞の贈呈が決まりました。
 吉野さんは自らが経験した1995年のIT革命のような大きな変革期に、必ずチャンスがあると若手研究者にエールを送り、静岡での生活をこう振り返りました。

旭化成名誉フェロー 吉野彰さん:「(開発過程において)マーケットを立ち上げるための研究、3つ目の関門ですね。これはダーウィンの海と申しております。私とあるいはリチウムイオン電池と静岡県との関係は、3つの関門のうちの一番しんどい、ダーウィンの海の部分を静岡県で研究を続けてまいりましたという経緯であります」

 1992年創設の県民栄誉賞は、県民に明るい希望を与える功績を残した人に贈呈されます。これまで、バルセロナオリンピックで、金メダルを獲得した水泳の岩崎恭子さんらが受賞していて、吉野さんで6人目です。

研究に励んだ地 富士市からは「市民栄誉賞」

 吉野さんは午前、かつて研究に励んだ地、富士市の市民栄誉賞の贈呈式にも出席しました。1998年に創設されてから初めての受賞者です。  吉野さんはリチウム電池にとって「富士市は第2の故郷」と挨拶し、子どもたちへメッセージを送りました。

吉野彰さん:「どこかに間違いなくゴールがある。その間に色んな困難に直面する。困難を1つ乗り越えたらゴールに近づいた。そういう気構えを持ってもらいたい」