ドラフト最下位指名の加藤廉「這い上がる」と下剋上宣言 巨人スカウト「きっかけ1つで変われる選手」 静岡市

 プロ野球ドラフト会議でラストの123番目、巨人から育成枠12位で指名を受けた東海大海洋学部4年加藤廉内野手(21)が5日、静岡市清水区の同大で巨人の青木高広スカウト(38)から指名あいさつを受けた。支配下7人、育成枠12人の指名選手に向けて原辰徳監督(62)が、同じ文言でしたためた色紙を渡され、加藤は「うれしいです。実感が湧いてきた状態で、これから支配下を勝ち取るために努力していかなかきゃいけないなという風に思いました」などと話した。

 加藤は俊足好打、50メートル5秒9、遠投115メートルで身体能力に優れている。青木スカウトも新型コロナウイルス感染拡大に伴う自粛が明けた今年6月以降、草薙球場の室内練習場で視察し、加藤にほれ込んでいた。「あの練習で『もういけるな』と思いましたね。肩も強いですし、フリーバッティング、打撃練習にしてもしっかり振れてたんで、そういう特徴があるなと。きっかけ1つでね、本当に変わる選手じゃないかなと思います」。育成枠12位で指名にこぎつけたことについても、「(指名は)10人ぐらいと聞いていましたが、12人でしたので、何とか良かったです」と笑顔で振り返った。
 緊張の面持ちで青木スカウトと対面した加藤は、「1つでも自分の中で軸として持つことを大事にして、これから力を伸ばしていくように」と告げられたことを明かし、「一番下から自分が支配下を勝ち取って、下克上じゃないですけど、這い上がれるようにしっかりやっていきたいなと思います」などと話した。
 まずは、プロの世界で通用する体をつくるべく、下積みは覚悟している。それでも、「力強いスイングというのは、ブラさずにやっていきたいです」と言葉に力を込めた。理想像は、同じ遊撃手で三拍子そろった坂本勇人。今、最後尾にいる加藤は、球界を代表する選手を本気で目指す。

 ◆加藤廉(かとう・れん)1999年1月12日、静岡県島田市生まれ。右投げ、左打ち。五和小で野球を始め、中学時代は小笠浜岡シニアで外野手。島田工では通算10本塁打を放った。東海大海洋学部では、1年からベンチ入り。2年春のリーグ戦には外野手、三塁手として12試合に出場し、新人賞を受賞。3年春には本塁打王になり、同大の18季ぶり6度目のリーグ優勝に貢献した。4年では主将を務め、遊撃手で出場した秋季リーグでは、46打数19安打で4割1分3厘、1本塁打、10打点、5盗塁。好きな芸能人は松岡茉優。家族は両親、兄、双子の弟。弟は社会人軟式野球のテクノスジャパン(沼津市)でプレーしている。

画像: 巨人の原辰徳監督からの色紙を手に、青木高広スカウト(右)と記念写真に納まる東海大海洋学部4年の加藤廉。

巨人の原辰徳監督からの色紙を手に、青木高広スカウト(右)と記念写真に納まる東海大海洋学部4年の加藤廉。