仏壇に手を合わせる静岡市の押尾亜哉さん(49)。2人の子宝に恵まれた一方で、2度の流産を経験、14年前には妊娠8カ月で死産しました。
画像: 仏壇に手を合わせる押尾亜哉さん

仏壇に手を合わせる押尾亜哉さん

押尾亜哉さん:「2回流産して、やっと安定期にも入って、何も問題なく来ていたので。だから本当に、出産して子育てするというのを夢みて、キラキラな状態だった。たぶんこの先、こんな経験はないのかなというくらい。もう、どん底だなと思った」

 もうすぐ、我が子に会える。希望に満ちた生活は一変しました。この体験から、押尾さんは2012年に、流産や死産を経験したカップルをサポートする市民団体「アンズスマイル」を立ち上げました。我が子を失った悲しみを、少しでも和らげようと、流産や死産を経験した人が集まって、悩みを打ち明ける場をつくったりカウンセリングしたりするなどのサポートをしています。そして、去年11月から新たな取り組みをスタートしました。

流産した赤ちゃんには戸籍がない…証を示す「天使届」

画像: 流産した赤ちゃんには戸籍がない…証を示す「天使届」

押尾さん:「流産とか死産した赤ちゃんって、戸籍が与えられないんですね。やはり、いたのにいなかったことにされたことが、すごく悲しい。それでアンズスマイルが証明する、天使届というのを作った」
 天使届は、A4の台紙に亡くなった赤ちゃんの名前や性別、我が子への思いなどを記し、生きた証を残しておくものです。インターネットで申し込み、全国どこにでも郵送できます。(1枚1500円)

 天使届を始めた背景にあるのは、押尾さん自身の経験です。死産したとき、我が子が生きた証を示す書類は埋葬火葬許可証だけ。悲しみが増幅しました。静岡市に住む遠藤さん夫婦。死産を経験した2年半後、天使届を知って申し込みました。

「名前書く欄がなくてショックだった」…死産の子に結愛と命名

画像: 「名前書く欄がなくてショックだった」…死産の子に結愛と命名

妻、遠藤貴子さん:「自分の場合は、陣痛が始まってしまっていたので、おなかの中の子が死んでいようと、もう産むしかない状態だったので。しっかり最後までは産んであげることはしてあげなきゃって。このおなかの中の子のためにできる、最初で最後の自分の仕事かなと思って」
夫、遠藤和寛さん:「(死産届を出したときに)名前を書く欄がなくて、自分の娘の名前が書けなかった、何て情けないんだとショックを受けたのを覚えていて」

 遠藤さん夫婦は死産した娘を結愛ちゃんと名付けました。人と人を愛で結んでほしいという願いが込められています。天使届に結愛ちゃんへの思いを綴りました。

「ゆあちゃんはお空にいるけど、ずっと家族だからね」

 「天使届」に記したわが子への思いを読み上げる貴子さん、いつの間にか涙がこみ上げてきました。  
遠藤貴子さん:「ママとパパとお兄ちゃんのいる我が家に生まれてきてくれて、本当にうれしかったよ。ゆあちゃんはお空にいるけど、ずっと家族だからね。家族のイベントの時は、一緒に楽しもうね。最愛の娘へ。ありがとう」

妊婦の15%が流産

画像: 妊婦の15%が流産

 日本産科婦人科学会によりますと、医療機関で確認された妊婦の15%ほどが流産しています。また、厚生労働省によりますと、3年前には2万人近い1万9454人の妊婦が死産を経験しました。体への負担だけでなく、うつ病など心の負担も大きいと指摘されています。遠藤さん夫婦は、教育現場で流産や死産を教えることや経験者の体験談を通じて、支援の輪が広がることを望んでいます。
遠藤和寛さん「無事に生まれてきたことも出産だし、亡くなってしまっても出産。両方あるからこそ、生まれてくることは奇跡的で、命が尊いもんなんだと。うちの娘が亡くなったことと、うちの長男が生まれたことで感じたこと」

 児童手当てや育児休暇など、子育て支援はもちろん大切です。ただ、子どもを失った人へのサポートには目が向けられていないのが実情です。

押尾さん:「無事に赤ちゃんが生まれたら、サポートはいっぱいあるじゃないですか。途中でそうじゃなくなってしまった場合は、サポートがごっそりない、抜け落ちている。(支援団体と)連携が取れる態勢になったら、心のサポートは、もっと広がってくんじゃないかなと思う」

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