「命の水を守る」…大井川流域の107人がリニア工事差し止め求め提訴原告弁護団「百害あって一利なし」 静岡地裁

 リニア中央新幹線の工事をめぐり、大井川の流域市町の住民らがJR東海に工事の差し止めを求める訴訟を起こしました。

画像: 「命の水を守る」…大井川流域の107人がリニア工事差し止め求め提訴原告弁護団「百害あって一利なし」 静岡地裁

 提訴されたことについてJR東海は、「訴状が届き次第、内容を確認し適切に対応して参りたい」とコメントしています。

 JR東海に工事の差し止めを求めているのは、大井川流域にある静岡県の8市2町の住民ら107人で、午前11時ごろに静岡地方裁判所に訴状を提出しました。

 住民が懸念しているのは大井川の水問題です。JR東海はリニアの建設工事で、大井川の源流である南アルプスにトンネルを計画しています。訴えでは工事で湧き出る水が県外に流れることで大井川の水量が減ることに加え、南アルプスに生息する動植物にも影響を及ぼす可能性があると指摘しています。

 原告団共同代表の桜井和好さん(70)は、静岡県島田市の農家で大井川を農業用水として利用しています。

島田市の農家 桜井和好さん:「農業者にとっては水無しに稲作はできないので、本当に命の水、農業に欠かせない水になる。島田市の一員として
ぜひとも、命の水を守るという意味で頑張っていきたい」

 また、原告団はJR東海が2014年に工事によって、大井川の源流が毎秒2トン減少すると試算したことについて、「机上で算出した予想値に過ぎず、実際の減水が毎秒2トンを超えない保証はない」と指摘します。

原告弁護団:「静岡では、今県知事を中心にして、本当にこの工事をやらせていいのか、という形で立ち上がっていく。静岡には百害あって一利なしという状態を作り出している」

 JR東海は2027年のリニア開業を目指していますが、県との対立が続き、県内区間10・7キロのみ未着工となっていて、実現は困難な状態です。