丁子屋14代目、柴山広行さん。1596年=慶長元年創業。420年以上続く静岡で最古のとろろ汁のお店「丁子屋」。歌川広重の浮世絵「東海道五十三次」に登場することでも有名です。そんな丁子屋で10月12日、14代目の柴山広行さんが社長に就任。これを機に創業者である丁子屋平吉」の名前を復活させ、引き継ぐことに…。
画像: 創業は秀吉の時代…420年以上続くとろろ汁店「丁子屋」はコロナ禍でも売り上げ増加 静岡市

社長就任は、歌川広重の命日

丁子屋14代目 丁子屋平吉社長:「10月12日が(東海道53次を描いた)歌川広重さんの命日。丁子屋としては、広重さんの浮世絵があったからこそ、今があると思いまして、10月12日を自分の社長就任にして、忘れちゃいけないなと」

画像: 社長就任は、歌川広重の命日

 老舗とろろ汁の丁子屋も 新型コロナウイルスの感染拡大の影響を受けて、4月中旬から5月末までの1カ月半休業を余儀なくされ、8000万円の借金を背負うことになりました。ところが…

9月の売り上げは前年比105%

丁子屋14代目 丁子屋平吉社長:「9月に関しては(前年比)105%(の売り上げ)まで戻ってきていますね」

 奇跡のV字回復の舞台裏には一体なにがあったのか? とろろ汁の老舗 丁子屋。 14代目社長の挑戦を追いました。

従業員全員と面談

画像1: 従業員全員と面談

 丁子屋の看板メニューと言えば、代々その味が受け継がれてきた「とろろ汁」。静岡在来品種の自然薯と自家製の白みそ、かつおだしが効いた風味豊かな味わいです。社長に就任して、まず始めたことは奥さんの知子さんと一緒に従業員40人すべてと社内面談、

ディレクター 社内面談を始めた理由は?

丁子屋14代目 丁子屋平吉社長:「僕たち夫婦がどんな会社を作っていきたいのか、(従業員)1人1人に伝えて、確認をしたかった。逆に皆さんがどんな気持ちで『頑張ってくれているのか』とか、普段の作業中ではなかなか聞けない部分を聞いて、お互いの気持ちを確認したうえで『これからもよろしくね、頑張りましょう』ということをしたかった」

実際の面談の様子を見てみると…

丁子屋14代目 丁子屋平吉社長:「僕らだけじゃなく、(従業員)みんなで、仕事も人生も楽しめる会社にしたいと思っています。そのために仕事も助け合わなきゃいけない。休みだってお互いに『私、代わりに出るからいいよ』と、交代で休みを取れる環境を作りたい」

丁子屋(平吉さんの妻)柴山知子さん:「昔はプライベートもなくて、働き詰めで、綾子さんなんて特にすごい大変な時代だったと思います。だけどこれからは、プライベートも楽しんで、子どもの参観とか運動会とか行かせてあげたいし、私たちも行きたいし、そういう風な会社に、どんどんいい会社にしていきたい」
 
丁子屋スタッフ 萩原綾子さん(勤続37年):「昔、私が入ったばっかりの時(37年前)は、『土日祭日絶対に休んじゃいけない』という雰囲気だった。子どもたちも、どこにも連れていけなかったし、新社長のその気持ちは本当に分かります。自分たちが『寂しい思い』をしてきたから、これは本当にありがたい」

画像2: 従業員全員と面談

「新型コロナで借金は増えたが、家族といる時間は増えた」

 社長夫妻が従業員にもプライベートな時間を大切にしてほしいと思っていることには、実は新型コロナが影響していたんです。

丁子屋14代目 丁子屋平吉社長:「(新型コロナの影響で)借金は増えてしまったんですけれど、その代わり、家族といる時間は増えました。テニスもしたし、バーベキューもしたし、今までそんな時間なかったので、幸せな時間が持てましたね」

新型コロナの感染拡大の影響で、 丁子屋もおよそ1カ月半の休業。経営は苦しかったのですが、一方で家族と触れ合う時間の大切さに気が付いたと言います。夕食にお邪魔しました。

妻 知子さん:みんなの顔を見ながらご飯を食べるのがおいしい、ママは
丁子屋平吉社長::そりゃそうだよな
知子さん:すごく一生懸命ご飯作った。みんなが「おいしい」って言ってくれているの聞きながら ご飯食べるのが ”おいしい”
ディレクター:とろろ汁好きですか?

俊介君(長男・12歳) 新君(三男・7歳) 〇 好き
旺志朗君(次男・10歳)× 嫌い

旺志朗君(次男・10歳)ネバネバするから
新君(三男・7歳)それがいいんだよ

丁子屋(平吉さんの妻)柴山知子さん:「本当に大事なんですよ、家族がね。そのために仕事も頑張る。自分たちが幸せになるんじゃなくて、従業員みんなで幸せになれる。もっともっといい会社にしていきたいという思いでワクワクしています」

 社長は社内面談を通して、従業員との対話の大切さを再確認しました。そんな中…

ホールスタッフ:「(厨房スタッフが)出来た料理を早く出したいために 、(ホールスタッフの)手伝いをするのは分るけど…。ここの役割は私たちの中ではすごい大きい」

画像: 「新型コロナで借金は増えたが、家族といる時間は増えた」

丁子屋 14代目 丁子屋平吉社長:「今度、社員ミーティングで話をするよ」

ディレクター:話をされていましたがどういったことだったのか?

