リニア所管の国交省副大臣、岩井氏が出馬表明　現職の川勝氏「リニアは大きな争点」　６月の静岡県知事選

　２８日午後、都内で開かれた自民党県連の国会議員会議に出席した参議院静岡選挙区選出の岩井茂樹氏（５２）。６月の静岡県知事選挙への立候補を正式に表明しました。

　これで知事選は、既に出馬表明している現職の川勝平太氏（７２）と岩井氏の事実上の『一騎打ち』となる構図が固まりました。

岩井茂樹氏：「選挙戦は厳しいと思います。なにせ時間がないということ。ただ選挙をやるからには当然勝つためにやるということは、一つ川勝政権の評価について、あまり私の方から今どうのこうのと言う気にはならない。それよりもこの静岡県にとって、静岡の未来がどういう未来がいいのかとか、どういう未来が可能なのかというような前向きな話をしたいと思っています」

　ただ、県連が懸念するのは、岩井氏の支援態勢が整うか、です。自民党は、菅内閣発足後初の国政選挙となった衆参３つの選挙で全敗。党本部では、仮に静岡でも負ければ「４連敗」となり、次の衆院選への影響も大きいとして、慎重論が強まっています。

党本部関係者：「岩井議員の出馬に私は大反対。知事選も大事だが、衆院選への影響も考えると簡単にいいですよとは言える話ではない」

　関係者は、岩井氏の党本部推薦は見送られる可能性があるとみています。

自民党県連関係者：「党本部が、都議選や衆院選への影響を気にするのはわかるが、そのために静岡県民に選択肢を示さなくてもいいというのはおかしい。岩井氏がこれだけ反対論がある中で決断してくれたのだから、党本部の推薦が得られなくても、県連だけで戦うしかない」

岩井茂樹氏：「これは男気じゃないですけど、自分の保身を考えるのではなくて、退路を絶ってやっていきたいと思いました」

　これまで独自候補の擁立に奔走してきた自民党県連の中沢幹事長ら県連３役は、静岡市内のホテルからリモートで東京の国会議員会議に参加しました。

自民党県連　中沢公彦幹事長：「ほっとした気持ちが３分の１、『よし、これから選挙に向かって当選に向けて絶対頑張るぞ！』という気合がみなぎっているのが３分の１、『まだまだ越えないといけない山があるなぁ』という思いが３分の１です」

　県連ではあさって３０日、拡大選対会議と総務会を開いて、岩井氏の推薦を党本部に上申する方針です。

Ｑ．党本部の推薦がなかった場合でも、県連としては岩井氏で戦う？
中沢県連幹事長：「その仮定の話については答えようがありませんが、我々は先ほどの会議で一致団結して戦うことを確認しました」

　告示まで1カ月あまりで、ようやく選挙戦となることが確定した知事選。争点のひとつになるとみられるのが、「リニア問題」です。
岩井氏はリニア新幹線を所管する国土交通省の副大臣を務めていて、知事選出馬のため近く辞表を提出する予定です。

川勝氏「リニアを考えるいい機会に…」

　一方、４期目を目指して無所属で立候補することを表明している川勝平太氏も２８日午後、記者会見を開きました。

川勝氏（２８日午後３時ごろ）：「本当に難しいご決断をされたなというふうに思います。ですから、このご決断が岩井氏にとって人生における重要な収穫として振り返られるものであることを願います」

　川勝氏は「リニア問題」が、今回の知事選の大きな争点になると強調しました。

川勝氏：「リニアの問題は党派性が問われないと思ったが、しかしながら、国の、しかもリニア推進議連のメンバーであった方で、かつ、それを推進する国策として、それの顔として出てこられれば、これは論争にならざるを得ない」

Ｑ．岩井氏とどんな政策論争する？
川勝氏：「これは国交省の顔ですから。その国交省のいわば内閣のご一員でありますから、（私は）こういう状況の中で、本当にリニア進めてよろしいんですか？と、立ち止まって考えるときではないですか？ということを訴えておりますけれども、その意味では県民のこの水問題に関する見解を表明する、いい機会になるのではないかと思います」

Q．自民県連幹部は水を守る点では変わらないと。どう思う？
川勝氏：「いろいろな意見あると思うが、自民県連もいろんな方がいらっしゃると思います。候補者の意見を聞くことが大事になると思います」

　川勝氏と岩井氏の『一騎打ち』の公算が大きくなった静岡県知事選挙は６月３日告示、２０日投票です。