今年は新型コロナの影響で、経営が悪化する企業も多く、解雇された人もいます。貯金を9000円まで切り崩し、生活困窮者の施設に入った男性を取材しました。
画像: 所持金9000円で野宿…新型コロナ失職の50代男性 生活困窮者施設に入り、再就職を目指す 静岡市

 「家がない」「お金がない」。この施設では生活の行き詰った人に住む場所を提供しています。25部屋、満室です。

NPO静岡生活振興会 斉藤隆雄理事長:「空いたとしても、すぐに次の相談があり、埋まってしまう状況で」

 5月下旬に入居した50代の男性(静岡市出身)。家族には、ここに住んでいることを話していません。

コロナで失職した男性:「それぞれの家庭があるので、連絡して頼るのはいいんですけど、生活を考えてしまうと、一概にこちらから連絡することはできない」

 5月、男性は施設にSOSのメールを送っていました。

メール
「野宿しております。所持金は9000円ほどしかありません」
「住むところもない状況に陥っています」

 男性は派遣社員として、静岡市内の工場を転々としていましたが、新型コロナの感染拡大で仕事が減り、住む場所も失いました。

コロナで失職した男性:「仕事案件を紹介できることはないということで、ことこどく断られた。10社以上は軽く。どうせ連絡してもここもダメなんだろうなと頭によぎっているので」

 利用者は1日2回、共用スペースに集まって内職をします。社会復帰に必要なコミュニケーション能力を失わないためです。

NPO静岡生活振興会 斉藤隆雄理事長:「将来的には仕事をして、給与を得て、自立していくのが本当の自立なので、ここから出るためには、仕事が見つからないことには、ここを退所するのも難しい」

 静岡経済研究所が来年の雇用状況の見通しを調査したところ、自動車メーカーなどの製造業では、半数以上の企業が「今後、人材獲得を重視する」と答えました。担当者は「部品の輸入が再開され、工場が通常通り稼働するようになったため」と分析しています。

静岡経済研究所:「みなさん、今までは売り上げを確保しないといけないと最重要課題で5月はあったが、そこは1段落すると、経営を次のステップに進めなければいけないということで、人材獲得しないといけないという判断が出た」

 仕事を失った男性が目指すのは、来年春までの再就職。施設からの「卒業」です。

コロナで失職した男性:「こんなに仕事に行きたくても、仕事につけないんだなと、なかなか就職することの難しさをコロナで感じました。(就職活動を)続けていくことが大事だと思うので、そういったモチベーションを切らさないように、日々やっていきたい」

 生活に苦しむ人が増える中で、今年は支援の輪も広がりました。

 この日、静岡市のチーズケーキ専門店「すずとら」を訪れたのは、NPO団体・シングルペアレント101の職員。目的は袋詰めされたクッキーです。

 クッキーは100世帯分。生活に苦しむ一人親世帯などに配られる予定です。「すずとら」は今年から生活困窮者への支援を始めました。先月寄付したチーズケーキは大好評だったといいます。

小川陽子代表取締役:「スイーツって人の心を明るくしたり、ハッピーな気持ちにしてくれる。私たちのお店もイベントや催事が中止になって、全国から支援をいただいたこともあった。何か私たちもお返ししたいと思った」

 このNPOが開く食料配布会の希望者は例年の5倍に増加しました。支援の必要性とともに、その限界も感じています。

NPOシングルペアレンツ 田中代表:「お子さんの着る服がないとか、冬服の用意ができないとか、困窮の状況が手に取るようにわかる。食料配布という対処療法だけではなくて、1人親じゃないところの力を借りながら社会を変えていく方に尽力していきたい」

 困窮という長いトンネル。そこには多くの困っている人がいます。国難に立ち向かう中で生まれた優しさは、この1年間で広がりをみせています。

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