丁子屋 14代目 丁子屋平吉社長:「良かれと思って、(厨房スタッフが)応援に入ったんですけれど、応援をされた側(ホールスタッフ)は『本当はもっとこうやって動いてもらったほうが私たち助かるよ』と、お互いの価値観をもう一回調整します」

 父親で会長の馨さん。新社長の働きぶりはどう映っているのでしょうか?

丁子屋 柴山馨会長:「(働き方改革を)否定はしませんが、これからはそういう時代になっちゃったから。それは仕方がないかな、という部分はある。それがまた 新しい歴史を作っていく訳ですから、自分は自分で自分なりに歴史を作ってきたし、(新社長は新社長で)プラスしてまた新しい歴史を作っていってほしい」

「かやぶき屋根の古民家には似合わない」という声もあったが…受け付け管理システムを導入

 社長就任後、コロナ禍での受け付け方法にも変化が。順番待ちの列を作らずにすむ 受け付け管理システムを導入。番号券の発券が簡単で 待ち時間や順番を確認できる優れもの。かやぶき屋根の古民家には似合わないという従業員の意見もありましたが、説得をして導入しました。

静岡市内からのお客さん:「見てびっくりした。この機械があるとスムーズには入れていいんじゃないかと思う。コロナ対策には良いなぁと思いますね」

富士宮市からのお客さん:「最新のシステムを取り入れることによって、お客さんのサービス向上を目指していて、とても好感が持てます」

画像1: 「かやぶき屋根の古民家には似合わない」という声もあったが…受け付け管理システムを導入

 お客さんの評判も上々のようです。

 緊急事態宣言後 一時は途絶えた客足は徐々に回復。

丁子屋14代目 丁子屋平吉社長:「団体の予約はまったくなくなりました。その代わり、県内の方が増えまして、9月に関しては(前年比)105%(の売り上げ)まで戻ってきていますね」

 新型コロナの影響で、県民は県外への外出を控え, その代わりに県内のスポットに目が行くようになりました。丁子屋はその歴史やかやぶき屋根の古民家でいただく「とろろ汁」。県内にいながら 観光気分が味わえるという付加価値で県内のお客さんが増え、V字回復をしたのです。

富士市からのお客さん:「情緒があっていいですよね。(この雰囲気で)おいしくいただけるんで良いと思います」

富士宮市からのお客さん:「昔 私たちも自分の実家がかやぶき屋根だったの だから懐かしい」

画像2: 「かやぶき屋根の古民家には似合わない」という声もあったが…受け付け管理システムを導入

昼食は午後3時

この日、社長が 昼休憩を取れたのは午後3時過ぎ。自ら厨房に行き、「とろろ汁」をよそい、レジ近くの事務所で、音を立ててとろろ汁をかき込みました。

ディレクター:いつも昼食はこの時間ですか?
丁子屋 丁子屋平吉社長:「午後2時半から午後3時過ぎです」
ディレクター:おなかはすきませんか?
丁子屋 丁子屋平吉社長:「すきます。すきます。昼過ぎからはすいいてますね。もう慣れましたけど、お客さんに喜んでもらった後でいいかなって思っています」

昼食後は厨房に

 社長は昼食後 毎回 厨房に行きます。

丁子屋 丁子屋平吉社長:「きょう(とろろ汁は)おいしかったですよ」

丁子屋 佐藤伸一料理長:「きょうはみそ汁がはすごく甘いので、それもあるんじゃないかな。本当だ甘い。それが余計良かったんじゃないかな」

 丁子屋で使われているみそは自家製。毎日味が変化します。毎日 味の感想を言うことで おいしさのレベルを保てているのです。

年に数回、自然薯の契約農家を訪問

 社長の挑戦は続きます! 年に数回 自然薯の契約農家を訪ねて、丁子屋で使う自然薯の生育状況をチェックします。

今年の自然薯どうですか?

画像: 年に数回、自然薯の契約農家を訪問

自然薯生産者 山口一成さん:「11月に入ってから掘ってみた。平均500グラムある。だからいいの出来ている。今年期待してください!」

「冷凍とろろ汁」も販売へ

 社長の挑戦はまだまだあります! それは、12月発売予定の「冷凍とろろ汁」。丁子屋の「とろろ汁」を家庭で食べてもらいたいと料理長、知子さんと力を合わせ 構想から2年、丁子屋の味を冷凍で再現するために自然薯とだしの割合の試作を繰り返し、やっと納得する味が出来たそうです。

丁子屋 14代目 丁子屋平吉社長:「(自然薯の)香りがする。ねばりもするし、香るもんね」

丁子屋 (平吉さんの妻)柴山知子さん:「最初、本当に妥協して作るものだと思っていたんですけれど、(試作品は)全然妥協していない。本当にお店で出してもいいレベル。最初はこんなに粘りもなくて『なんでだろう?』ってやり直して出来たから、自信作です」

画像: 「冷凍とろろ汁」も販売へ

 創業から420年余り、歴史ある丁子屋の14代目社長としてスタートしたばかり、その手腕が試されます。

丁子屋 丁子屋平吉社長:「お客さんにとってもそうですし、働いているスタッフさん。もちろん、僕とか奥さんとか子ども、みんなにとって 『ここでよかったね』と『ここに来て』『ここに食べに来て』『働けて』『ここで過ごせて』『良かったね』という場所になってもらえたらいいと思います」

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