東日本大震災で自宅が半壊…かつての被災者が静岡・熱海市で支援活動 住民のニーズ調べて病院や買い物の無料送迎

 7月3日に発生した静岡県熱海市の土石流災害。22日午前9時現在、19人の死亡が確認され、いまだ8人の行方が分かっていません。
 静岡県外から熱海市に入り、被災地のニーズに沿った支援をしている団体もあります。宮城県に拠点を置くオペレーション・ブレッシング・ジャパンが行っているのが、被災地域の住民の無料送迎です。高齢で一人暮らしの住民の送迎を中心に行っていますが、特に利用者の制限は設けていません。

病院通いや買い物もままならず…

画像: 住民を乗せて病院へ

住民を乗せて病院へ

 希望する方面のバスの運行が再開していない住民にとって、病院通いや買い物がままならない状況が続いています。この日、まず送迎車が迎えに行ったのは80代の女性。熱海駅近くの病院に向かいます。

無料送迎の利用者(80代)
「きょう、病院あがったら ちょっと買い物したいものがあるから、いいですか?」

担当者
「いいですよ。病院終わったら電話もらって、それでまた迎えに来て、買い物のところに」

 送りだけでなく 迎えも無料でしてくれるのです。

 40代の女性もこの団体の車を利用しました。

無料送迎の利用者(40代)
「本当にありがたいです 私だけではなく、体の不自由な人もいると思うし、家の近くまで迎えに来てくれて、直接病院や買い物などに行ってくれるのはすごくありがたい」

住民が何に困っているか調べて

 オペレーション・ブレッシング・ジャパンは当初から無料送迎をしようと考えていたわけではありません。土石流発生2日後の5日に熱海入りし、支援活動をしながら、住民が何に困り、どんな活動が必要か情報収集したといいます。

オペレーション・ブレッシング・ジャパンの男性
「町内会に相談したら、みんな困っている。欲しい物を買いに行けなかったり、病院に行けなかったりとか、コロナのワクチンの接種会場まで行けないんだよと。ならば乗り合いではなく、その人の時間とタイミングに合わせて運行する無料送迎ができれば、いい支援になるんじゃないかと」

 こう話す男性も、以前は被災者でした。

オペレーション・ブレッシング・ジャパンの男性
「仙台で3.11の時は家が半壊して、一人で南三陸とかに支援物資を持って支援活動をしていたが、一人でやることは限界があって、チームで組織的に動かなければ効率よくいい支援が届けられないと痛感した」

 男性はその後、災害支援団体に入り、いくつかの被災地で支援活動を経験。現地の生活のニーズに寄り添った支援が必要だと考えています。

ゴミも「すごい臭い」 坂道が多く「マスクしているので息がきつい」

画像: ゴミも「すごい臭い」 坂道が多く「マスクしているので息がきつい」

 熱海でも現地のニーズをくみ取り、無料送迎以外の活動も行っています。

オペレーション・ブレッシング・ジャパンの男性
「すごく臭いんですよ(笑)。たぶん虫が湧いていたんでしょうね、殺虫剤のにおいがすごくて…」

 ゴミ出しです。避難中に停電となった家の冷蔵庫にあった食材などのゴミを運ぶ手伝いです。

Q.きつい坂道が多い?

A.「そうですね、マスクしているので息がきついですね」

Q.高齢者だと?

A.「道も狭くてガタガタしていて高齢者は大変だと思う。ゴミ出し一つ…」

 帰宅する住民も多くなった熱海市では、今後、求められるものも変わり、様々な要望が出てくると考えています。

オペレーション・ブレッシング・ジャパンの男性
「十分に捜索活動をして、まだ行方が分からない人のために、街も地域の人もみんなそこに思いがあると思う。なので、その分皆さんが我慢しなければいけない部分がたくさんあろうかと思う。その思いと苦労に関して、私たちが何ができるか常にキャッチし、お話させてもらいながら、手を差し伸べてあげたいと思っている」