新型コロナがきっかけ!? 障害のある人たちが作る「オリーブビール」 静岡・三島市、沼津市

 静岡県内初の「オリーブの葉」を使ったクラフトビール、「Fontana di Oliva(ふぉんたーな・でぃ・おりーば)」。新型コロナをきっかけに誕生しました。

画像1: 0910YG vimeo.com

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 静岡県三島市の就労継続支援(A型)事業所「ユースエイド」。障害がある11人の利用者が通っています。

 この日していたのは、来年用の仕事。

スタッフが説明
「おせちのメニューをこの中に入れて、おせち、お重ありますよね。それにセットする」

「飲食」「観光」「自動車部品工場」 新型コロナの影響で苦境に

 これまでは、「飲食」に加え、「観光」、それに「自動車部品工場」の3つの仕事がメインでした。しかし…。

高橋達也代表:「うちはその3本柱でやっていまして、それが一気に(新型コロナの影響で)2月になったら全部同じようになくなっていったものですから、びっくりしまして…」

 事業所の代表で沼津市の市議会議員も務める高橋達也さん。新型コロナの影響で、仕事がなくなった利用者に何か働き口を…。

事業所で育てているオリーブでビールづくりを…

 そこで思いついたのが、事業所で育てているオリーブを使ったビール造りでした。

高橋代表
「4年終わったところですね。4年と3カ月」

画像1: 事業所で育てているオリーブでビールづくりを…

 ユースエイドは4年前の春から、長泉町の耕作放棄地でオリーブの栽培を始めました。収穫した実は、静岡市の企業が買い取っています。

高橋代表:「ビールは若い葉っぱを使いました」
記者:香りづけ?
高橋代表:「そうですね。どちらかというと香りづけ」

 今回使ったのはオリーブの「葉」。

高橋代表:「僕が、枝をぱちぱち切っていくんですね。それを集めておいて、利用者たちが、一枚一枚根元のところを消毒したハサミで切っていきます」

画像2: 事業所で育てているオリーブでビールづくりを…

「仕事を作り出すのが当たり前の時代に…」

 仕事がなかった間、利用者は剪定した枝から若い「葉」を切り取り、選別する作業にあたりました。

高橋代表:「今まで、仕事があって当たり前。A型事業所で、企業にお願いに行って、何かできる仕事ありませんかと言って、仕事をもらっていたのが、やっぱり、もうちょっと工夫して、知恵を出して、自分たちで、仕事を作り出すということが必要な時代になったんだなと感じる」

「女性も楽しめる色も明るいおしゃれな感じに」

 沼津市のクラフトビールの醸造所。

 この日は、熟成が進むビールの味見です。

試飲した高橋さん、思わず…。
「うわー、すごくきれい。うんうん。うまいっす」

 開発を手伝った醸造家の片岡哲也さん。これまでいろんな材料でクラフトビールを作ってきました。

柿田川ブリューイング 醸造家 片岡哲也さん:「(以前)ジャガイモのビールとか作っていたので、ジャガイモで出来るのに、オリーブでビールを断るのもあれですし、高橋さんの熱意も感じたので」

片岡さん:「焙煎したオリーブの葉を最後煮沸終わりに入れたので、そこからちょっとフワッとアクセントを感じる人がいるかなくらい。ビール=男性となっているが、女性も飲めるように。色も明るめでおしゃれな感じに」

 県内初のオリーブの葉を使ったクラフトビール、もうすぐ完成です。

画像: 「女性も楽しめる色も明るいおしゃれな感じに」

仕込みから1カ月。ビールが完成

仕込みから約1カ月後―

高橋さんが店に顔を出しました。
「こんにちは。あ。はい、ありがとうございます。すごい」

 待望のビールが完成しました。今回作ったのは400リットル。沼津市内の酒屋などで販売されます。

 新型コロナをきっかけに生まれた「Fontana di Oliva(ふぉんたーな・でぃ・おりーば)」。

高橋さん:「感慨深いですね。でも、これが第一歩ですから。自分たちがかかわって育てているオリーブの木ですから、それが商品になっていくというのは、彼らにとって、誇りになってくれればいいと思いますね。コロナ禍は続いているが、今までと違う戦略を出していって、とにかく負けないで頑張っていきたいと思う」

画像: 仕込みから1カ月。ビールが完成