今年すでに3件の死亡事故 事故が多発する危険な橋 静岡市清水区

●清水区  午後3時ごろ
「県道にかかるこちらの橋の近くでは事故が多発してることを受け警察官らが地元の住民らに、安全に道を渡るよう注意を呼び掛けています。」
午後、警察や地元自治会が反射材付きのライトを配布して、橋の横断禁止を呼び掛けたのは、静岡市清水区にある千歳橋(ちとせばし)。
というのも、ここ最近、この千歳橋で交通事故が相次いでいるんです。

画像1: 今年すでに3件の死亡事故 事故が多発する危険な橋 静岡市清水区

千歳橋では、今月13日に、道路を横断中の男性がタクシーと衝突して死亡。
先月30日にもタクシーが女性2人をはね、1人が死亡、1人が重傷となる事故が起きていました。
いずれも夜間から早朝にかけて、わずか2週間で連続して発生した死亡事故。

なぜこの千歳橋で、悲惨な事故が相次いでいるのでしょうか。
現場を取材してみると、そこには交通ルールが守られていない実態があったんです。

● 清水区巴町 19日 午後8時半ごろ
「死亡事故が起きた千歳橋です、あー危ない車が来てますね、今足早に横断歩道ではないところを渡っていきました。あ、自転車の人が、危ない危ない車が!車が来てるのにギリギリで渡っていましたね。」

夜間、橋の真ん中を堂々と渡っていく2人組の男性。
こちらの男性も手をあげながら、横断歩道ではない場所をゆっくりと歩いていきます。
その脇には横断禁止の標識が―。
実はこの千歳橋、横断禁止にも関わらず、道路を渡る歩行者が後を絶たず、2015年以降、横断中の事故が10件も発生している危険な橋なんです。

● 清水区巴町 19日 午後8時半ごろ
「今ビニール袋を提げた男性がゆっくりと歩いてますね、ちょっと千鳥足ですね。大丈夫かな。」

千歳橋周辺は、居酒屋やスナックが立ち並ぶ繁華街。
夜には、お酒を飲んだ帰りとみられる人たちが、橋を横断する姿が目立ちます。
この橋で起きた10件の事故のうち、6件が午後8時から午前1時までの間に集中。
いずれも、横断歩道以外の場所を渡ろうとして起きた事故でした。
一体なぜ、危険な道路を渡ってしまうのか。実際に横断していた歩行者を直撃すると…

画像2: 今年すでに3件の死亡事故 事故が多発する危険な橋 静岡市清水区

● 道路を横断した人
「車が来てなきゃ大丈夫かなと。横断歩道までの距離が長いもので回っていくのもめんどくさいなと思って。夜は(みんな)だいたいそんなもの。逆に横断歩道を渡る人はほとんどいない。」

● 道路を横断した人
「気をつけて渡る、どこかで渡らないとしょうがないから。」
Q横断歩道という選択肢は?
「ちょっとのことだし、人間って最短距離を行く、だからダメ。
基本的に危ない時はちゃんと(横断歩道に)行くが普通は最短距離。だから手を上げていく。絶対平気見てる、すごい気を付けて(両側の信号が)赤になったら歩く。」

実は、橋からおよそ40mの場所には信号付きの横断歩道があります。
にもかかわらず、横断禁止の道路を横切ったことで事故に繋がった可能性が見えてきました。
取材した先週金曜日には、午後8時から10時までの2時間に、なんと32人もの人たちが横断禁止の道路を渡っていました。
そうした状況を受け、清水警察署では先週、地元自治会や静岡市の担当者など、8団体が参加した対策会議を行いました。

● 清水警察署 小川敏行署長
「清水区では1月10日にも死亡事故が発生していて、本年すでに3件の死亡事故が発生しているという非常に厳しい情勢にある。それぞれの立場で事故防止のために何ができるのか検討していただいて千歳橋周辺の事故を絶無にしていきたいと思う。」

警察からは、人が横断できないように柵やコーンを設置することや、制限速度を50キロから40キロに規制するなどの対策案が示されました。