苦境の中でコロナ…茶と酒の組み合わせで状況打破へ「静岡のお茶が日本で一番面白いと思ってもらいたい」 静岡・富士市

 ここ数年苦境に立たされ、新型コロナでもダメージを受けた静岡県の茶業界。この状況を打破しようと、「静岡茶」とお酒を組み合わせ、新たな可能性を探る取り組みが始まっています。

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富士山を臨む茶畑にあるティーテラス。これまで接点のなかったお茶を栽培する場所に、お茶を楽しむ空間を作る試みです。

松田和佳アナウンサー:「香りがよくて甘い。特別感もあるし、お茶のいろいろなことを考えながら楽しめるのがいい」

仕掛け人は140年以上続く茶園の5代目
 仕掛けたのは、富士市で140年以上続く茶園の五代目、本多茂兵衛さんです。

本多茂兵衛さん:「コロナの前と同じ世の中にはならないと思いますので、これからの時代にどういった形で楽しんでいただくのか。もう一度見つめ直さないといけないんじゃないかと」

 生産量は2万4520トンと推計されています。高齢化による茶農家の減少に加え、新型コロナの影響による観光客向けの需要の先細りを見越して、茶農家が生産を縮小したことが原因です。50年以上守り続けてきた生産量全国トップの座も危ういと言われています。

 本多さんがコロナ禍の2020年、新たに立ち上げたのが夜のお茶を意味する「宵茶」プロジェクト。茶葉をお酒で抽出したクラフトリキュールを作り出しました。煎茶、紅茶、ウーロン茶などと様々なお酒をブレンドして、新たな可能性を探っています。紅茶をブランデーで抽出した宵茶を頂きました。

松田アナ:「紅茶の香りがふわっとします」
本多さん:「飲みやすい。香りが華やか」
本多さん:「なるほど、静岡の人たちってこんなところまでお茶か!と言ってもらえるとうれしいなということで、夜のお茶、宵茶という名前にしました」

「宵茶」はバー、レストランなど19店舗に広がる
 「宵茶」はこの5カ月ですでに県内のバーやレストランなど19店舗に広まりました。こちらのホテルのバーでは、ほうじ茶を黒糖焼酎で抽出した「宵茶」で作ったほうじ茶ジンジャーハイが、一番人気だということです。

日本平ホテル 山本憲正さん:「県外の方はもちろんですけど、県内でもお茶の茶葉を漬け込んでいるお酒を提供している所がなかなかございませんので、非常に興味を持っていただいております」

 お酒と融合させ、お茶の新たな可能性を広げた本多さん。「静岡茶」が目指すのは、生産量全国トップを守り続けることではないと言い切ります。

本多さん:「静岡が日本で一番お茶を作っているとかではなくて、静岡のお茶が日本で一番面白いと思ってもらえるかどうかなんですよ。ここがすごく重要だと思います。これから50年100年先にお茶を残すために大切なことだと思います」

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